RISING SOUL
韮さん(懶人荘)が「この組み合わせで書いてみろよウヘヘ(超意訳)」と言ったので書いてみました。
やってできないことはないよね。うん。
霖之助 ルーミア 妖夢 妹紅 萃香 文
「霖之助さんって面食いらしいですよ」
「へぇ~、なるほどなるほど。
やっぱオトコノコだねぇ」
ぱちりと音を立て、文は将棋の駒を動かす。
対面に座る萃香は、しかし微塵も慌てた様子はない。
「それでですね、鬼に伝わる美容法とかないですかね。効きそうなやつ」
「なになに? 新聞に載せるの?」
「う~ん、効かなかったら載せようかと」
「なにそれ、普通逆じゃない?」
「だって……ねぇ。あ、王手です」
「お、やるねぇ。でも甘いよ」
盤上では一進一退の攻防が続いていた。
なんでも、文々。新聞にいろいろな人妖との棋譜を載せ、将棋好きにもアピールしていきたいらしい。
……そんなことより。
「……本人の目の前で妙な噂を立てないでくれないか」
「あやや、聞いてたんですか。乙女の会話を」
「誰が乙女だ。……店内で喋ってるんだ。
わざと聞こえるように言ってるんだと思ってたがね」
「いえいえそんなつもりは」
……つもりは、なんだというのだろう。
あるのかないのか。
そこで切るのがいかにも文らしい。
「そもそも誰がそんな事を言い出したんだい」
「え? 紫さんですけど。
霖之助さんは見た目をとても重視するって」
「……紫か……」
霖之助は頭が痛くなる思いだった。
いつだって彼女は面倒事を持ってきている気がする。
「つまり面食いなんですよね、霖之助さん」
「そうなるねぇ」
文はジト目で、萃香はニヤニヤとした目で霖之助を見つめてきた。
それに答えるように、大きくため息を吐く。
「いや、そもそもだね。
紫は言動ともに胡散臭いからであって……」
「麺食いなのかー!」
突然、頭に衝撃。
よろけそうになるのを、なんとか堪える。
「霖之助ー。
私とんこつラーメンがいい」
「いきなり飛びかかるのはやめてくれ、ルーミア。
作業の手元が狂うだろう」
言いながら、霖之助は手元を確認する。
幸いにして、やりかけの作業は無事であった。
今やっているのは、黒い服……ルーミアの服の修理だ。
まるで刃物で裂かれたように、スカートがざっくりと破けている。
「そう? 大丈夫?」
「ああ、問題はない。それにしても……」
ルーミアは霖之助の肩に尻を乗せ、頭を抱きかかえるような姿勢で手元を覗き込んできた。
横目で見ると、彼女はスパッツという外の世界の衣類を身につけているようだ。
薄い布ごしに彼女のほっそりとした肉体が乗っかっている感触が伝わってくる。
「ルーミア、部屋の中で飛んじゃダメだろう」
「でも歩くの面倒くさーい」
ルーミアの来た方向から、別の声がやってきた。
「それにしてもこの服、動きやすいですけど、少し恥ずかしいですね」
妹紅、それから妖夢だ。
妹紅はいつもの格好だが、妖夢はルーミアと同じくスパッツを履いている。
「勝手に使わせてもらったよ、香霖堂。
なかなかいい服じゃないか」
「そのまま買ってくれると助かるんだがね」
3人を見比べ、霖之助は肩を竦めた。
この3人が来たのがつい先ほど。
それより少し前に店に来た文と萃香が、将棋をやり始めた頃あたりだ。
「……そもそもなんでこうなったんだい?」
「えーっと……」
妹紅は少し考え込む素振りをすると、口を開いた。
何故か少しだけ、視線を逸らしながら。
「妖夢と弾幕ごっこしてたんだよ」
「ふむ」
妖夢に目を向けると、頷いた。
どうやら本当のことのようだ。
「ちょっと輝夜に試したい技があって、その練習にさ。
そしたら上手く決まりすぎて妖夢の剣がぽーんと」
「飛んでいったわけか」
「すみません、私が未熟なばかりに……」
