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ウォーリーを探せ

韮さんが誕生日だったのでネタを要求したところ、
「タイトルは『ウォーリーを探せ』で、ペットボトルの口にはまってしまったパチュリーに恋をしてしまった霖之助、もしくは文霖かルナ霖か」的なことを言ってたので書いてみました。
ウフフ。

イラストは相方のやつを。


霖之助 パチュリー 文 ルナチャイルド








「霖之助さん、パチュリー様を見かけませんでしたか?」


 地下図書館で霖之助を出迎えたのは、慌てた小悪魔の声だった。
 急いでいたのだろう、その額には汗がにじんでいる。


「いや、今来たばかりなんだが」
「あやや、なにやら大事件のにおいがしますね。
 スクープなら私にお任せですよ!」
「えっ、事件ですか?」


 霖之助の後ろをついてきた文とルナチャイルドが、それぞれの反応を見せる。
 文は興味津々に。
 ルナチャイルドは純粋な驚きで。


「パチュリーがどうかしたのかい?」
「えーと……」


 小悪魔はなにやら文を気にしていたようだが、やがて諦めたように口を開いた。


「実はですね、ちょっと魔法の実験に失敗しまして」
「失敗ねぇ」


 動かない、と称されるパチュリーであるが、魔法に関しては実践派である。
 そして魔法の実験とその失敗も、わりと日常茶飯事だった。


「ちなみに、どんな実験をしてたのかな」
「ミニマム化……縮小魔法ですね。
 お約束の爆発のあと、姿が見えなくなってしまったんです。
 きっとどこかに飛ばされたんだろうと思ったんですけど、返事がなくて……」
「なるほどなるほど。図書館の主、謎の失踪! ってところですか」
「文、変なことを考えないように」
「いやですねえ、まだ何もしてないじゃないですか」


 まだと言うことは、そのうちやると言うことだろうか。
 しかしそんなことを気にしていても仕方がない。


「パチュリーさん、見つかってないんですか?」
「そうなんですよ、それでできたら探すのを手伝っていただきたいなと」
「世話になっているしね、僕はかまわないんだけど」


 言って、霖之助はふたりを振り返った。
 目を輝かせている文は言わずもがなだろう。
 あと残るはルナチャイルドだが。


「ごめんなさいね、約束してたのに」
「大丈夫です。見つけてからでも十分ですから」


 そもそも今日この大図書館にやってきたのは、パチュリーに本を読ませてもらうためだった。
 前もって予約を入れていたのだが……とんだアクシデントである。



 外の世界の本に興味があるらしいルナチャイルドは、たまに香霖堂にやってきては本を読んでいく。
 むやみに騒がない上ちゃんと考えることのできる彼女は、話し相手としてかなり上の部類だった。

 そして香霖堂に置けなくなった本を、空間的に余裕のある大図書館に引き取ってもらっているという話になったのがしばらく前のこと。
 前の本も読みたいというルナチャイルドを、霖之助は大図書館に連れて行くことにしたのだが。

 出かける矢先、文が香霖堂にやってきたのだ。
 文の新聞の読者に感想を聞きたかったらしい。

 ついルナチャイルドが図書館に行くことを言ってしまったため、取材と言って彼女もついてきたのだった。


「見つかったらまた次回も入れてくれるように頼めばいいさ。今日の分と追加でね」
「いいんですか?」
「かまいませんよー。静かにしてくれるならパチュリー様も何も言わないでしょうし。
 それでは、お願いしますね」


 小悪魔は一礼をすると、慌ただしく去っていった。
 パタパタという羽根の音だけが残り、やがて消える。

 そんな彼女を見送り、文は両手を広げた。


「さて、やっぱり手分けして探すのが効率がいいでしょうね」
「だろうね。範囲はどこまでなのかな」
「何も言われなかったですね」


 言わなかったということは、小悪魔もわかっていないのだろう。

 魔法の失敗は思いがけない事態を引き起こす。
 もしかすると、探索場所はこの図書館だけとは限らないかもしれない。

 そして同じ発想に至ったのだろう。
 文が霖之助に視線を送ってきた。


「私、図書館の外を探してきますよ」
「そうかい?」
「ええ」


 彼女は頷き、肩を竦める。


「確率としては低いでしょうけど、ゼロじゃない以上調べないといけませんからね。
 それにこの図書館は本棚が多くて満足に飛べませんし。
 あまり高度を上げては、探すのも一苦労です。
 それに私なら、館を一周して来るのにもそれほど時間がかからないので無駄足になっても合流は速いかと」
「なるほど、確かに言い分はもっともだ」


 だが。


「……探すのを口実に、館の中を見て回りたいだけじゃないのかい?」
「いえいえとんでもない」


 にこやかに首を振る彼女に、霖之助はため息を吐いた。
 鬼と違い、天狗はよく嘘をつく。


「わかった。せめてレミリアの前ではおとなしくしておいてくれよ」
「それはもう、借りてきた猫のように。
 それではおふたりとも、また後ほど」


 言うが速いが、彼女の姿はあっという間に見えなくなった。
 さすが幻想郷一と言うだけのことはある。


「じゃあ僕たちは図書館の中を探そうか」
「そうですね」
「僕はこっちを探すから、ルナは向こうを頼むよ」
「わかりました……っ」


 ルナチャイルドは真剣な表情でうなずくと、そのまま振り返り……。
 思い切り、滑ってこけた。


「大丈夫かい?」
「へいきです……」


 涙目になりながらも、彼女は気丈に立ち上がる。
 霖之助はそんなルナチャイルドを心配そうに見つめると、やがて自らも探索の旅に出た。


「パチュリー……?」


 呼びかけながら、歩く。

 しかしだいたい目につくところは小悪魔が調べているはずだ。

 ではどうするか。
 魔法実験での失敗ということは、実験の最中に起こったと言うことだ。
 つまり現場を検証し直すのがもっとも手堅いのではないだろうか。
 現場百遍。捜査の基本である。


