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美酒の条件

萃霖というリクっぽいものを貰ったので。
……とても期待に応えられた気がしないのはエロくないからです。

春に夜桜、夏には星。
るろ剣ネタももうわかる人が少ないかもしれない……w


萃香と縁側で一緒に酒を呑む霖之助。

霖之助 萃香







「結局その日は勇儀のやつと朝まで殴り合ってさ。
 次の日丸々ふたりで後片付けだよ。旧市街の3割くらいが壊滅したかな?」
「そんなにか……すさまじいものだな、鬼というのは」
「でも終わったあと、仲直りにふたりで呑んだ酒は格別だったよ」


 語り終わって、萃香はぐいっと杯を呷った。
 大きな瞳から零れる懐かしむような光も、すぐさまいつもの調子に戻る。


「ほら、次はりんのすけの番」
「ああ、そうだな……」


 萃香から注がれた杯に満月を映しながら、霖之助は過去へと想いを馳せる。

 酒が旨かったときの思い出話を肴に、ふたりは酒を呑んでいた。
 並んで縁側に腰掛け、聞こえてくるのは虫の声と風の音。

 秋の夜長に、と香霖堂にやってきた萃香が提案してきた。
 語り終わったら一杯。
 百物語から思いついたらしい。

 だがこの方法なら、際限なく酒を呑まされると言うこともない。

 さすがに生きている年期の差か、萃香が3つほど話したあとに霖之助がひとつ話す。
 呑んでいる酒の量も相応の差があるが……萃香はまだまだ元気のようだ。


「あれは、10年ちょっと前だったか」


 あまり昔語りをするタイプではないのだが、たまにはいいだろう。
 萃香はなんだかんだで聞き上手だ。
 伊達に長く生きているわけではないと言うことだろうか。


「……というわけで、魔理沙が生まれた日に霧雨の親父さんと呑んだ酒は旨かったな」
「へぇ~」


 語り終わり、酒を一杯。
 次は再び萃香の番……なのだが、その前に霖之助は疑問を解消することにした。


「ところで萃香」
「な~に?」
「いつになったら、君の言う極上の酒というものを呑ませてくれるんだい?」


 今呑んでいるのは珍しく萃香が持ってきた酒だった。
 銘酒というには物足りないものの、口当たりがよく呑みやすい。

 だが萃香は最初にこう言ったのだ。


 ――ふたりで一緒に酒を呑もう。極上の酒を味わわせてやる。


「慌てない慌てない、今仕込みの真っ最中なんだから」
「仕込み?」


 萃香の言葉に、首を捻る霖之助。
 話しに聞く酒虫でも持ってきたというのだろうか。
 もしくはあとから配達してくるとか……。

 いくつか考えたが、結局答えは出なかった。


「わからないな、どういうことだい?」
「ん~……ま、いいか」


 萃香は一瞬眉根を寄せて悩んでいたが、いつも通りの軽い口調で軽く頷く。


「要するに今までの話だよ」
「ふむ?」
「親しい友と呑む酒は、例え安物でも格別ってこと」
「……なるほど」


 つまり萃香は、霖之助と仲良くなりたい、と言っているのだ。

 酒の旨さにも精神的なものを求めるあたり、実に妖怪らしい考え方といえる。
 だが、霖之助好みの考え方だった。

 風流こそ酒の友である。
 春に夜桜、夏には星、秋に満月、冬には雪。それだけで酒は十分美味い……と、外の世界の書にもそう書いてあった。


「なかなか悪くない趣向だな」
「ああ、りんのすけならそう言うと思ったよ。ますます気に入った」


 霖之助の言葉に、萃香は嬉しそうに膝を叩く。


「ずっとりんのすけと呑みたかったんだけど、宴会に出てこないんだもの」
「ああ……まあ、いろいろあってね」


 天狗や鬼と呑むのを避けていた、とはとても言いにくい。


「じゃあ改めて、新たな盟友に乾杯。特別に私の酒を注いであげるよ」


 萃香は自分の瓢箪でふたりの杯に酒を注いだ。
 ゆらゆらと揺れる水面を眺めながら、霖之助は興味深そうにため息を吐く。


「鬼の酒か。一度呑んでみたいと思っていた」
「それはちょうどいいねえ。私にとっては唾液みたいなものだけどさ」
「……その表現は聞きたくなかったな」


 苦笑して……杯を酌み交わす。

 だが一口酒を含んだ瞬間、身体が一気に熱くなった。
 目が回る。
 ここまで強いとは予想外だった。


「言い忘れてたけど……」


 萃香の声が遠い。
 だが何故かすぐ近くから聞こえてくる。そんな気がした。


「この酒は強いからさ、鬼以外が呑むときは薄めながら呑むのさ」


 ちゅ、と唇が塞がれる。

 頭が回っていないせいで、彼女の言っている意味と自分に起こった出来事が理解できたのは、
口の中に残った酒の大半を彼女の唾液と交換したあとのことだった。


「……こうやって、ね。
 言っただろ? 私の唾液みたいなものだって」


 幼い外見に似合わず妖艶な微笑みを見せる萃香。
 ……頬が紅潮しているのは、酒のせいばかりではないだろう。


「予想外……だった」
「私の酒は、旨かっただろう?」
「……まあ、ね」


 萃香は霖之助の返答に満足げに頷いた。
 頷いて……囁くように、そっと言葉を続ける。


 ――もっともっと、美酒になるから。

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