妖夢は申し訳なさそうに肩を落とす。
霖之助の手元にはルーミアと、それから妖夢のスカートも修理待ちの状態で置いてある。
おそらくこっちも弾幕ごっこの際破けてしまったのだろう。
「んで飛んでいった剣が、ルーミアをざっくりと」
「うん、飛んできた」
「それで、服を破いてしまったわけか」
ケガはないのは幸いと言うべきか。
もしくは、もう治ったのか。
どのみち妖怪だ。そう大事には至らないだろう。
「そして近くにあった道具屋に駆け込んだというわけさ」
「なるほどね」
店に来るなり服を押しつけられ何事かと思ったのだが、ようやく合点がいった。
修理自体は仕事なので構わないのだが……。
「……妖夢はどうして受けたんだい、そんな勝負を」
「えっと、幽々子様がたけのこを食べたいと仰いまして……」
「この季節にか」
霖之助は外に視線を送る。
まだまだ残暑が厳しいが、もうすぐ秋だ。
たけのこにはいささか時期はずれだろう。
「ええ、でも妹紅さんなら知ってるかと思いまして。
それで、勝負に勝ったら教えてくれると……」
「そうなのか?」
「ん~、知ってるというかなんというか」
霖之助の質問に、妹紅は気まずそうに視線を逸らした。
「まず輝夜を殺すだろ?」
「……うん?」
いきなりきな臭い話に、思わず眉根を寄せる。
「そしたら光る竹が生えてくるから、生えてきた瞬間を収穫すれば……」
「輝夜は復活するたび竹から生まれるのかい?」
「いやそう言うわけじゃないけど」
「じゃあ無理じゃないか」
「もしかしたら生えてくるかも、って思ったんだよ」
「そんなぁ……」
妖夢はなんとも困ったような声を上げた。
無駄足だということに気付いたのだろう。
……出来れば最初から気付いて欲しいところだが。
「結局妹紅が全ての原因じゃないか」
「え? そうかな?」
「そうだろう。
まあ妖夢の未熟もあるが……」
「うう」
霖之助に言われ、さらに肩を落とす妖夢。
そんな彼女に、霖之助は苦笑を浮かべた。
「というわけで代金は妹紅が払うのが筋だと思うよ。
ついでにたけのこと名の付く菓子に心当たりがあるから、それも付けようじゃないか。
きのことは仲が悪いらしいが……」
「本当ですか? ありがとうございます!」
「……わかったよ」
嬉しそうな妖夢の表情に、妹紅は観念したかのように頷いた。
しかし。
「慧音にツケておいてくれ」
「……いいのか?」
「ああ」
当然、と言うように頷く妹紅。
確かに、彼女たちの仲なら問題無いのかもしれないが。
「まぁ、払ってくれるならいいんだが、ちゃんと伝えておいてくれよ」
「ああ、任せろ。
いざとなったら身体で払えば……」
妹紅はなにやら企んでいるようだったが……。
どうせロクでもない事だろうと考え、霖之助はルーミアと妖夢に向き直る。
「というわけで、そのまま着て帰るといい。
服ももう少しで直るよ」
「ありがとうございます、妹紅さん」
「やったー」
「礼を言われるほどのことじゃないけどね」
妹紅は何故か胸を張っていたが……。
本当に言われる筋合いもない気がする。
しかも支払いは慧音なわけだし。
「でもこれ、気に入りました。
動きやすいし、スカートから下着が見えることもありませんし」
妖夢はなにやら気に入ったようで、スパッツを引っ張っていた。
「ぱんつ?」
その言葉に、ルーミアが不思議そうに首を傾げる。
肩に乗っている彼女の尻が気になったが……。
……いや、あえて考えまい。
「スカートがめくれるような動きをするのは未熟な証拠ですよ」
自信たっぷりに、文が口を挟んだ。
「鬼のぱんつは強いから大丈夫だよ」
よくわからない自信で、萃香が頷く。
「気に入ったのなら替えも買っていくといいよ。
妹紅が払ってくれるさ」
「いや、私じゃなくてだね……」
「え? いいんですか?」
