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半月昇夜 第1話 夜会話

カップリングメインの話は他のところに上げにくくて困る。
フラグの立ちっぷり的に考えて。

予想よりちょっとだけシリアスっぽくなってしまった。
だからシリアスは苦手って言ったのに!

第1話の続きです。そっちから読んでね、お兄さんとの約束だぞ!

立ち絵などを描いてくれる方募集中~。


魂となった霖之助は夢枕に立つべく少女の元を訪れる。

霖之助 ゲーム風







→霊夢


「おや、霊夢のところに向かうのかい?」
「ああ。僕が死んだ事くらい大して気にしてないかもしれないが、だからこそ冷静に話を聞いてくれるだろう」
「大して……ね。やれやれ」


 肩を竦める小町に、霖之助は首を傾げた。

 霊夢は会いたくなった時には冥界まで押しかけてくる。そんな性格だ。
 だからそう思ったのだが……。

 霖之助が神社に向かうと、夜中だというのにまだ明かりがついているようだった。


「……まだ寝てないのかな?」
「起きてる相手の夢枕に立つ事は出来ないねぇ」


 小町と一緒に、神社の中へ。
 その一室、明かりのついている部屋を覗いてみる。

 霊夢がいた。
 規則正しく並べられた蝋燭の中央に正座している。
 部屋の中は何とも言えない雰囲気に満ちていた。
 一歩踏み込んだ瞬間、ぴくりと霊夢が反応する。


「……霖之助さん? ……と、もうひとりね。死神かしら」

(おっと、僕の姿は見えないんじゃなかったのか? それとも巫女だからかな?)
(いや、巫女と霊媒師は全然違うものだよ。旦那が幻想郷に仇なす悪霊だったらあるいは、見えたかもしれないけどねぇ)
(ふむ、となると……)
(どうやら見るための修行中、といったところかね)
(……霊夢が?)


 霊夢と修行がすぐに結びつかなく、霖之助は疑問符を浮かべる。


「……声を聞く事は出来ない、か」


 その間にも霊夢はひとり呟いた。
 視線はずっと、前を向いたままで。


「10日よ。たったの10日待てばいいだけ。たったの……」


 同じ言葉を繰り返す霊夢。
 しかしだんだんと力がこもってくる。


「待てるわけ無いじゃない……!」


 霊夢の瞳は、蝋燭の炎を写して紅く燃えていた。
 まるで、決意を滾らせるかのように。


(で? 誰が冷静に話を聞いてくれるって?)
(…………)







→魔理沙


「魔理沙かい?」
「ああ、付き合いも長いしね。生き返る事はわかってるんだからあっけらかんとしてそうだが」
「はぁ……わかってないねぇ……」


 呆れた表情の小町に、霖之助は首を傾げた。

 しかし魂の状態というのは存外に便利なものだ。
 束縛されるものが無く、自由に飛んでいける。
 もちろん小町のサポートあってのものなのだろうが……。

 飛行の魔術を覚えていたらこんな感じなのだろうか。
 地上は地上で乙なものなのだが、少し惹かれるものがあった。


「……暗いね」
「もう寝てるのかな?」


 魔法の森にある霧雨魔法店は真っ暗だった。
 壁をすり抜け、魔理沙の部屋へ身体を滑り込ませる。
 ベッドには誰もいない。
 部屋を見渡してみると……机に突っ伏して眠る魔理沙の姿があった。
 頬には涙の跡。
 どうやら泣き疲れて眠ってしまったらしい。


