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最後の拍手まとめです。

ふと思うところあって拍手SSを消去。
前の拍手に比べて使いにくかったり、なんだったり。
前のもコメントログがしばらくしたら消えちゃうしなあ。
連絡は記事拍手かメールの方でお願いします。

シリーズものは普通にメインSSとして連載すればいいよね、うん。


というわけで昔上げてた奴のまとめ。








『1.カラオケシリーズ07
   しかし まわりこまれてしまった』


「恋人よ~僕は旅立つ~
 東へと向う列車で~」


 霖之助の右隣で、紫が口ずさんだ。
 カウンターの上に頬杖を突き、楽しそうな笑顔を浮かべている。


「はなやいだ街で、君への贈りもの~
 探す、探すつもりだ」
「いいえ、あなた。
 私は欲しいものはないのよ」


 霖之助の左隣で、幽々子が口ずさんだ。
 まるで歌で会話しているかのような光景に、霖之助は戸惑いを覚える。
 もしくは、そういう歌なのだろうか。


「ただ、都会の絵の具に~
 染まらないで帰って」


 霖之助はふたりに挟まれ、紫が持ってきた道具の鑑定を行っていた。

 ひとつは、最新の手巻き式腕時計というものらしい。
 自動で時を刻む技術があるのに、わざわざ手巻きに頼るとはなかなか興味深いことだ。
 装飾も随分凝っていた。


「どうかしら、霖之助さん」
「……ああ、どうやらなかなかいいもののようだね。
 しかしちゃんとした鑑定をするのには少し時間がかかるがいいかい?」
「構わないわよ。
 待ってるから」
「あら、私の方も忘れないでね」
「わかっているよ。
 ……ただ、そっちも待ってもらうことになると思うが」
「ええ、いいわよ。
 どのみちしばらくいさせてもらうから」


 幽々子が持ってきたのは、一振りの刀だった。
 村正、という名のようだ。
 現存するものはほとんど無いと言われる刀だったが、なんと言っても彼女が持ってきた物だ。
 ひょっとしたら刀の幽霊かもしれない。

 そちらはまだ手つかずのままだが、ただならぬ妖気が漂ってくる。
 慎重に鑑定しなければならない。


「恋人よ~半年が過ぎ~
 逢えないが泣かないでくれ」


 再び紫が口を開く。
 幽々子もそれに応えるように、ゆらゆらと揺れていた。


「都会で流行の、指輪を送るよ~
 君に、君に似合うはずだ」
「いいえ、星のダイヤも
 海に眠る真珠も
 きっと、あなたのキスほど~
 きらめくはずないもの」


 ふと、霖之助はふたりの視線を感じた気がして顔を上げる。
 しかし紫も幽々子も、楽しそうに微笑むだけだった。


「……何か言いたいことでもあるのかい?」
「いいえ。作業を続けてちょうだい」
「暇なら店内でも見て回るといい。
 君にとってそんなに面白い物はないかもしれないが……」
「あらあら、大丈夫よ。
 私たち、こうしているだけで十分楽しいもの」
「ええ。その通りね、幽々子」
「それならいいが……」


 あえて霖之助は深く聞かず、作業に戻ることにした。
 わからないことは考えない。

 それが、幻想郷で生きる秘訣である。


「恋人よ~君を忘れて~
 変わってくぼくを許して~」


 紫の歌声は透き通るようで美しく、幽々子の歌声は誘われるような妖しさがある。
 霖之助はふたりの歌声が好きになっていた。
 ふたりいっしょの歌を聴いたのは、随分久し振りのように思う。


「毎日愉快に、過ごす街角~
 ぼくは、ぼくは帰れない」
「あなた、最後の
 わがまま、贈りものをねだるわ」


 しかしどうしてだろうか。
 ふたりの歌は、何となく何かを暗示しているようだった。

 それがなんなのかは、やはり考えない。


「ねえ、涙拭く木綿のハンカチーフ下さい」
「ハンカチーフ下さい」


 ふたりの声が揃い、微笑んだ。
 相変わらず仲のいいふたりだ、と思う。


「ひどい男よね」
「そうそう。恋人を残して旅に出て、そのまま帰らないなんて」
「……ああ」


 霖之助は、背中に汗をかくのを感じていた。
 なんとも言えないプレッシャーを感じる。

 作業中、ずっと感じていたふたりの視線。
 それがさらに重さを増した気がする。


「ところで霖之助さん」


 紫がじっと、霖之助の顔を覗き込んだ。


「霖之助さんは、恋人と夢、どっちが大切かしら」
「どっちが大事かしら」


 幽々子も笑いながら、霖之助へと身体を寄せる。


「ねえ、どっち?」




『2.どうして病みさとりにこうも心惹かれてしまうものか。
   心浮かれて心浮かれて踊り出す』


「……面白いわね、貴方。
 動物以外と話しててこんなに楽しいのは何百年ぶりかしら。
 そうだ、今度私のペットを連れてきてもいいかしら」


「お空に、お燐よ。
 ……ああ、貴方も気付いたみたいね。
 そう、お空は神の力が……」


「……お空が? また来たの?
 あの子、そんなこと一度も言わなかったわね。
 ……さとりと言っても、あの子の考えは読みにくいのよ。
 神になってからは余計にね……」