このチャンスに売れるだけ売っておくべきだろう。
どうせ在庫は結構あるのだし。
しかし、ふと思う。
いきなりこんなに店に人が集まるとは……。
「まさか萃香が萃めてるんじゃないだろうな」
「にゃ?」
萃香が首を傾げた。
どうやら聞いてなかったようだ。
見ると、将棋も終盤らしい。集中しているのだろう。
「ところで霖之助さん、さっきの話なんですけど」
「ん?」
妖夢の問いに、霖之助は視線を向ける。
「あの、面食いって……」
彼女は恐る恐る、と言った様子で質問を投げかけてきた。
「……う~ん、意外なライバル? これは慧音も大変だな」
その様子を見て、妹紅はなにやら呟く。
……どうしてそこで慧音が出てくるかわからなかったが……。
「あやや、負けてしましました」
質問に答える前に、勝負が付いたようだった。
将棋盤を片付けながら、なにやら言葉を交わす。
「集中力が足りないよ、天狗。
無理もないかもしれないけどねー」
「……まあ取材は出来たのでよしとしますよ」
そう言うと、文は何故か霖之助を睨んできた。
「霖之助さんのせいですよ、もう」
「何故そうなる」
萃香の言う集中力と何か関係があるのだろうか。
……考えてもわかりそうにないが。
「で、ラーメンまだ?」
「その麺じゃなくてだね」
霖之助はため息を吐いた。
「面食いというのは、顔立ちのよい……つまり見た目を重視して選ぶような人のことさ」
「そーなのかー……」
ルーミアはその一言で興味を無くしたようだった。
あまりそう言った話題には興味が無いのだろう。
「……やっぱり霖之助さんもそうなんですか?」
「やっぱりってなんだい。
まあ、商人としても見た目は重要な判断材料だけどね。」
「だって結構長い間取材してますけど、浮いた話のひとつも出ないじゃないですか。
やっぱりこう、理想の相手ってのがいるのかなと」
「そういや聞かないねぇ、霖之助」
「うん、慧音も聞いたこと無いって言ってた」
文と萃香、それから妹紅が矢継ぎ早に捲し立てる。
妖夢もなにやら真剣な瞳で見つめてきた。
そんな彼女たちに、霖之助は肩を竦めて見せた。
「人物像というのは見た目だけじゃなく内面、立ち振る舞いも重要な要素になるものだよ。
特に好き嫌いに関するなら、尚更ね」
「つまり外面だけではないと?」
「むしろ中身を重視、と言ってもいいんじゃないかな」
「つまり霖之助さんは性格重視、と……」
なにやら文はメモしているようだった。
しかしそこで、妹紅が口を開く。
「でも妖怪は精神に依存してるから内面が外面に影響するって言ってたじゃないか」
「……まあ、確かにね」
文とルーミアは、その最たる例だろう。
萃香は例外。
妹紅は人間……なのだが、これも規格外と言っていい。
妖夢に至っては、内面外面以前にまず未熟だ。
「……何かひどいこと考えてませんか?」
「いいや。今後に期待と言うことさ」
そう言って、笑う。
楽しみなのには違いない。
そのためにも、きちんとした成長を遂げて欲しいところだ。
「中身を重視って事は……でも妖怪は内面が外面に……」
そこでふと、文が首を傾げた。
「あれ? やっぱり面食いって事じゃないですか?」
「いや、だからだね」
再び肩を竦める。
霖之助はこの無限ループからどうやったら脱出できるか、真剣に考えていた。
やってできないことはないよね。うん。
霖之助 ルーミア 妖夢 妹紅 萃香 文
「霖之助さんって面食いらしいですよ」
「へぇ~、なるほどなるほど。
やっぱオトコノコだねぇ」
ぱちりと音を立て、文は将棋の駒を動かす。
対面に座る萃香は、しかし微塵も慌てた様子はない。
「それでですね、鬼に伝わる美容法とかないですかね。効きそうなやつ」
「なになに? 新聞に載せるの?」
「う~ん、効かなかったら載せようかと」
