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子悪魔シリーズ20

非想天則でパチュリーの同キャラ対戦は分身してるという話だったのでつい。
しゃもじさんに挿絵を描いていただきました。
感謝感謝。


霖之助 パチュリー 小悪魔









 紅魔館だからといって紅茶ばかり飲むというわけではない。
 コーヒーが飲みたければ用意するし、ジュースを飲んでみることもある。

 今日は霖之助が持ってきた緑茶を入れることにした。
 たまには自分でと思い、小悪魔から急須を借りてお湯を注ぐ。


「どこからが浮気なんですかねぇ」


 何故か霖之助のすぐ後ろに立ち、小悪魔がそんなことを呟いた。


「おや、見てごらんパチュリー。茶柱が立っていたよ」
「あら、幸運の前兆かしら。魔法使いは縁起を担ぐものだから、大事になさい」
「でも見られる前に飲まなければいけないという話しもあったような気がするね」
「そう言う場合は、幸運になると言う要素だけ抜き出せばいいのよ」
「そういうものかい?」
「ええ。魔女は欲張りなのよ」
「おふたりとも、娘の質問はもっと真剣に聞くものですよ!」


 霖之助は振り向かないままため息を吐いた。
 耳元で騒がれるとかなり響くのだが。


「個人的には無視してもいいと判断したんだけど」
「個人的には耳を傾けるべきではないと判断したよ」
「同じことじゃないですか! いいから構って下さいよ!」


 わざわざ小悪魔はふたりから見えやすい位置に移動し、なにやら主張し始める。
 仕方なく霖之助が視線を向けると、彼女は自信たっぷりに言葉を続けた。


「で、私は先っぽまでならセーフだと思うんですよね」
「随分広いわね」
「それはセーフなのかい?」
「悪魔ですから」


 突然何を言い出すのだろう。
 思ったが……まあ、今更か。


「お母様はどのくらいだと思います?」
「さぁ、考えたこともないわ」


 そう言って、パチュリーはちらりと霖之助を見た。
 信じている、ということなのだろう。

 もちろん霖之助もそんな事は考えたことなかったのだが。


「じゃあ例えばですね」


 何の因果か、小悪魔によって考えさせられるらしい。


「お父様がお嬢様と一緒にお茶してたりとか」
「別にそれくらいはするでしょうね」


 小悪魔は指折り数えながら口を開いた。
 例にしては妙に具体的である。


「美鈴さんとふたりで朝の体操してたりとか」
「私も誘われたわよ。行かなかっただけで」


 首を振るパチュリーに、霖之助は肩を竦める。
 確かについ先日も誘われた気がする。


「妹様を膝の上に乗せて本を読んであげたりとか」
「……妹様だし」


 ……あれは先週のことだったか。
 なんだか、パチュリーの声に抑揚が無くなってきた。


「咲夜さんとふたりきりでディナーをしてたりとか」
「ふぅん」


 ただパチュリーは頷いた。
 ……何故だかそれが、すごく怖い。


「なるほど、だいたい線引きがわかりました」


 小悪魔は満足そうに頷いた。

 そしてすすすと霖之助に近寄り、なにやら耳打ち。


「どうしましょ、お父様。あの件が言い出しにくくなりましたよ」
「心当たりがないね」


 耳打ちのわりに、周囲に聞こえるような声の大きさなのはわざとだろうか。
 もちろん周囲と言ってもパチュリーしかいないわけで。


「別に構わないのよ。紅魔館のみんなと霖之助がいくら仲良くしても。
 むしろしてくれた方が私としては嬉しいわ」
「あら、そうなんですか」


 当てが外れたように、小悪魔は肩を竦めた。
 ……何を考えていたのだろうか。


「だって、家族みたいなものでしょう?」
「……そうだね」


 そう言って微笑むパチュリー。
 家族としての付き合いをしろ、と言う意味も含まれているのかもしれない。


「じゃあ私も今よりもっと親密になるべく、ここらでひとつ肉体関係をですね」
「パチュリー、お茶のおかわりはどうだい?」
「いただくわ」
「スルーですか!?」


 パチュリーは霖之助から湯飲みを受け取ると、お茶を一口啜る。
 それからゆっくりと小悪魔に向き直った。


「で、浮気がどうかしたのかしら」
「え? いや、ちょっと気になることがありまして」


 珍しく口ごもる小悪魔。
 やがて霖之助をちらりと見て、口を開く。


「最近、お父様がどうも複数の女性とえっちなことしてる気がするんですよね」
「…………」
「いや、記憶にないが」


 パチュリーの視線をひしひしと感じながら、霖之助は首を振った。
 風評被害も甚だしい。


「具体的には一昨日の23時47分15秒から開始したんですが、でもその時紅魔館にいらっしゃいましたし、ひょっとしてと」
「……細かいね」
「全部覚えてますよ、バッチリと」


 何故だか胸を張る小悪魔に、パチュリーはため息を吐いた。


「それなら心配ないわ」
「え? でも確かにお父様が前後からくんずほぐれずネッチョネッチョと」
「そんなところまでわかるのかい」
「ええそれはもう。余すところ無く美味しく頂きました」


 何が美味しかったのかは……聞かないでおいた。
 だいたい予想は付くから困る。


「だって、それは両方私だもの。何も不思議はないわ」
「んん? 前からお父様のあれを攻めてたのも?」
「そうよ」
「じゃあ後ろからお父様に押しつけてたのも?」
「それも私よ」
「ううん? つまり……」