「ここかな」


 いつかパチュリーに教えてもらった、実験施設のひとつ。
 床に大きな魔方陣が描かれていた。

 ここも真っ先に小悪魔が調べたはずだが、あえて霖之助はここに来た。
 彼女にわからなかったことも、霖之助の目をもってしてみればまた違った見方ができるかもしれないからだ。


「これも違うな……これも違う」


 道具のひとつひとつを確認していく。
 パチュリーの行った魔法実験の道筋をなぞるように。


「んん?」


 やがて霖之助は隅っこの方に転がったペットボトルに目をとめた。
 一見何の変哲もない、ただのゴミにしか見えないペットボトルだが、用途が読み取れない。

 こういった道具にはいくつか理由があるが……。
 総じて言えることは、こういうものにはだいたい何かある、ということだ。

 霖之助はそのペットボトルを手に取り、目をこらす、


「パチュリー?」
「むきゅ~」


 そして予想通り、その中に目当ての人物の姿を発見した。
 どうやら目を回しているらしい。

 ペットボトルを逆さにして振ると、ころりと転がり出てきた。
 その衝撃で気づいたのか、パチュリーがゆっくりと上体を起こす。


「……ひどい目にあったわ」
「確かに、そうみたいだね」


 何しろペットボトルに入るサイズになっているのだ。
 ミニマムとはよく言ったものである。

 小さい身体のため、声も小さい。
 魔法で増幅してもらって、何とか聞こえるレベルだった。


「ちょっと待ってて」


 パチュリーが何事か唱えると、彼女の身体が一回り大きくなった。
 ビー玉サイズから手乗りサイズくらいまでだろうか。


手乗りサイズ


「すぐできる解呪もここまで、か。
 段階的にやっていくしかないわね……」


 声も聞き取れるほどになる。
 しかしその先は難航しているようだった。


「これが、今回の実験かい?」
「ええ、そうよ」


 霖之助はパチュリーの入っていたペットボトルを持ち上げ、まじまじと見つめた。
 その霖之助の肩に、ふよふよよパチュリーが浮かび、腰掛けてくる。


「あなた、西遊記に出てくる紅瓢箪って知ってるかしら」
「金角、銀角のエピソードだね。
 名前を呼んで、返事した者を吸い込むという」
「そう、それを参考にして作ってみたのよ。水になったりはしないけどね」


 それで見事に失敗した、というわけだ。

 この口にどんな魔術が刻まれているのだろう。
 七曜の魔女が作った魔道具。
 そう思うと俄然興味が湧いてくる。
 この尽きることのない情熱は恋に似ているのかもしれない。


「とにかく、こんな姿をあの天狗に見られるわけにはいかないわ。
 解呪するから必要なものを持ってきてほしいのだけど、頼めるかしら?」
「ああ、任せてくれ。その代わり……」
「ええ、ある程度は教えてあげるわよ。成功したらね」


 パチュリーは苦笑し……そして表情を固まらせた。
 何事かと霖之助が振り向くと、そこに見知った者の姿を見つける。


「あ、あの」
「ルナか。えっと、なんというか」
「妖精に見つかるなんて……」


 悔しそうな表情を浮かべるパチュリーに、ルナチャイルドは一歩歩みを進めた。
 そして意を決し、口を開く。


「私、音消せますから。隠れる手伝いになると思います」
「……協力してくれるのかしら」
「はい」


 彼女の瞳をしばし見つめ……やがてパチュリーは肩を竦める。


「あなたにもお願いするわ。こんな身体で何を言ってもかっこつかないしね」
「ルナはいい子だよ。それに誰にも言わないでいてくれるさ」
「ふぅん、信用してるのね」
「えっと、あの……」


 何か言いたそうなパチュリーとルナチャイルドの視線に、霖之助は首を振った。
 この話をこれ以上続けると、なんだかよくない気がする。


「じゃあ早速解呪にかかろう。何を持ってくればいいのかな?」
「そうね、まずは……」


 文が戻ってくるまで。
 タイムリミットは目の前だ。

 それまでにもう少しパチュリーの身体を元に戻す必要がある。
 せめて、妖精くらいの大きさまでは。


 霖之助は文に見つかったときのごまかし方を20パターンほど考えつつ、材料集めに奔走するのだった。

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No title

なんとも無茶な注文だと思いきや全部ブッコむとはw
ミニマム化したパチュリー・・・・・・・・・イイネッ!
それにしてもこの小悪魔真面目である。
天狗の嘘よりそっちが目に付くようになってしまいましたww

この話の続きや、他のカップリングの話も楽しみにしています!

No title

ぱっとごまかし方を20パターン考えられるとか霖之助さんまじパネェw

そして手乗りパチュリーマジかわいいです^q^

さあ、その20パターンを詳しくw
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道草

Author:道草
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フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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