「なにそれ、普通逆じゃない?」
「だって……ねぇ。あ、王手です」
「お、やるねぇ。でも甘いよ」
盤上では一進一退の攻防が続いていた。
なんでも、文々。新聞にいろいろな人妖との棋譜を載せ、将棋好きにもアピールしていきたいらしい。
……そんなことより。
「……本人の目の前で妙な噂を立てないでくれないか」
「あやや、聞いてたんですか。乙女の会話を」
「誰が乙女だ。……店内で喋ってるんだ。
わざと聞こえるように言ってるんだと思ってたがね」
「いえいえそんなつもりは」
……つもりは、なんだというのだろう。
あるのかないのか。
そこで切るのがいかにも文らしい。
「そもそも誰がそんな事を言い出したんだい」
「え? 紫さんですけど。
霖之助さんは見た目をとても重視するって」
「……紫か……」
霖之助は頭が痛くなる思いだった。
いつだって彼女は面倒事を持ってきている気がする。
「つまり面食いなんですよね、霖之助さん」
「そうなるねぇ」
文はジト目で、萃香はニヤニヤとした目で霖之助を見つめてきた。
それに答えるように、大きくため息を吐く。
「いや、そもそもだね。
紫は言動ともに胡散臭いからであって……」
「麺食いなのかー!」
突然、頭に衝撃。
よろけそうになるのを、なんとか堪える。
「霖之助ー。
私とんこつラーメンがいい」
「いきなり飛びかかるのはやめてくれ、ルーミア。
作業の手元が狂うだろう」
言いながら、霖之助は手元を確認する。
幸いにして、やりかけの作業は無事であった。
今やっているのは、黒い服……ルーミアの服の修理だ。
まるで刃物で裂かれたように、スカートがざっくりと破けている。
「そう? 大丈夫?」
「ああ、問題はない。それにしても……」
ルーミアは霖之助の肩に尻を乗せ、頭を抱きかかえるような姿勢で手元を覗き込んできた。
横目で見ると、彼女はスパッツという外の世界の衣類を身につけているようだ。
薄い布ごしに彼女のほっそりとした肉体が乗っかっている感触が伝わってくる。
「ルーミア、部屋の中で飛んじゃダメだろう」
「でも歩くの面倒くさーい」
ルーミアの来た方向から、別の声がやってきた。
「それにしてもこの服、動きやすいですけど、少し恥ずかしいですね」
妹紅、それから妖夢だ。
妹紅はいつもの格好だが、妖夢はルーミアと同じくスパッツを履いている。
「勝手に使わせてもらったよ、香霖堂。
なかなかいい服じゃないか」
「そのまま買ってくれると助かるんだがね」
3人を見比べ、霖之助は肩を竦めた。
この3人が来たのがつい先ほど。
それより少し前に店に来た文と萃香が、将棋をやり始めた頃あたりだ。
「……そもそもなんでこうなったんだい?」
「えーっと……」
妹紅は少し考え込む素振りをすると、口を開いた。
何故か少しだけ、視線を逸らしながら。
「妖夢と弾幕ごっこしてたんだよ」
「ふむ」
妖夢に目を向けると、頷いた。
どうやら本当のことのようだ。
「ちょっと輝夜に試したい技があって、その練習にさ。
そしたら上手く決まりすぎて妖夢の剣がぽーんと」
「飛んでいったわけか」
「すみません、私が未熟なばかりに……」
妖夢は申し訳なさそうに肩を落とす。
霖之助の手元にはルーミアと、それから妖夢のスカートも修理待ちの状態で置いてある。
おそらくこっちも弾幕ごっこの際破けてしまったのだろう。
「んで飛んでいった剣が、ルーミアをざっくりと」
「うん、飛んできた」
「それで、服を破いてしまったわけか」
ケガはないのは幸いと言うべきか。
もしくは、もう治ったのか。
どのみち妖怪だ。そう大事には至らないだろう。
「そして近くにあった道具屋に駆け込んだというわけさ」
「なるほどね」
店に来るなり服を押しつけられ何事かと思ったのだが、ようやく合点がいった。
