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メイド服を脱がさないで

メイド服を脱がさないで
しゅまさんの絵
を元にSSを書いてみました。
たまにはアクティブな咲夜さんもいいよね!


霖之助 咲夜









 客が来ている時の店主はどうあるべきか。

 怪しい客なら見張らねばならないし、常連なら何を探しているか、何を欲しがっているかを把握しなければならない。
 もちろんじっと見ていては落ち着ける店にならないわけで、その辺の配慮も必要不可欠である。
 店主というものもなかなか大変な立場なのだ。


「何か用ですか?」


 そんな事を考えていると、視線を感じて彼女は振り返った。
 無意識のうちに、目で追っていたらしい。


「ああ、すまない。つい……ね。なんでもないよ」


 紅魔館のメイド長……咲夜は、霖之助の言葉に対しゆっくりと首を振る。


「なんでもないなら、あんなに見つめたりはしないですわ。
 何か言いたいことでもあるのではないですか?」


 霖之助の視線にはずっと前から気付いていたらしい。

 そもそも彼女は時を止められるのだから、見張る意味すらないと言える。
 霖之助が彼女を見ていたのは、確かに理由あってのことだった。


「随分髪が伸びたな、と思ってね」
「そうですか?」


 彼は観念したかのように、肩を竦めた。

 咲夜は自分の髪に手を添え、首を傾げてみせる。
 天然な彼女のことだ。
 わざとか素かは、わからなかった。


「やはり時間を止めていると、伸びるのが早いのかな」
「そうなんですかね。わかりませんけど」


 彼女は困ったように首を振った。
 本当に知らないのかもしれない。


「それとも、自分の時間も操れたりするのかい?」
「どうなんでしょう?」


 能力の制御は感覚的なものなのだろう。
 ……まあ少なくとも、霖之助には咲夜が老いて死ぬところを想像できないのだが。


「そうそう、髪と言えば」


 くすりと笑い、咲夜は霖之助に顔を近づけた。
 鼻の触れ合いそうな距離で、咲夜は口を開く。


「この髪型、似合ってますでしょう?」
「あ、ああ……」


 くるりと背中を向ける咲夜。
 その拍子に、肩まで届く髪がふわりと揺れた。


「僕はそれより、その服に興味があるね」


 照れ隠しか、それとも驚いたのか。
 霖之助はわざとぶっきらぼうに呟き、咲夜の背中に視線を向ける。


「前から気になっていたんだが、後ろはどうなってるんだい?」
「ふふ、企業秘みっ……!
 ひゃわっ」


 霖之助の伸ばした指が咲夜に触れた瞬間、彼女の口から吐息が漏れた。
 びくりと身体を震わせ、慌てて距離を離す。


「何するんですか、もう」


 それほど驚くとは思わなかったので、霖之助も対応に詰まる。
 そうしていると、小声で咲夜が呟く。


「……こういう事するときは、ちゃんと事前に言ってください」
「ああ、すまない」


 ……言えばいいのだろうか。


「何か?」
「ああ、いや……」


 咲夜の言葉に、霖之助は首を振った。
 わざわざ確認することでもないだろう。


「ひとりで着られそうな構造には見えなかったんでね。
 ちょっと気になったんだが……」
「なるほど、そのことですか」


 そう言って、咲夜は再び背中を向け、髪をかき上げる。

 なるほど、後ろに結び目があるようだ。
 コルセットのような、と言うべきか。
 そこまで締め付けているわけではないのだろう。

 ……咲夜の白い肌とうなじが、ちらちらと目に入る。


「紅魔館も人手がないわけではないんですよ。
 その辺にいる妖精メイドに頼んだり、美鈴を呼び出したりしてます」
「やはり手間がかかっているんだね」
「ええ、だって……」


