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八坂大蛇 第02話

同じく18禁。エロの薄さはどげんかせんといかん。


先日の一件以来、神奈子との情事は続いていた。
店に漫画を読みに来た早苗、その裏で行われていたこととは……。

霖之助 神奈子 早苗






「お邪魔します」


 香霖堂に足を踏み入れた早苗は、反応がないことに首を傾げた。


「霖之助さん、いますか?」


 客がいないのはいつものことだが、霖之助の姿も見えないというのは珍しいかもしれない。
 普段あの店主は客がこないことに文句を言いつつ、ただずっと自分の席で本を読んでいるというのに。

 しかし奥の部屋からガタゴトと音がしているので、いるということだろう。
 待つことしばし。
 ようやく早苗の前に姿を現した霖之助は、なんだかとても疲れているようだった。


「すまないね、ちょっと取り込んでて」
「あ、ごめんなさい。出直しましょうか?」
「いや、その必要はないよ。君の用事は僕がいなくても済むものだろうし」
「それは……一応そうですけど」


 微妙に頬をふくらませる早苗……に気づかず、霖之助は雑誌の束を机に置いた。
 先日拾ったばかりの漫画本の山だ。


「これが今週分……ああ、月刊誌もいくつか入っているね」
「ありがとうございます」
「お茶はこれと……足りなくなったらあそこにあるのを使うといい。そのほかはいつも通りにね」
「はい」


 早苗は毎週これらを読みに香霖堂に訪れていた。
 その代償に早苗はいくらかの金銭や道具を置いていく。

 呼んでいる間、集中しやすいように携帯ポットにお湯をいれ、いつでも飲める位置にお茶をセットしておく。
 お茶については飲み放題。ただしお茶菓子は有料だ。
 早苗から聞いたところによると、漫画喫茶というスタイルらしい。


「外の世界のことは忘れようと思ったんですけど。でもどうしても気になって。そしたら他のもどんどん気になっていって……」
「まあ、いいんじゃないかな。嗜好品しかり、趣味しかり。ライフワークを持っているというのはそれだけで強みさ」
「そう言ってもらえると……。そうだ、この前八坂様が来ませんでしたか?」
「ああ……いや、来たけど。別に何もなかったよ。ただ挨拶に来ただけで」


 霖之助はやや視線を外しながら早苗に答えた。

 聞いた話によるともともと早苗はそこまで漫画好きというわけでは無かったが、幻想郷に来てから読みたくなったらしい。
 そのせいか少年や青年、少女コミックの区別無く読んでいるようだった。


「そうだ、君に言っておくことがあったんだ」


 ふと思い出したように声を上げ、彼がいつも使っている机から別の本の束を取り出した。


「君が前に言っていた単行本が入荷したよ」
「本当ですか?」
「ああ。雑誌によると完全版が出たせいで単行本は忘れ去られたってことだろう」
「そうなんですか」


 早苗は少し寂しそうな表情を浮かべた。
 忘れられて幻想郷に来た本と自分を重ねたのだろうか。


「これ、当時は読んでなかったから……でも完全版が出るならそっちも読んでみたいです」
「拾えたらね」


 幻想郷に新しいものが全く入らないというわけでもない。
 単に元の持ち主が無くしたから入ってくることだってある……が、そんな偶然で全巻待つのはまず無理だろう。
 それがわかっているのか、早苗はそれ以上何も言わなかった。


「じゃあ僕は奥にいるから。何かあったら呼んでくれたまえ」
「はい」


 早苗の集中力は高く、あらかた読み終わるまで数時間は放置しても大丈夫だろう。
 霖之助はひとつ大きく息を吐き、居間に入ると扉を後ろ手で閉めた。


「もう、遅いじゃない」


 すると横から抱きついてくる人影がひとつ。
 ……正確には人ではないが。


「君のところの早苗を相手してたんだ。少しは大目に見てほしいね」
「それはそれ、これはこれ。しかし店主は流れるように嘘をつくんだね」


 抱きつかれたままなので神奈子の吐息が耳にむず痒い。


「なんのことだ?」
「あの本だって、ずっと前に揃ってたんだろう?」
「いつ入荷した、とは言ってないから問題ない」


 切り札は多い方がいい。急に話題を変えたいときなど、使い道はいくらでもあるからだ、
 今回のように、いつ必要になるかわからないのだし。


「この前私が来たとき、何もなかったって?」
「ああ、結局僕は何も変わらなかったからね。剣は結局あのままだ」
「それについては不甲斐ない自分の言うんだね」
「……そう言う君はいつまで君はその格好をしているんだ」


 不甲斐ないと言われ、ムッとして神奈子を見返す霖之助。

 先ほどまで情事の真っ最中だったため、神奈子は素っ裸だった。
 しかも身体のあちこちで何回も果てたため汚れている。

 そんな状態で抱きつかれたので、霖之助が早苗のために着替えた服はあっという間に汚れてしまった。
 と言ってもその汚れは自分が出したものなので、強くも言えないわけだが。


「別にいいじゃないか、まだ汚れるんだから一緒だろう」
「……ん? まだ続ける気か?」
「当然」
「いや、早苗がいるだろう」
「結界があるから音は漏れやしないよ」


 神奈子は手早く霖之助を脱がしにかかる。


「やれやれ……」


 これは剣に認められ天下を取るための行為で、決して快楽に溺れているわけではない。
 そんなことを誰ともなしに言い訳しつつ、あっという間に全裸にされた霖之助は、
神奈子の突き出された尻に手を置き、自らの逸物を彼女の股間に挿入し始める。
 休憩を挟んだと言ってもさっきの今で、火照った身体はそのままだった。

