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設定とか3

7月も中旬にに近づいたので、ウェブはくしゅのお礼画面6-10を更新しました。
基本的にここにあげるのは短いやつや下書きなんですがね。
あと収拾のつかなくなったやつとかw


というわけで昔上げてた奴のまとめ。








『6.無題』


「……また難しい注文だね」
「そうでしょうか?」


 霖之助はいつも通り突然やって来た咲夜の注文に、いつも通り首を捻らせていた。


「つまりスポーツ用品が欲しい、と」
「はい、出来れば外の世界の。ここにならあるのでしょう?」
「あるにはあるが……」


 霖之助は隅っこにある棚に近寄りながら尋ねた。
 ここにあるのは、使い方はわかっているが売れないだろうと踏んだ道具だ。
 今回咲夜が求めているようなものもたいていここに突っ込んだ覚えがある。


「弾幕ごっこでは駄目なのかい?」
「いつも同じことばかりでは飽きが来ますわ」


 それもそうかもしれない。
 だが回数をこなすことこそ弾幕ごっこの真骨頂ではないのだろうか。


「それで、条件がありまして」
「うん?」
「身体能力や固有能力に制限がかからないこと、です」
「…………」


 霖之助は道具を探す手を止めた。
 それを有りにしたらほとんどのスポーツが出来なくなってしまう。

 今取り出そうとした、古ぼけた野球やサッカーの機材を再び棚の奥にしまい込む。
 これだから、ここにある物は売れないのだ。


「頭のスポーツにしたらどうだい? 将棋や囲碁なら」
「申し込んで受けてくれるでしょうか?」


 そう言われると自信がない。
 いや、弾幕ごっこの代わりとしては間違いなく無理だろう。


「霖之助さんは、何かスポーツはなさらないのですか?」


 首を傾げて問う咲夜に、霖之助は少しだけ視線を逸らす。


「スポーツというものは団体競技が多い。僕にはあまり向かないよ」


 霊夢や魔理沙とスポーツ……。
 イメージしてみて、首を振った。
 いろいろとよろしくない気がする。勝っても負けても。あとプレイ中の見た目も。


「はぁ……つまり寂しいのですか? それなら紅魔館に来てくだされば……」
「……何を勘違いしているんだ。多い、と言っただけで無いわけじゃない。
 弓道とか、乗馬とか……」
「馬? 乗られるのですか?」
「……乗れない」


 霖之助は顔を背けたまま首を振った。
 そもそもこんな魔法の森近くで馬を飼ったり出来るはずもない。


「では、何もなされないので?」
「いや、たまにはやることもある」


 外の世界からルールブックやスポーツものの漫画が流れ着くこともある。
 必要機材の少ないスポーツなら、少々囓ってみたくなると言うのが人情というものだ。


「野球の素振り……は、飛んでくるボールというものがイメージできなくてすぐやめたか。
 サッカー……も、相手の必要性を感じたな……。
 後はテニスの壁打ち……ああ」


 霖之助はポン、と思い出したように手を打った。


「君たちなら、テニスに近いスポーツが似合うんじゃないかな。
 ただし、ルールブックは漫画になるけどね」




『7.無題』


「そうか! お似合いだぜお二人さん! 幸せにな!」


 霖之助の突然の結婚。
 その話を聞いて、魔理沙は明るく祝福した。

 それは本心からのものだった。
 だからこそ博麗神社で行われた披露宴でも人一倍はしゃぎ、騒いで盛り上げ、
ふたりの門出を盛大に祝うことが出来た。

 霊夢は……何物にも縛られない彼女らしく、いつもの調子でおめでとう、とだけ言った。
 しかし少しだけいつもと違うと気づいたのは……旧友の魔理沙だけだったかもしれない。