 彼女はそこで言葉を切り、霖之助を見つめた。


「気になるのでしたら、服をお貸ししますけど」
「いや、それには及ばないよ」


 首を振り、空になった湯飲みにお茶を注ぐ。


「君が着ているからこそ、気になったんでね」
「えっ……」


 霖之助の言葉に、咲夜は言葉を詰まらせた。


「ああいや、変な意味ではないよ」
「あ、はい、わかってます」


 やや顔を赤らめ、彼女は頷く。


「私の服、だからですよね……」
「…………」


 しばし、沈黙が落ちた。
 霖之助が何か言おうとした矢先、先に口を開いたのは咲夜だった。


「あら、いけませんわ。
 霖之助さんのせいで紐がほどけてしまいました」


 紐には触っていないはずだが。
 その疑問は、彼女の視線で却下される。


「……結んで貰えます?」
「ああ……構わないよ」


 咲夜の服に、霖之助は手を伸ばした。
 紐を手に取り、服を確認する。


「なるほど、こうなっているのか」
「ええ。こうなっているんですよ」


 触れ合う距離にある、彼女の柔肌。
 結び目を確認し、手を離した。


「……完了だ」
「ありがとうございます、霖之助さん」


 咲夜は完璧な笑顔で微笑んだ。
 それから少しだけ、悪戯っぽい表情を浮かべる。


「毎日霖之助さんが結んでくれると助かるんですけど」
「はは、さすがに無理だね」


 霖之助はゆっくりと首を振った。
 それでも、彼女は言葉を続ける。


「執事とか、やってみたいと思いません?」
「僕にはこの店があるからね。丁重に辞退させてもらうよ」
「あまり客は来てないように見えますけど」
「それでも、だ」


 彼の言葉に、咲夜はため息。


「そうですね。やはり私が通います」


 そう言って、肩を竦めた。


「そうしてくれると助かるよ」


 わかりきった返答。
 わかりきったやりとり。

 これでもう、何度目だろうか。


「……霖之助さん。
 服の構造はもう完璧ですか?」
「ああ、おかげさまでね」
「じゃあ今度、私の服を作ってもらおうかしら」
「僕にかい?」
「ええ。何か異変があったら、着ていこうかと思って」


 そう言うと、じっと咲夜は霖之助を見つめてきた。


「……まあ、上客の頼みだからね。
 構わないよ」
「それなら」


 頷く霖之助に、咲夜は先ほどの紐に手をかける。
 するりとメイド服がはだけ……。


「細かい寸法は、必要かしら」









「あら咲夜、遅かったのね」
「おはようございます、お嬢様。
 すぐお茶をお入れしますね」
「そうしてちょうだい」


 紅魔館の入り口で、眠そうなレミリアが声を上げた。
 ちょうど帰っていたらしいメイドは、恭しく礼をする。


「出かけてたの?」
「はい。ちょっと、香霖堂に」
「ふぅん」


 いつもの言葉だ。
 まあ、昼間何をしていても構わないのだが……。

 そんな考えは、続く言葉にかき消された。


「霖之助さんに脱がされて、いろいろ測られてきました」
「……え?」

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No title

咲夜ちゃん…このかわいい小悪魔めw
そして霖之助には執事よりメイドさんをさせたい僕は色々と終わってるのかもしれないw

No title

昼間はお楽しみでしたね

咲夜さんかわいいなw寸法を測るときは霖之助さんの顔は真っ赤だったのだろうか
そこが気になるところですね

No title

小悪魔的咲夜さんも良いものですね
執事の霖之助・・・うーん、似合わないw

No title

爆弾発言!
咲ちゃんまじ乙女!

No title

なんという爆弾発言吹いたww
このあとレミリアが香霖堂に怒鳴りこむんですねわかりますw

No title

咲夜さん爆弾発言w
いいぞ、もっとやれ!

No title

ラストのレミリアはカリスマとは程遠い顔だろうと思ってしまいました
店主の「運命」やいかに•••ww
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道草

Author:道草
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フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
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