修理自体は仕事なので構わないのだが……。
「……妖夢はどうして受けたんだい、そんな勝負を」
「えっと、幽々子様がたけのこを食べたいと仰いまして……」
「この季節にか」
霖之助は外に視線を送る。
まだまだ残暑が厳しいが、もうすぐ秋だ。
たけのこにはいささか時期はずれだろう。
「ええ、でも妹紅さんなら知ってるかと思いまして。
それで、勝負に勝ったら教えてくれると……」
「そうなのか?」
「ん~、知ってるというかなんというか」
霖之助の質問に、妹紅は気まずそうに視線を逸らした。
「まず輝夜を殺すだろ?」
「……うん?」
いきなりきな臭い話に、思わず眉根を寄せる。
「そしたら光る竹が生えてくるから、生えてきた瞬間を収穫すれば……」
「輝夜は復活するたび竹から生まれるのかい?」
「いやそう言うわけじゃないけど」
「じゃあ無理じゃないか」
「もしかしたら生えてくるかも、って思ったんだよ」
「そんなぁ……」
妖夢はなんとも困ったような声を上げた。
無駄足だということに気付いたのだろう。
……出来れば最初から気付いて欲しいところだが。
「結局妹紅が全ての原因じゃないか」
「え? そうかな?」
「そうだろう。
まあ妖夢の未熟もあるが……」
「うう」
霖之助に言われ、さらに肩を落とす妖夢。
そんな彼女に、霖之助は苦笑を浮かべた。
「というわけで代金は妹紅が払うのが筋だと思うよ。
ついでにたけのこと名の付く菓子に心当たりがあるから、それも付けようじゃないか。
きのことは仲が悪いらしいが……」
「本当ですか? ありがとうございます!」
「……わかったよ」
嬉しそうな妖夢の表情に、妹紅は観念したかのように頷いた。
しかし。
「慧音にツケておいてくれ」
「……いいのか?」
「ああ」
当然、と言うように頷く妹紅。
確かに、彼女たちの仲なら問題無いのかもしれないが。
「まぁ、払ってくれるならいいんだが、ちゃんと伝えておいてくれよ」
「ああ、任せろ。
いざとなったら身体で払えば……」
妹紅はなにやら企んでいるようだったが……。
どうせロクでもない事だろうと考え、霖之助はルーミアと妖夢に向き直る。
「というわけで、そのまま着て帰るといい。
服ももう少しで直るよ」
「ありがとうございます、妹紅さん」
「やったー」
「礼を言われるほどのことじゃないけどね」
妹紅は何故か胸を張っていたが……。
本当に言われる筋合いもない気がする。
しかも支払いは慧音なわけだし。
「でもこれ、気に入りました。
動きやすいし、スカートから下着が見えることもありませんし」
妖夢はなにやら気に入ったようで、スパッツを引っ張っていた。
「ぱんつ?」
その言葉に、ルーミアが不思議そうに首を傾げる。
肩に乗っている彼女の尻が気になったが……。
……いや、あえて考えまい。
「スカートがめくれるような動きをするのは未熟な証拠ですよ」
自信たっぷりに、文が口を挟んだ。
「鬼のぱんつは強いから大丈夫だよ」
よくわからない自信で、萃香が頷く。
「気に入ったのなら替えも買っていくといいよ。
妹紅が払ってくれるさ」
「いや、私じゃなくてだね……」
「え? いいんですか?」
このチャンスに売れるだけ売っておくべきだろう。
どうせ在庫は結構あるのだし。
しかし、ふと思う。
いきなりこんなに店に人が集まるとは……。
「まさか萃香が萃めてるんじゃないだろうな」
「にゃ?」
萃香が首を傾げた。
どうやら聞いてなかったようだ。
見ると、将棋も終盤らしい。集中しているのだろう。
「ところで霖之助さん、さっきの話なんですけど」
「ん?」
妖夢の問いに、霖之助は視線を向ける。
「あの、面食いって……」
彼女は恐る恐る、と言った様子で質問を投げかけてきた。
