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鵺の呼び声ぷち 04

逆に考えるんだ。
つまりぬえとレミリアは同じセンスだと、そう考えるんだ。

最近ぬえの低年齢化が激しくなってきた気がします。
別に問題ない気もします。


霖之助 ぬえ









 レミリアの考えるスペルカードの名前はどれもカリスマに溢れていて、ぬえはいたく気に入っていた。
 どれにしようか、いまだ決めかねているほどに。

 会議中(お茶とも言う)、控えていたメイドがずっと苦笑いしていたのが少し気になったが。


「う~ん、これでもないなあ」


 倉庫内に散乱している道具をひっくり返しながら、ぬえは首を捻った。
 中は暗いが、彼女にはなんの問題もない。


 香霖堂の倉庫はいくつかの区画に分かれている。
 まず一番奥。
 これは神器クラスの道具を置いてある場所だ。
 ナズーリンが買ったという宝塔もそこにあったらしい。

 そして一番手前、入り口入ってすぐのところには高級そうに見えるだけの道具が置いてあった。
 これは魔理沙たちがに見られたとき身代わりにするためだ。

 そこから少し離れた、わりと取り出しやすいところに霖之助のお気に入りの道具が置いてある。
 ストーブなど、使わない時期はこの辺に仕舞っていた。


「無いのかなぁ……。
 ネタになりそうなの……」


 今ぬえがいるところは、曰く付きの……呪われた道具などが押し込めてある区画だった。
 もちろん珍しい道具ではなく、比較的よく出回っているタイプの。
 だからなのか、これらの道具は無造作に押し込められていた。

 何でも、厄神様に売りつけたりするらしい。


 とはいえ人間の厄など鵺には関係ないのでどうでもいいことだ。
 だが厄には恐怖が付きものである。

 小傘が古典的な怪談を見て驚かし方を勉強していると聞き、ぬえも何か資料になりそうなのを探しに来たのだ。


「見てなさいよ……」


 霖之助をあっと言わせてやる。
 それが今の彼女の目標だった。

 気合いを入れて立ち上がったぬえは、その拍子に何かを蹴飛ばした。


「ううん?」


 蹴飛ばされた道具はカラカラと音を立てて回り始め、壁に何かを映し出す。

 それはホラー映画しか映さないという呪われた映写機だったが、ぬえは知る由もない。
 代わりに、上映されるそれを彼女はずっと見入っていた。


「……これよ! これなのよ!」









 技術と言えば河童、河童と言えばにとりである。

 人見知りの激しい彼女だが、文と魔理沙の紹介で香霖堂にやってきた。
 道具に興味があるらしく霖之助と話が合うようで、今ではすっかり常連のひとりだ。

 つまり、ぬえとも知り合いだった。


 ――正体不明の妖怪のはずが、ここに来て一気に知り合いが増えた気がする。


 ふと思うが、不思議と悪い気はしない。
 どのみちしばらくは正体不明ではないのだし、楽しまないと損ではないか。

 そんなことを考えながら、妖怪の山へ。


「これと同じものを作れって?」
「違う違う。これが作れるものを作れって言ってるの」


 突然押しかけてきたぬえを、にとりは工房の中へと招き入れた。
 外の世界の道具を持ってきた、と言われれば黙っているわけにも行かない。

 部屋の中は足の踏み場もないくらい散らかっている。
 道具を整理中の香霖堂といい勝負だろう。

 にとりは作業の手を止め、ぬえの持ってきた映写機を観察する。
 彼女が今作っているのは、穴を掘って異星人を埋めるという遊技らしい。
 まったく、妙なセンスだ。


「ああ、そういう……。
 それにしても、よくここがわかったね」
「うん、天狗に聞いた」


 最速の烏天狗以外にも、幻想郷の空にはたくさんの天狗が飛び回っている。
 妖怪の山の近くで犬っぽい天狗がいたので、教えて貰ったのだ。
 文と霖之助の名前を出せばわりとすぐだった。


「天然色は時間かかりそうだけど、音無しの白黒でいいならすぐ作れると思うよ」
「ほんと?」
「うん。同じようなのを前研究したしね。
 それに写真の技術もあるし……」


 そう言ってにとりは近くの道具箱に入っている物に目を向ける。
 確か8ミリビデオ、と言うやつだ。
 前香霖堂からにとりが買っていったのを覚えている。


「動力とかは幻想郷のものになるけどね。
 明日までになんとかしてやるよ」
「じゃあお礼にそれあげる」
「これって霖之助のだろ?
 私が怒られちゃうじゃん」
「ん、そっか」


 ぬえは首を捻る。
 何か対価になるような物はないか、と考えるが残念ながら持ち合わせがない。

 困っているぬえに、にとりは笑みを浮かべた。


「まあ、友人の頼みだし。後払いでいいよ。
 香霖堂で珍しい道具を確保しておいてくれるとかね」
「友……人……?」
「ん? 私はそのつもりだけど。
 盟友の友人は友人ってね。半分だけど」
「友人……友達……」


 にとりの言葉を、ぬえは口の中で繰り返す。


「うん!」


 そして笑顔で頷くぬえに、にとりは改めて映写機を指した。


「……で、これの中身っていうか……映像はどうするわけ?
 さすがにそこまでは作れないよ」


 この道具はあくまで映像を映すためのもの。
 目的の補助でしかないのだ。


「決まってるでしょ」


 にとりの問いに、ぬえは自信を持って胸を張る。
 そのささやかな胸を。


「私が主演するのよ!」


 彼女の言葉に、にとりは首を傾げた。
 どう見ても本気らしい。

 一瞬悩み……聞いてみることにする。


「……ホラー映画に? ひとりで?」
「そっか。ひとりじゃダメだよね……そうだ!」


 にとりの疑問を、ぬえはなにやら勘違いしたらしい。
 何か閃いたように工房から飛び出そうとし……思い出したように振り返る。


「ちょっと出演者集めてくる。
 明日また来るから……ううん、出来たら、ここに持ってきて」


 ぬえから渡されたメモを見て、にとりは目を丸くした。
 確かに場所は知っているが。


「この館って……」
「じゃ、頼んだよー!」









 出演。
 ぬえ、レミリア、小傘。

 技術。
 にとり。

 協力。
 咲夜と紅魔館の愉快な仲間たち。


「どう? 怖い? 驚く?」


 霖之助の隣で、ぬえははしゃぎっぱなしだった。

 ホラー映画を作ってきた! と息巻くぬえが持ってきた映画らしいものを、彼女とふたりで鑑賞することになったのだが。
 見てる途中で、先日怒っていたことなどとうに忘れてしまったらしい。


「……ああ、とても驚いたよ」
「ふふん。私にかかればこんなものよ」


 内容はすごかった。
 すごく普通の……。
 ホームビデオだった。

 映写機に触ったとき用途がそう出たから、間違いないだろう。
 ……間違っても、ホラー映画ではない。

 何と言っても、主演がぬえたち三人なわけで。


「まだまだよ。このあとだからね、すごいの……ああ、ここでレミリアがね」


 ぬえの解説を聞きながら、それでも霖之助は感心していた。

 身近な人物も、映像としてみればまた違った魅力がある……かもしれない。
 それがこの道具の本当の目的なのではないだろうか。

 新たな発見に気を良くした霖之助は、ぬえと一緒に夜通し映画を見ることになった、

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