 そんな友人を見たせいだろうか。
 飄々として動じない旧知の兄貴分の主賓席で照れた姿と、その隣に座る艶やかな晴れ姿を見て……何とも言えない気分になった。


「霊夢、飲みが足りないぜ!」


 兄貴分を取られることの一抹の寂しさ。
 原因をそう理解した魔理沙は、さらに場を盛り上げることで誤魔化すことにする。




「……飲み過ぎたぜ」


 いつものように、魔理沙は香霖堂のドアに手をかけた。
 昨日は結局明け方まで宴会が続き、起きたのは昼過ぎだ。
 頭がガンガンと痛む。

 こういう場合は、香霖堂で二日酔いの薬を貰うに限る。
 そう、いつものように。


「香霖、邪魔す……」


 店内に足を踏み入れた瞬間、違和感に気が付いた。


「やあ、いらっしゃい魔理沙」


 霖之助の声がいつもより明るい。
 そしてその隣には、森近姓となった女性の姿。

 ふたりは幸せそうに微笑み、自然にふれあっている。
 身体の位置が近い。なのに邪険にされない。

 ただ触れ合っているだけなのに艶っぽく見える理由は……ひとつしかない。
 当然だろう、結婚したのだから。


「……魔理沙? どうしたんだい?」
「え?」


 霖之助に言われて初めて気が付いた。
 頬を伝う涙。

 いつの間にか、自分が泣いていたことに。


「いや、なんでもないんだぜ」


 慌てて目をこすり、涙をぬぐう。
 そして明るく笑うと、飛んできたとき目にゴミが入っただけだから、と誤魔化す。

 今日は飲み直しだな、と思いながら。
 その時は、霊夢も誘ってやってもいいかもしれない。
 飲み直して、泣き直しだ。


「知らなかったなあ……」
「何がだい?」
「いや、こっちの話だぜ。ほんとにさ」


 言って、言葉を噛みしめる。


 ――ああ、私は香霖が好きだったんだ。


 魔理沙はようやく……遅すぎる初恋と、初の失恋を自覚した。




『8.無題』


「どうしたの、難しい顔をして」


 声に振り向くと、すぐ側に幽香の相貌が霖之助を見つめていた。
 いつの間にか物思いにふけっていたらしい。


「いや、この傘が少し重いな、と思ってね」
「私用だもの。でも、貴方が作ったのよ? ……で、本当のところはどうなの?」


 彼女にはすべてお見通しのようだ。
 霖之助はひとつ苦笑を漏らすと、少し歩みを弛めた。


「いや……時の流れは速いものだと感じていたのさ」


 目の前に広がる向日葵畑を幽香と共に歩く。
 降り注ぐ太陽光を手に持った日傘で受け止めるが、さすがにひとつの日傘でふたりは無理だ。
 霖之助はほぼ日差しをそのまま受けているため、額に汗が滲んでいた。


「魔理沙のこと? それとも霊夢かしら」
「どちらも、さ。もうふたりとも……子供ではないのかもしれないな」


 その言葉で幽香は霖之助の表情に納得する。
 なるほど、つまりいろいろ興味を持ちだしたと言うことだろう。
 ふたりとももう多感な時期だ。


「男女が付き合うってどういうことか、と聞かれたよ」
「そうね……」


 幽香は傘を持つ霖之助の腕に手を回し、肩を寄せて当然のように呟いた。


「今の私たちみたいなものじゃない?」




『9.無題』


 やわらかい。
 ただその一言に尽きた。

 突然霖之助に押し当てられた幽香の胸。
 服越しにもはっきりわかるその感触。

 だがその行為も幽香の気まぐれか、すぐに彼の手は空を掴んだ。
 再び幽香が霖之助の顔を覗き込む。

 ……お預けを食らった犬のように情けない顔をしていることだろう、とそんなことを考えた。


「ふふ、苦しそうね」


 周囲に立ち籠める甘い香りが霖之助の理性をじわじわと蝕んでいく。
 身体を貫く衝動も、四肢を拘束されていてはただ心を焦がすだけ。

 媚薬効果がある、と彼女は言った。
 確かに……その言葉通りのようだ。


「おかげさまで……ね」


 朦朧とした意識の中、精一杯の言葉を吐き出した。
 四肢の戒めさえなければすぐにでも彼女に襲いかかってしまうかもしれない。
 そうなれば幽香は猛然と反撃し、霖之助は返り討ちに遭うだろう。

 もしかしたら彼女はそれを狙っているのかもしれない。
 なんと言っても彼女はあの大妖怪なのだし。
 しかし霖之助にこの蔓を引きちぎるだけの力はない。
 結局、彼女のおもちゃにされるままというのが関の山だった。