 もちろん神奈子も準備万端で、挿入する前から密が溢れていた。
 漏れている半分くらいは霖之助の子種だったかもしれない。


「全く、参拝客には見せられない格好だな」
「その時は御利益が子宝とか縁結びに変わるだけだよ」


 神奈子の腰に手を回し、バックから激しく突き立てる。
 腰を動かす度に神奈子の巨大な乳房が別の生き物のように揺れ、肌にぶつかって音を立てた。
 霖之助も負けじと空いている手で掴み、揉みしだき、形を変えていく。

 獣のような格好で幾度となく果てる。

 どれほどそれを繰り返しただろうか。
 折り重なるように肌を重ねて腰を動かし、霖之助の手が神奈子の尻穴に触れた時だった。


「ひあっ……」
「ん?」


 神奈子が感極まったような声を上げた。
 しかしその理由を考える間もなく、トントンと扉をノックする音が聞こえてくる。


「霖之助さん、ちょっといいですか?」
「なんだ……痛っ……」
「大丈夫ですか?」


 気が逸れた瞬間、神奈子に押し倒された。
 頭を強かに床にぶつけたが、大事には至っていないようだ。

 そしてそんなことはお構いなしに仰向けに転がる霖之助の上に神奈子が跨り、
彼女の秘所はしっかりと霖之助を銜え込んでいる。

 外に声が聞こえたと言うことは、神奈子が結界を弛めたのだろう。


「いや、なんでもない。ちょっと転んだだけだ」
「そうですか、あの、痛くないですか? なんでしたら私が……」
「いや、大丈夫だから。もう大丈夫だから」


 焦る霖之助。
 こんな姿を彼女に見られるわけにはいかない。

 いかないのだが……あろうことか、神奈子がゆっくり腰を動かし始めた。


「それで何か……用……?」
「あの、途中の巻が抜けてるんですけど」
「途中……? ああ、それなら僕の机の引き出し、右上の……うっ」
「霖之助さん?」


 少し前、魔理沙に持ち出されそうになったためその本だけ別に置いたことを忘れていた。
 そんな説明をする暇もなく今度は神奈子に状態を抱きかかえられ、胸に顔を埋められる。
 なんとか口は出ているので喋ることは出来るのだが、視界が神奈子の乳房で占拠された。

 ある意味で絶景と言えなくもないが……この状態で早苗と受け答えするのはなんだか気まずい。大変気まずい。


「……他のは開けないでくれよ、と言っても鍵がかかってるがね」
「はい、わかりました」


 当然ながら早苗は首を傾げていたようだ。
 声で容易に想像できる。


「ふふ、早苗に聞かれそうで興奮したかい? ずいぶんと堅くなっていたよ」
「……とんでもないことをするな、君は。もし早苗が入ってきたらどうするつもりだったんだ」
「その時は仲間に入れてあげようかね」
「さすがにその冗談は笑えないぞ」
「ははは。さあ、続きと行こうか」









「……ああ、まだいたのか」
「…………」


 声をかけたが返事のない早苗……はいつものことだ。

 神奈子とはようやく今日のところは終了した。
 ……満足はしてもらえなかったようだが。

 霖之助は再戦を誓い……いつの間にかすっかり神奈子のペースだと、苦笑を漏らす。

 いつもの席に腰を落ち着け、手近にあった漫画本を開いて待つことしばし。


「あ、すみません。気づきませんでした」
「そんなに気に入ったら貸し出してもいいけど」


 霖之助の言葉に、しかし早苗は首を振る。


「……いいえ、またここに読みに来ます」
「そうか、そうするといい」


 出来れば神奈子とは別の日に。
 内心そう思うが、言えるわけがない。


「そういえば、八坂様の気配がしたんですけど」
「……おおかた、君を心配して様子を見に来たんだろう」


 霖之助は部屋の隅に据え付けられた神棚を見た。
 そこには守矢神社の御札が置いてある。
 ただそれだけでその神社は八坂神社の分社になった、と言うわけだ。

 そのせいで神奈子はここに急に現れたり、消えたり出来る。
 つい先ほど、神奈子がそうやって帰ったばかりなのだ。


「あれ、肩のとこ少し赤いですけどどうしたんですか?」
「……蛇に噛まれたんだよ」


 着物をずらし、キスマークを隠す。
 早苗に言われるまで気づかなかった。
 着替えたあと、神奈子は帰る前何も言わなかったし。気づいていたはずなのに。
 彼女のことだ、きっと早苗が気づくことまで予想していたのだろう。

 さすがに蛇に噛まれたというのは冗談と思ったのか、早苗はそれ以上追求してこなかった。


「ではこれ以上心配させてはいけないので」
「ああ。またおいで」


 店外で早苗を見送り、席に戻る。


「さすが風祝。気づいてたんだねぇ。あ、ちゃんと心配もしてたのは本当だよ」
「……帰ったんじゃなかったのか」
「忘れ物」
「なっ……」


 忘れ物というのは別れのキスのことだろうか。
 それではまるで……恋人ではないか。


「じゃあ、また来週だね。私は」
「……私は?」


 言うだけ言って、神奈子は再びさっさと帰ってしまった。
 虚空に尋ねても、返答が返ってくるわけがない。
 霖之助は神奈子の行動と言葉に思慮を巡らせ続け、しばらくそこから動けなかった。

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