「……う~ん、意外なライバル? これは慧音も大変だな」
その様子を見て、妹紅はなにやら呟く。
……どうしてそこで慧音が出てくるかわからなかったが……。
「あやや、負けてしましました」
質問に答える前に、勝負が付いたようだった。
将棋盤を片付けながら、なにやら言葉を交わす。
「集中力が足りないよ、天狗。
無理もないかもしれないけどねー」
「……まあ取材は出来たのでよしとしますよ」
そう言うと、文は何故か霖之助を睨んできた。
「霖之助さんのせいですよ、もう」
「何故そうなる」
萃香の言う集中力と何か関係があるのだろうか。
……考えてもわかりそうにないが。
「で、ラーメンまだ?」
「その麺じゃなくてだね」
霖之助はため息を吐いた。
「面食いというのは、顔立ちのよい……つまり見た目を重視して選ぶような人のことさ」
「そーなのかー……」
ルーミアはその一言で興味を無くしたようだった。
あまりそう言った話題には興味が無いのだろう。
「……やっぱり霖之助さんもそうなんですか?」
「やっぱりってなんだい。
まあ、商人としても見た目は重要な判断材料だけどね。」
「だって結構長い間取材してますけど、浮いた話のひとつも出ないじゃないですか。
やっぱりこう、理想の相手ってのがいるのかなと」
「そういや聞かないねぇ、霖之助」
「うん、慧音も聞いたこと無いって言ってた」
文と萃香、それから妹紅が矢継ぎ早に捲し立てる。
妖夢もなにやら真剣な瞳で見つめてきた。
そんな彼女たちに、霖之助は肩を竦めて見せた。
「人物像というのは見た目だけじゃなく内面、立ち振る舞いも重要な要素になるものだよ。
特に好き嫌いに関するなら、尚更ね」
「つまり外面だけではないと?」
「むしろ中身を重視、と言ってもいいんじゃないかな」
「つまり霖之助さんは性格重視、と……」
なにやら文はメモしているようだった。
しかしそこで、妹紅が口を開く。
「でも妖怪は精神に依存してるから内面が外面に影響するって言ってたじゃないか」
「……まあ、確かにね」
文とルーミアは、その最たる例だろう。
萃香は例外。
妹紅は人間……なのだが、これも規格外と言っていい。
妖夢に至っては、内面外面以前にまず未熟だ。
「……何かひどいこと考えてませんか?」
「いいや。今後に期待と言うことさ」
そう言って、笑う。
楽しみなのには違いない。
そのためにも、きちんとした成長を遂げて欲しいところだ。
「中身を重視って事は……でも妖怪は内面が外面に……」
そこでふと、文が首を傾げた。
「あれ? やっぱり面食いって事じゃないですか?」
「いや、だからだね」
再び肩を竦める。
霖之助はこの無限ループからどうやったら脱出できるか、真剣に考えていた。
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No title
無限ループって怖くね?
そんなことを考えつつ霖ちゃんのフラグっぷりを堪能させていただきました~
あ、ちなみに俺はきのこ派です!
そんなことを考えつつ霖ちゃんのフラグっぷりを堪能させていただきました~
あ、ちなみに俺はきのこ派です!
No title
ずっとルーミアを肩車したまま話しているのを思い浮かべて悶えました。
それにしてもたけのこは幻想入りしたかやはりきのこには(ry
それにしてもたけのこは幻想入りしたかやはりきのこには(ry
No title
パンツを知らない・・・のか?
ということはまさかルーミア・・・・!!
ということはまさかルーミア・・・・!!
No title
ルーミアはノーパンスパッ(ry
しかしプロフ絵の一輪さんはいいねぇ
一輪さんの服のしたを想像するだけで興奮する
しかしプロフ絵の一輪さんはいいねぇ
一輪さんの服のしたを想像するだけで興奮する