 やがて彼女の手がするすると霖之助の下腹部へ伸びていった。
 空いている手で、自らのスカートをたくし上げていく。


「ちゃんと立っているようね」


 誰のせいで、とは言わないでおく。


「……立てたなら……」


 そこで不意に、彼女の動きが止まった。
 何か企んでいるんだろうか。
 現在の位置からでは彼女の顔色を窺い知ることは出来ない。
 さっきの薬が全身に回ったせいか、霖之助はもう限界に達しかけていた。
 きっと目の前の大妖怪はそんな霖之助を見て焦らし、楽しんでいるに違いない。

 やがて彼女は、蚊の鳴くような声で言った。


「……べと……め……」
「……?」


 見ると、幽香の顔は真っ赤になっていた。


「貴方と私の、おしべとめしべをね、その……ゴニョゴニョ……したいんだけど……」


 これが先ほどまでの大妖怪と本当に同一人物なのだろうか。
 彼女は恥ずかしそうに……本当に恥ずかしそうに、おずおずと言った。


「これからどうするのか、わかる……?
 お膳立てすれば男の方がやってくれるって小さい神様が言ってたんだけど……。
 ……その……自由のするのはちょっと……怖い……」


 へぅ、と涙ぐむ彼女を最後に、霖之助のの意識は闇に落ちた。




『10.霖之助→咲夜→レミリア→霖之助→(ry』


 逢魔が時の香霖堂。
 赤い夕陽に照らされた店内に、紅い悪魔が居座っていた。

「ふぅん、なかなかの座り心地ね」
「……どいてくれないか」

 いつも通り椅子に座って本を読んでいた霖之助は、
突然膝の上に乗ってきたレミリアに、目を白黒させる。

 魔理沙よりさらに身体が小さいので収まりは良いが……。
 だからといって乗っていいというわけではない。

 それにここは道具屋だ。
 道具が褒められたら嬉しいが……霖之助の座り心地など褒められたところでなんとするのか。

「魔理沙に独り占めさせるのなんてもったいないわ」
「やれやれ、どこから聞いたのやら」

 ――きっと物珍しくなって試しに来ただけだろう。

 霖之助はそんな風に考えていた。
 彼の位置からではレミリアの後ろ姿しか見えず、表情は死角になっているため確認できない。
 もし見えていたら……もう少し、違った感想を抱いたかもしれないが。

「君からも何とか言ってやってくれ」

 霖之助は少し離れた場所に控えるメイド……咲夜に声をかける。

「お嬢様、ほんとに嬉しそうに……。
 あ、どうぞお気になさらないでください」
「余計なことは言わなくていいわ」
「いや、僕が気にするんだが」

 ため息。
 瀟洒で完璧なメイドは、ことレミリアに関して完璧とはほど遠い。

 ――どうして僕は、こんな少女が気になっているんだろう。

 何度も咲夜が来店してくるうちに、知らず知らず興味を持っていた。
 しかし咲夜は……レミリアのことしか考えていない。

 そんなところに惹かれたのだろうか。

 ――我ながら、どうかしている。

「いっそ私専用の椅子になりなさいよ」
「ここは道具屋だよ。生物は扱ってない」
「いいじゃない、どうせ売れないんだから」
「売れませんね」
「君たちがもっと買い物してくれればいいんだけどね」
「ふ~ん」

 霖之助の言葉に、レミリアはなにやら嬉しそうに声のトーンをあげる。

「貴方、私たちが来るときは話しに聞くほどひどくはないわよね。
 ひょっとして、待ってたり……する?」

 相変わらずレミリアの表情は見えない。
 彼女の感情も。

「……ああ、そうかも……しれないな」

 霖之助は咲夜を見つめていた。

 霖之助の膝で前を向いているレミリアにも、彼の視線に気づくことは出来ない。

「じゃ、じゃあ」

 それでもレミリアは、期待を込めて言葉を続ける。

「紅魔館に来なさいよ」
「あいにく、僕はここから動く気はないよ」
「別に毎日なんて言ってないわ。
 貴方が来ると……そう、パチェも喜ぶし……」
「……ふむ」

 悪くない提案かもしれない。
 あそこの図書館は霖之助にとっても魅力的な空間だった。
 それに、彼女といる時間が増える……かもしれない。

「咲夜は、それでも構わないのかい?」
「はい、お嬢様がお望みなら」

 咲夜は、レミリアだけを見つめている。
 忠誠心に彩られた瞳に、霖之助の姿は映っていなかった。

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Author:道草
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