「最近お燐がつまらなさそうにしてるわ。
 貴方からも何か言ってやってよ。
 ……私も……つまらないわ……」


「あら、そのリボンは何?
 えっ、プレゼント? もしかして……。
 ……そう、お空へのプレゼントなの。
 ……………………。
 そう」


「私に感謝?
 やめてよ。そんなことされても少しも嬉しくないわ。
 それより、私と……。
 ……なんでもない」


「ねえ、私に何か言うことない?
 ……ないの? 本当に?
 当人たちの問題だって……」




「ねえ、お空。ちょっと話を聞かせてくれるかしら」




「あらあらあらあら……
 フフフフフフフフフフフフフフフ。

 フフフフフフフフフフフフフ
 フフフフフフフフフフフ
 お祝いの料理を作らないといけないわね」




『3.小悪魔は霖之助とパチュリーの娘。
   略して子悪魔シリーズ』


「パチュリー様ってものぐさですよね」


 本の整理をしながら、小悪魔がそう呟いた。


「そう思いません? お父様」
「その呼び方はやめてくれないか」
「あら……まだ認知してくれないんですね」


 霖之助はため息を吐きながら、読んでいた本から顔を上げる。
 紅魔館地下にある図書館は居心地のいい場所なのだが、過ごしやすいかと言われると首を傾げざるをえない。


「ものぐさね……」


 ふむ、と霖之助は昔を思い出してみた。
 彼女に出会ってからもう随分長い時間が経った気がする、


「いつも本を読んで勉強熱心じゃないか」
「動きたくないから好きなことだけしておきたいだけだと思います」


 霖之助の言葉に、小悪魔は首を振る。
 まさに一刀両断というやつだ。


「便利な道具をたまに開発してるじゃないか」
「楽をしたいだけだと思いますけど」
「それは立派なエネルギーだよ。
 外の世界もそうやって発展していったんだ」
「そーですかねぇ。
 パチュリー様もそうだとはとても……」
「パチュリーはあのレミリアからも頼りにされている。
 十分だと思うが」
「変人同士気が合うらしいですよ。
 あ、私が言ったって言わないで下さいね」


 霖之助から言わせれば十分小悪魔もその範疇だと思うのだが。
 ……それ以前に、パチュリーと気が合っている自分も変人なのだろうか、と首を傾げる。


「研究のために、召喚術を行使したね。
 君がその成果だ」
「雑用を任せる相手が欲しかっただけだと思いますけど。
 それにきっと、パチュリー様は霖之助さんと……」


 言いかけたところで、小悪魔は何か思い出したようだ。
 思い出し怒りか何かだろうか。


「そうそう、霖之助さんからも何か言ってやって下さいよ。
 汚した服や下着の洗濯なんて全部私に丸投げですよ。
 この前なんて机の角で下着を……」
「何を言っているのかしら」


 静かな声が、図書館に響いた。
 ぼそりと呟くようなそれは、不思議と耳に届く。


「……あ、パチュリー様。
 お元気そうで何よりですね」
「ええ。おかげさまで。
 ところでご丁寧に防音魔法を張ってたのはなぜかしらね。解除したけど」


 パチュリーは相変わらずの無表情だ。
 ……いや、やや頬が紅潮している気がする。


「霖之助。小悪魔借りていくわよ」
「ああ、好きにするといい」
「そ、そんなぁ。
 助けて下さいよお父様~」


 懇願する小悪魔に、しかし霖之助は首を振る。
 パチュリーは光で出来た鎖で、小悪魔をがんじがらめに縛り付けた。


「パチュリー様、ドメスティックバイオレンスですよ!
 そういうのは霖之助さんとベッドの上でやって下さい!
 あ、運動不足も解消出来て一石二鳥ですね」
「どうやったらその口を閉じられるのかしら。
 ……ああ、開発中の変身魔法があったわ」
「え? お母様ったらお父様と動物プレイを企んでただなんて……あっやめて、あああ。
 あああああ……あぁん」
「……まあ、あれだけ喋る元気があるなら大丈夫だな……」