 考え込む小悪魔だったが、やがてハッと気付いたように顔を上げる。

前から後ろから

「ああ、なるほど!」
「いや、説明しなくていいから」


 口を挟むが、ふたりは聞く気がないらしい。
 普段スルーされる小悪魔の気持ちが少しわかった気がする。


「んもう、分身プレイとはさすがですね!」
「あくまで魔法実験の一環よ」


 澄まし顔のパチュリーだったが、小悪魔はなにやらニヤニヤとした笑みを浮かべていた。


「でもお父様。お母様が増えるってどんな感じなんですか?」
「ああ、正確にはまったく同じではないんだよ。
 昨日はちょっとSなパチュリーと、ちょっとMなパチュリーがいてね……」
「お父様の好みはどちらでした?」
「僕は……」


 口を開きかけ……思い直す。


「……いや、ノーコメントで」
「えー」


 不満そうな声を上げる小悪魔に、パチュリーはため息を吐いた。
 ……少し残念そうな響きが混じっていたのは、気のせいだろうか。


「魔法実験と言ったでしょう。分身で性格も分けてるのよ」


 パチュリーは魔導書に目を落とし、少し楽しそうに言葉を続ける。


「いつか魂を分けるようにできるのが目標ね。
 蓬莱人を参考にして……時間経過で魂が回復していけば、一時的な不死を再現できるわ」
「なるほどね。面白そうじゃないか」
「あ、はいはい! 私をお忘れなく」


 笑みを浮かべる霖之助に、小悪魔は元気よく手を上げた。
 そして霖之助ににじり寄ってくる。


「実はですね、分身と言えば私もできるんですよ」
「君もかい?」
「正確にはちょっと違うんですけど。
 ま、悪魔ですから」


 にゅ、と小悪魔の掌から小さい小悪魔が現れる。
 萃香の分身に似てるかもしれない。

 だがよく見ると髪型が小悪魔とは違っていた。
 体型も少し違うようだ。


「ロングな私とかショートな私とか。ツンデレだったりデレデレだったり、101人小悪魔大行進ですよ!
 よりどりみどりってことで、ここはひとつお母様も交えて乱交でも」
「そこまでよ」


 パチュリーの言葉と同時、小悪魔が視界から消えた。
 いなくなったわけではない。足下を見ると、小さい小悪魔がちょろちょろと動いている。
 何か言っているようだが、小さくて聞き取ることができない。

 おそらくパチュリーの魔法だろう。
 まあ、これだけ小さければ害もないのかもしれないが。


「一言余計だったわね」
「まあ、小悪魔だしね」


 手乗りサイズとなった小悪魔を、パチュリーは拾い上げる。
 それから読んでいた本の上に乗せると、そのままページを閉じた。

 むぎゅ、と聞こえた気がするが……気にしないことにしておく。


「あなたも、あまりきょろきょろしないことね」
「君だけを見ている、と言えば満足かな」
「……いえ、足りないわ」


 と言いつつ、パチュリーの頬が赤く染まった。
 同時に彼女の持っていた本がガタガタと動くが……パチュリーが表紙を叩くと、静かになる。


「次はあなたの番よ」
「分身かい? しかし僕の力じゃあまり持続しないと思うが」
「構わないわよ」


 そう言って、彼女は微笑む。


「楽しむ間だけ、持てばいいんだもの」
「……ああ」


 ――本当に、魔女というのは欲張りだ。

 霖之助は苦笑すると、肩を竦めた。
 長い夜になりそうだ、と思いながら。

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非公開コメント

No title

・・・なんてエロスw
なんとも性欲に満ちた生活をしているご様子でw
色々と妄想していたr・・・・ブハァ!(鼻血)
これからも期待しています。頑張ってくださいw

No title

パチュ霖強化月間キター!
強化月間の1作目からとばしてきますねw(性的な意味で)
やってる事はちゃんと魔法の実験なのにエロスに絡むあたり、やっぱりパチュリーは小悪魔の母。
今月は目が離せそうにないです。

No title

夫婦生活の大敵は退屈だと聞くけど、それならこの二人の場合は順風満帆この上ないなあ。
そしてこの後道草さんは二人の円満な夫婦生活の為に更なるエロス溢れる展開を書かなければならないと。つまりそういうことなんですね。期待していますこの上ないほどに。


それと、「動物みたいに恋したい!」を仙台のとらで買いました。地震の被害の甚大な中その合同誌はまるで砂漠を彷徨う最中に目前に現れたオアシスのごとく乾いた被災者の心を潤してくれました。最高の二文字でした。
これからも是非、道草さんらしく創作活動に励んで頂ければ至上の幸いです。

No title

強化月間マジパネェ・・・・・

しょっぱなから問題発言だと思ったらなにこのラブラブ夫婦萌える^q^

あとラストはつまり下の二つのあna(ピチュチュチューン ←粛清されますた
パッチェさんまじいんら(ピチュチュチュチュチュチューーーン ←あらゆる手で粛清されますた

No title

ぶんしんえっちえろいよパチェさん。
魂の研究って事なら、二人の魂を入れ替えて普段とは逆の性別で…()。
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道草

Author:道草
霖之助がメインのSSサイト。
フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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