たけやぶやけた
多分前後編。
出会いは全裸。最近のトレンドです。
そそわで誤爆さんのナズ霖みてたら最後のオチが浮かんできた。何故だろう。
まったく関係ないけどモンハン3のキャラネームは『ROAD/PNAL3P』です。まだランク低いけれど見かけたらよろしくー。
霖之助 妹紅
夜の闇の中、見渡す限り灰色の世界が広がっていた。
比喩ではなく、文字通り。
竹林の中、焼け焦げ、拓かれたような広場。
その中央、最も炭化した場所の中央に彼女は横たわっていた。
「う~ん……」
一糸纏わぬ裸身は不思議なことに傷ひとつ、火傷ひとつ無い。
まるで今生まれたばかりのように。
「……さて」
霖之助がここに来たのはほんの偶然だった。
たまたま入った竹林で、たまたま弾幕の光を見かけ……たまたま燃え広がった炎に巻かれかけた。
ここまで周囲に影響を及ぼすのは弾幕ごっこの範疇を超えている気がしたので一言文句を言おうと思った結果がこれである。
「……とにかく、このまま放置するのも寝覚めが悪いな……」
霖之助はひとつため息を吐くと、目の前で眠る彼女に近づいていった。
「どこだ、ここ」
「起きたようだ……ね……」
朝起きてからずっと本を読んでいた霖之助は、居間から聞こえてきた声に振り返った。
そして声をかけたところで……絶句する。
「……ああ、また死んでたみたいだな。
放置してくれてもよかったんだが……一応礼は言っておく」
「その前に、服を着たらどうだい。
枕元に置いておいただろう」
「あんなの着方がわからないよ」
「仕方ないな……」
いつまでも店内で裸の少女をうろつかせるわけにはいかない。
あらぬ誤解を受け、不名誉な噂が流れるのは火を見るより明らかだった。
「こっちならわかるだろう」
霖之助は修繕を頼まれていた霊夢の服を出し、彼女に差し出す。
「なんか、見たことある服だな。
……ああ、あの巫女の」
しばらくそれを興味深げに見ていた彼女だが、やがて思い至ったのか大きく頷いた。
袴を着るまでしばらく待つ。
銀色の髪が思いのほか似合って見えた。
「おや、博麗の巫女を知っているのかい?」
「まあ、ちょっとな」
苦い顔で、彼女ははぐらかした。
それ以上聞くのも悪いと思い、霖之助は話題を変えることにする。
どのみちあの霊夢と知り合いになるきっかけなど異変がらみくらいのものだろう。
そして十中八九、首を突っ込むと面倒事がついて回る。
もっとも、その面倒事に進んで首を突っ込む魔法使いもいるのだが。
「どうかしたか?」
「いや、なんでもないよ」
いい機会だったので、自己紹介をしてしまうことにした。
何物か知ることこそ理解に繋がる。
さらに商売に繋がれば言うことなしなのだが。
「僕は森近霖之助。見ての通り道具屋を営んでいる。
そういった服の修繕も業務の一環さ」
「こんなところで?」
彼女は香霖堂から窓の外を見渡した。
魔法の森のすぐ近く。
普通の人間が立ち入る場所ではない。
「ああ、僕は人間と妖怪のハーフだからね。
妖怪に襲われることもないから気楽なものさ。
ところで君はさっき、死んでたと言っていたようだが……」
「ああ……私は妹紅。藤原妹紅。
不死の薬を飲んだ、ただの人間だ」
その言葉に、霖之助は少し引っかかるものがあった。
死なない人間を人間と呼べるのだろうか。
仙人でもなく天人でもなく、人間だと呼べるのだろうか。
そんな彼の表情を見て、妹紅は首を振る。
「……訂正する。ただの蓬莱人だ」
「いや、どちらでも構わないよ。大した違いはない。
……失礼、ちょっと興味深くてね。不快だったら謝る」
「変わっているな、お前は」
妹紅はそんな霖之助を見て、苦笑気味に微笑んだ。
実際、霖之助も人間と妖怪のハーフと言ったところで、人外……人以外の存在であることは変わりないのだ。
むしろ一言妖怪といったほうが早い。
にもかかわらずわざわざハーフや人妖と名乗っているのは……やはり、未練なのだろうか。
「変わっているのは君のほうだよ。
竹林があんなになるまで戦うなんて……。
弾幕ごっことしてはやりすぎじゃないのかい」
巻き込まれかけたことを思い出し、少しばかりの嫌みを込めて。