 霖之助は遠ざかっていく声に苦笑を漏らしながら、読みかけの本に目を落とした。

 やはりこの図書館は居心地のいい場所だ、と思いながら。




『4.弁当屋ローレライin香霖堂。
   割烹着のミスティアっていいよね』


「お正月にお弁当屋って人気が出ると思うんですよ」


 料理の仕込みをしながら、ふとミスティアはそんなことを呟いた。
 霖之助は鍋の火を弱火にすると、彼女に振り返る。


「正月は家でおせちを食べるものだよ。
 神様を迎えた新年に台所を騒がせてはならないからね」
「でもこの前、神社の神様が言ってましたよ。
 せっかくの新年なんだから騒がしい方が楽しいって」


 その言葉に、霖之助は苦笑を漏らす。
 神が言うなら確かにそうなのかもしれないが……。


「それに美味しいですか? おせちって」
「美味しいと言うよりは、儀式みたいなものだからね。
 保存食も兼ねているし……」


 霖之助は記憶を辿りながら、ふと考えた。
 そう言えば、最後におせちを食べたのはいつなのだろう。


「語呂合わせの験担ぎもあるからね。
 田作りは豊作を、数の子は子孫繁栄。
 他にも紅白かまぼこやや喜ぶの昆布巻き鯛や鰤、海老も縁起がいいものとされている」
「それ全部、ここじゃ手に入らなく無いですか?」
「……それはそうかもしれない」


 少なくとも、店を始めて自分で作った記憶はない。
 食べなくてもいい上長寿な身の上、わざわざやる必要性を感じなかったからだ。

 霧雨道具店で修行していたときはどうだっただろうか。
 ……あの頃は、忙しくてそんな暇など無かったような気がする。


「それにこの前霖之助さん言ってたじゃないですか。
 最近では鰻もおせちに入れるって」
「うなぎ登りとかけているからだね。
 確かに悪くない考えだが……」
「ですよね!
 次の正月は『おせちもいいけど鰻もね』で決まりですよ」


 握り拳を作り、ミスティアが燃えていた。


「まったく、君の商売熱心さには頭が下がるね」


 言って、霖之助はひとつ頷く。


「だけどいいと思うよ。それに面白そうだ」
「えっ、手伝ってくれるんですか?」


 霖之助の言葉に、しかしミスティアは驚きの表情を浮かべる。


「おや、ひとりでやるつもりだったのかい?
 それならすまないことを……」
「いえあの、手伝ってくれるのはむしろ願ったり叶ったりなんですが」


 彼女は照れたように、もじもじと霖之助を見上げてきた。


「その、てっきり断られるかと思って……」
「修業時代に叩き込まれてね。
 店主の正月は挨拶回りに始終するものだそうだ」


 もっとも霧雨の親父さんの場合、行く先々で酒を呑んでばかりだったような気もするが。


「でも朝日の出だけは見させてくれよ」
「はい! いっしょに見ましょうね!」




『5.靴下は
   素晴らしい』


 新月の夜、霖之助は自慰に耽ることにしていた。

 妖怪の力は月齢に合わせて強くなる。
 だとすれば月の隠れる新月は、人間の力が強くなるのだろうか。
 それとも、単にそういう周期なだけか。
 そのどちらかは、わからなかったが。

 あまり積極的に性欲を満たしたいわけでもないのだが、
夢精して下着を汚しても情けないので定期的に行うことにしていた。

 風呂に入ったついでにやってしまえばいいのだが、
お湯がもったいない上薄着でいるのも寒い季節なので、居間で済ませることにする。

 幸か不幸か、外の世界のそういう本にも事欠かないのだが……。


「お邪魔します」


 霖之助の動きを先回りするかのように、玄関の方から声が聞こえてきた。
 続く足音。
 仕方なく霖之助は、コタツに足を突っ込んだまま来訪者を待つ。


「鍵はかけていたはずだが」
「私の周りにはね、鍵が開いてしまう厄もあるのよ」


 そう言って、厄神……雛は微笑んだ。
 寒いわね、と呟きながら霖之助の正面に腰を下ろす。


「……それで、なんの用だい」
「用がないと来ちゃいけないのかしら」
「閉店中とわざわざ看板を掲げていたなら、それが普通だと思うがね」
「うふふ、そんなに怒らないで。
 ちゃんと用ならあるわ」


 あったかい、と雛はコタツに足を伸ばした。

 ……まさか、コタツに入りに来た、とは言わないだろうか。
 霖之助は思わず眉根を寄せる。


「厄をね、引き取りに来たの」
「厄?
 厄なんてため込んだ覚えはないが」


 その言葉に、雛は首を振った。
 霖之助は下半身に奇妙な感触を覚える。


「あらあら、嘘ばっかり」


 衣擦れの音。
 霖之助の股間をまさぐる、靴下の感触。


「ね、こんなに溜まってる」

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Author:道草
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