「やれやれ、かわいそうに。誰かさんはこんなに気楽なのにね」
「……こうやって会いに来たんだからいいだろう」


 少し予想外だったのもあって、上手く言葉が出てこない。
 何より……あまり魔理沙の泣き顔は見たくない。


「それで、どうすればいいんだ?」
「ああ、近くに立って意識を合わせようとするだけさ。
 あとはこっちでサポートするよ」
「そうか」


 霖之助は魔理沙の側に立つと瞳を閉じた。
 意識のチャンネルが切り替わるような感覚。

 ……真っ暗な霧の中にいた。
 何も見えない。
 先が見えない。


「ぅう……ひっく……」


 その中で、夢の中でも魔理沙は泣いていた。


「…………」


 一瞬、声をかけるか躊躇う。
 言いようのない後悔。


「魔理沙」
「こう……りん……?」


 霖之助の声に、魔理沙ははっと顔を上げた。


「香霖!」


 抱きつこうとする……が、そのまますり抜ける。
 生者と死者。
 夢の中だというのにどうにもならない現実。


「香霖……やっぱり……」


 再び泣き崩れる魔理沙に、霖之助はかける言葉を見つける事が出来なかった。

 出来るのは、ただ側にいる事だけ。
 霖之助は頭を撫でてやる事も出来ない現状に、焦りにも似た感覚を覚え始めていた。







→咲夜


「あのメイドかい?」
「ああ、復活した時お客を逃がしたくないからね」
「やれやれ、軽いねぇ……」


 苦笑する小町に、霖之助は首を傾げた。


「ま、少しは現実を知るがいいさ」





「咲夜はどうしたの?」
「寝かせたわ。魔法でね」
「……そう。主人より早く寝るなんてなってないメイドね」
「そうね。仕事は完璧だけど……いつも以上に」
「当然よ」


 言葉とは裏腹に、レミリアの表情は暗い。
 パチュリーは口を開き……やめた。
 魔法使いの言霊は強い。下手な事を言うべきではない。


「まだ誰もその運命ではないのに……」


 誰ともなしに呟くレミリア。
 すっかり冷めてしまった紅茶をすすり……ふと顔を上げる。


「侵入者? ……まあ、いいわ。今日くらいはね」





「貴方ですか」


 夢の中の咲夜は、落ち着いていた。


「ああ……」


 予想していたのと違う反応に、思わず面食らう霖之助。


「用なら後にしてくれます? 私はお嬢様の僕。他の事に割いてる時間は……時間……」


 瞬間、咲夜の動きがコマ送りのように見えた。
 おそらく、数度時間を止めたのだろう。


「時は戻らない……戻れない……」


 そう呟いて……咲夜は深いため息を吐いた。


「……今日は……疲れました……」


(ありゃー、こりゃ重症だねえ)
(…………)







→阿求


「面白がってないか?」
「ええ、楽しんでますよ」


 待ってましたとばかりに阿求は微笑んだ。


「それより、レディの寝室に女連れで来るなんてマナーがなってないんじゃないですか?」
「ある事無い事吹き込むような人間にマナーなんて言われたくないね」
「失礼ですね。無い事は言ってませんよ。ある事も半分くらいしか言ってませんけど」


 嘘ではない。ただ言わなかっただけ、と言う事か。
 余計タチが悪い気がする。


「霊夢たちに変な事を言っていただろう。死因がどうとか」
「あくまで可能性の話をしただけです」
「まったく……。で? 結局死因はなんだったんだい?」
「ありませんよ、そんなもの」
「……うん?」


 霖之助は首を傾げた。
 確かに今死んでいるというのに、おかしいのではないか。


「例え手違いだろうが、映姫様の決定とはそう言う事です。
 死んだという事実があって、後から理由が付けられます。
 閻魔様が黒だと言ったら、黒の理由が出来るわけですよ。
 それが白黒はっきり付けるということ。
 ですから死因は……お茶を飲んだ、事でしょうか。
 それがなんであれ、関係ありません」
「へぇ」
「なんで君が感心しているんだい、小町」
「いや、ほら。あたいっていつも黒だから」
「……サボらなければいいだけだろう……」


 笑って誤魔化す小町にため息を吐く霖之助。


「霊夢たち、冥界にまで押しかけてこなければいいが……」
「それはないと思います」
「ああ、そうだね」
「そうなのか?」


 はい、とふたり同時に頷いた。


「霖之助さんは今、あやふやな状態ですから」
「生と死の狭間ってやつだね。そんなときに生者に冥界で確認されたら……」
「死亡確定、か」


 そう言えばそんな猫の話があった気がする。
 ……やはり阿求は特別扱いということか。


「……それって」
「はい、皆さんに伝えましたよ」
「どうして僕だけ知らないんだ?」
「聞かれなかったからじゃないかね」


 ……そう言う問題なのだろうか。


「そうなると、下手に行動出来ないのか」
「いや、まあ。復活するだけならいろいろ方法はあるんだけどね」


 小町は少し頭をかいて……話を続けた。


「代償が大きいんだ。秘宝だとか記憶だとか身体の一部とか」
「あと、寿命とか」


 ふたりの言葉に、霖之助はただ頷く。


「それで、映姫様が選んだのが一番代償の少ない方法ってわけ。大人しく待つのが一番さね」

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