しかし妹紅はそんな事かとばかりに肩を竦めた。
「まあ……私たちは弾幕ごっこなんてやってないからな」
「うん?」
妹紅はそこで言葉を切った。
しばし何かを考え……ややあって、口を開く。
「ひとつ頼みがあるんだが」
「……なんだい?」
「私が死んでいた場所に案内して欲しい」
焼けたはずの竹林はもうほとんど再生していた。
ところどころに焦げ跡が残っているのが名残だろうか。
それもすぐに目を離すとわからなくなってしまう。
「……すごいな」
「この竹林はいつもこうだ。そろそろか?」
「確かこの周辺……だったと思うんだが、自信がないな」
迷いの竹林と称されるほどの場所だ。
霖之助が妹紅を案内するはずが、大まかな方角を伝えたあとは妹紅に案内されてしまった。
周囲を見渡し、彼女は大きく頷く。
「じゃあそっちを頼む」
「……頼む、と言われても」
何をするつもりなのか、と彼女を見る。
すると妹紅は少し歩くとかがみ込み……足下に落ちていた物体を拾い上げた。
「供養さ」
妹紅の庵はそこからほど近い場所にあった。
台所から聞こえてくるのは炊事の音。
霖之助は客扱いのため座敷に座らせられていた。
「供養、ね」
つまり弾幕勝負に巻き込まれた動物や鳥を集め、食べられそうなものは確保、そうでないものは埋葬しよう、と言うのが妹紅の行動だった。
「いつもは私ひとりでなんとかしてるからな。手伝ってくれると助かる」
「いいよ。埋葬は慣れてるからね。しかし、あそこまで周囲に被害を及ぼすのは感心しないな」
「ああ、私たちのやってるのはただの殺し合いだからな。
いや……」
言って、妹紅は自嘲するかのように首を振る。
「永遠に決着の付かない殺し合い。
ごっこ遊びとなにも変わらないか……」
深い感情を含んだため息。
しかし同時に手際よく焼けた肉をよそっていくのは不釣り合いで、しかし何故か似合って見えた。
そしてその姿に、霖之助は昔見た新聞を思い出す。
「もしかして君が伝説の焼鳥屋かい?」
「……ん? ああ、天狗の新聞か。そんな話もあったな」
霖之助も同じ新聞に載ったことがあるのだが……。
知らないところを見ると、インタビューされたからといって文々。新聞を読んでるわけではないようだ。
霖之助は文に少しの同情を送りつつ、妹紅によそってもらった肉にかぶりつく。
「……美味い」
「言っておくが、焼鳥屋なんかしてないからな」
「いやしかし、この腕なら焼鳥屋を……いや、専門店を開いてもいいくらいだよ」
「ははっ、褒め言葉と受け取っておくよ」
「そのまま褒めてるんだがね……」
肉は新鮮だからいいというものではない。
熟成も何もしていない肉にもかかわらず、味付けがいいのかそれとも火加減のせいか、美味の一言だった。
どちらも含めて妹紅の料理の腕と言っていいだろう。
「ああ、考えておくよ」
そう言って、妹紅も席に着いた。
目の前には山盛りの料理。
「しかしひとりで毎回この量を?」
霖之助の視線の先には、テーブルに乗りきれなかった料理が次の出番を待っているところだった。
とてもではないが、ひとりで食べられる許容量を遙かに超えているように見える。
「ああ……私の知り合いにも分けたりとかしてたんだが、獣肉は苦手なやつがいてね」
「僕の知り合いにもいるな、ひとり」
「それに鳥肉は最近うるさいんだ、いろいろと」
「……わかる気がするな」
顔を見合わせ、疲れた表情で笑い合うふたり。
「よかったらまた食いに来てくれないか?」
「……勝負をやめればいいのに」
「面白い冗談だな」
妹紅は空を見上げた。
傾きかけた太陽の遠くに昼の月が見える。
「満月の日は、いつもこうしてるからさ」
「……霖之助さん」
「なんだい?」
次の日。
服を取りに来た霊夢に結局食べきれなかったお土産の肉を渡す。
喜ばれるかと思ったのだが、彼女が口にしたのは別の言葉だった。
「この服、別の女の匂いがする」
出会いは全裸。最近のトレンドです。
そそわで誤爆さんのナズ霖みてたら最後のオチが浮かんできた。何故だろう。
まったく関係ないけどモンハン3のキャラネームは『ROAD/PNAL3P』です。まだランク低いけれど見かけたらよろしくー。
霖之助 妹紅
夜の闇の中、見渡す限り灰色の世界が広がっていた。
比喩ではなく、文字通り。
竹林の中、焼け焦げ、拓かれたような広場。
その中央、最も炭化した場所の中央に彼女は横たわっていた。
「う~ん……」
一糸纏わぬ裸身は不思議なことに傷ひとつ、火傷ひとつ無い。
まるで今生まれたばかりのように。
「……さて」
霖之助がここに来たのはほんの偶然だった。
たまたま入った竹林で、たまたま弾幕の光を見かけ……たまたま燃え広がった炎に巻かれかけた。
ここまで周囲に影響を及ぼすのは弾幕ごっこの範疇を超えている気がしたので一言文句を言おうと思った結果がこれである。
「……とにかく、このまま放置するのも寝覚めが悪いな……」
霖之助はひとつため息を吐くと、目の前で眠る彼女に近づいていった。
「どこだ、ここ」
「起きたようだ……ね……」
朝起きてからずっと本を読んでいた霖之助は、居間から聞こえてきた声に振り返った。
そして声をかけたところで……絶句する。
「……ああ、また死んでたみたいだな。
放置してくれてもよかったんだが……一応礼は言っておく」
「その前に、服を着たらどうだい。
枕元に置いておいただろう」
「あんなの着方がわからないよ」
「仕方ないな……」
いつまでも店内で裸の少女をうろつかせるわけにはいかない。
あらぬ誤解を受け、不名誉な噂が流れるのは火を見るより明らかだった。
「こっちならわかるだろう」
霖之助は修繕を頼まれていた霊夢の服を出し、彼女に差し出す。
「なんか、見たことある服だな。
……ああ、あの巫女の」
しばらくそれを興味深げに見ていた彼女だが、やがて思い至ったのか大きく頷いた。
袴を着るまでしばらく待つ。
銀色の髪が思いのほか似合って見えた。
「おや、博麗の巫女を知っているのかい?」
「まあ、ちょっとな」
苦い顔で、彼女ははぐらかした。
それ以上聞くのも悪いと思い、霖之助は話題を変えることにする。
どのみちあの霊夢と知り合いになるきっかけなど異変がらみくらいのものだろう。
そして十中八九、首を突っ込むと面倒事がついて回る。
もっとも、その面倒事に進んで首を突っ込む魔法使いもいるのだが。
「どうかしたか?」
「いや、なんでもないよ」
いい機会だったので、自己紹介をしてしまうことにした。
何物か知ることこそ理解に繋がる。
さらに商売に繋がれば言うことなしなのだが。
「僕は森近霖之助。見ての通り道具屋を営んでいる。
そういった服の修繕も業務の一環さ」
「こんなところで?」
彼女は香霖堂から窓の外を見渡した。
魔法の森のすぐ近く。
普通の人間が立ち入る場所ではない。
「ああ、僕は人間と妖怪のハーフだからね。
妖怪に襲われることもないから気楽なものさ。
ところで君はさっき、死んでたと言っていたようだが……」
「ああ……私は妹紅。藤原妹紅。
不死の薬を飲んだ、ただの人間だ」
その言葉に、霖之助は少し引っかかるものがあった。
死なない人間を人間と呼べるのだろうか。
仙人でもなく天人でもなく、人間だと呼べるのだろうか。
そんな彼の表情を見て、妹紅は首を振る。
「……訂正する。ただの蓬莱人だ」
「いや、どちらでも構わないよ。大した違いはない。
……失礼、ちょっと興味深くてね。不快だったら謝る」
「変わっているな、お前は」
妹紅はそんな霖之助を見て、苦笑気味に微笑んだ。
実際、霖之助も人間と妖怪のハーフと言ったところで、人外……人以外の存在であることは変わりないのだ。
むしろ一言妖怪といったほうが早い。
にもかかわらずわざわざハーフや人妖と名乗っているのは……やはり、未練なのだろうか。
「変わっているのは君のほうだよ。
竹林があんなになるまで戦うなんて……。
弾幕ごっことしてはやりすぎじゃないのかい」
巻き込まれかけたことを思い出し、少しばかりの嫌みを込めて。
しかし妹紅はそんな事かとばかりに肩を竦めた。
「まあ……私たちは弾幕ごっこなんてやってないからな」
「うん?」
妹紅はそこで言葉を切った。
しばし何かを考え……ややあって、口を開く。
「ひとつ頼みがあるんだが」
「……なんだい?」
「私が死んでいた場所に案内して欲しい」
焼けたはずの竹林はもうほとんど再生していた。
ところどころに焦げ跡が残っているのが名残だろうか。
それもすぐに目を離すとわからなくなってしまう。
「……すごいな」
「この竹林はいつもこうだ。そろそろか?」
「確かこの周辺……だったと思うんだが、自信がないな」
迷いの竹林と称されるほどの場所だ。
霖之助が妹紅を案内するはずが、大まかな方角を伝えたあとは妹紅に案内されてしまった。
周囲を見渡し、彼女は大きく頷く。
「じゃあそっちを頼む」
「……頼む、と言われても」
何をするつもりなのか、と彼女を見る。
すると妹紅は少し歩くとかがみ込み……足下に落ちていた物体を拾い上げた。
「供養さ」
妹紅の庵はそこからほど近い場所にあった。
台所から聞こえてくるのは炊事の音。
霖之助は客扱いのため座敷に座らせられていた。
「供養、ね」
つまり弾幕勝負に巻き込まれた動物や鳥を集め、食べられそうなものは確保、そうでないものは埋葬しよう、と言うのが妹紅の行動だった。
「いつもは私ひとりでなんとかしてるからな。手伝ってくれると助かる」
「いいよ。埋葬は慣れてるからね。しかし、あそこまで周囲に被害を及ぼすのは感心しないな」
「ああ、私たちのやってるのはただの殺し合いだからな。
いや……」
言って、妹紅は自嘲するかのように首を振る。
「永遠に決着の付かない殺し合い。
ごっこ遊びとなにも変わらないか……」
深い感情を含んだため息。
しかし同時に手際よく焼けた肉をよそっていくのは不釣り合いで、しかし何故か似合って見えた。
そしてその姿に、霖之助は昔見た新聞を思い出す。
「もしかして君が伝説の焼鳥屋かい?」
「……ん? ああ、天狗の新聞か。そんな話もあったな」
霖之助も同じ新聞に載ったことがあるのだが……。
知らないところを見ると、インタビューされたからといって文々。新聞を読んでるわけではないようだ。
霖之助は文に少しの同情を送りつつ、妹紅によそってもらった肉にかぶりつく。
「……美味い」
「言っておくが、焼鳥屋なんかしてないからな」
「いやしかし、この腕なら焼鳥屋を……いや、専門店を開いてもいいくらいだよ」
「ははっ、褒め言葉と受け取っておくよ」
「そのまま褒めてるんだがね……」
肉は新鮮だからいいというものではない。
熟成も何もしていない肉にもかかわらず、味付けがいいのかそれとも火加減のせいか、美味の一言だった。
どちらも含めて妹紅の料理の腕と言っていいだろう。
「ああ、考えておくよ」
そう言って、妹紅も席に着いた。
目の前には山盛りの料理。
「しかしひとりで毎回この量を?」
霖之助の視線の先には、テーブルに乗りきれなかった料理が次の出番を待っているところだった。
とてもではないが、ひとりで食べられる許容量を遙かに超えているように見える。
「ああ……私の知り合いにも分けたりとかしてたんだが、獣肉は苦手なやつがいてね」
「僕の知り合いにもいるな、ひとり」
「それに鳥肉は最近うるさいんだ、いろいろと」
「……わかる気がするな」
顔を見合わせ、疲れた表情で笑い合うふたり。
「よかったらまた食いに来てくれないか?」
「……勝負をやめればいいのに」
「面白い冗談だな」
妹紅は空を見上げた。
傾きかけた太陽の遠くに昼の月が見える。
「満月の日は、いつもこうしてるからさ」
「……霖之助さん」
「なんだい?」
次の日。
服を取りに来た霊夢に結局食べきれなかったお土産の肉を渡す。
喜ばれるかと思ったのだが、彼女が口にしたのは別の言葉だった。
「この服、別の女の匂いがする」
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紅い二人の奪い合い!?
もこたんとの絡み方goodです
もこたんとの絡み方goodです
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霊夢にヤンデレを感じたww
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霊夢にヤンデレを感じたwww