私に教えてくれる人
メディスンは腹話術の人形くらいの大きさらしいです。
……ん? すると妖精くらい?
とまあ、そんな感じのメディ霖。
霖之助 メディスン
「霖之助ってかっこいいの?」
「全然だぜ」
「正反対ね」
メディスンの言葉に、霊夢と魔理沙は首を振った。
まさに一刀両断、と言うやつである。
「そうなの? う~ん、比較的まともに見えるけど」
「見た目はそうかもしれないけど、中身がかなりの玄人好みだぜ。
素人にはオススメできないな」
「いわゆる残念なイケメンってやつね。
もちろん好きな人は好きだろうけど」
「ふたりとも、容赦のない評価をありがとう。
そして客じゃないなら出口はあっちだよ」
我が物顔で香霖堂に居座っている魔理沙と霊夢に、霖之助は苦い表情を浮かべた。
霖之助の指さしたドアを、ふたりは見向きもしない。
「まあ、私は香霖のプロフェッショナルだがな。
それより、なんでこの毒人形がここにいるんだ?」
「なんでって、むしろ僕はなんで君たちが当然のようにうちにいるのかを知りたいがね。
しかも僕はお茶もお茶菓子も出した覚えはないんだが」
「常連だからだぜ」
「常連だからよ」
「客ではないがね」
ふたりの返答に、霖之助はため息を吐く。
霊夢がいつの間にかお茶とお茶菓子を用意しているのもいつも通りだし、
魔理沙が茸をストーブで炙っているのもいつも通りだ。
甚だ遺憾ではあるが、これがこの店の日常である。
「私は人形開放の野望のために霖之助に協力してもらってるの」
毒人形と呼ばれたメディスンは、気にした素振りも見せず笑顔で返した。
「人形開放の? それって……」
「あら、霖之助さんは妖怪の肩を持つのかしら。
まとめて退治するべきかもね」
「やめてくれ」
霊夢の視線は霖之助とメディスンを交互に行き来し、剣呑な光を灯す。
博麗の使命か、それとも……。
「でもね、霖之助に言われたのよ。
人形開放の道はまだまだ遠いみたいだから、ここで勉強したほうがいいって」
「むやみに敵を作っては達成できるものもできないからね。
まずは学習ということさ」
「ふぅん……なるほど」
霊夢はなにやらなにやら頷くと、それきり興味を失ったかのようにメディスンから視線を外した。
勘のいい彼女のことだ。
知識を身につけさせ、暴走するのを止めるという霖之助の意図に気付いてくれたことだろう。多分。
四方八方に喧嘩を売って長生きできるほど幻想郷は甘い世界ではない。
……妖精ならともかく。
「しかし、香霖に教育なんて出来るのか?」
「どういう意味だい?」
「蘊蓄ばっかで、睡眠学習になるんじゃないかってことだぜ」
そう言って、魔理沙は笑う。
彼女は霖之助の蘊蓄が始まると真っ先に逃げ出す筆頭だ。
つまりは霖之助の話を聞くと眠くなると言ってるわけで。
「でも霖之助の話、面白いよ?」
そんなふたりのやりとりを聞き、メディスンが首を傾げる。
「わかる人にはわかってくれるということだよ、魔理沙」
「ふん」
嬉しそうな霖之助の顔に、しかし魔理沙は面白くなさそうな表情でそっぽを向いた。
「だって同じ話でも毎回結論が違うんだもん」
「……それは僕自身、その時その時に応じて考察しているからであってね」
「それじゃ教育にならないぜ」
笑顔で言うメディスンに、肩を落とす霖之助。
それ見たことか、と魔理沙は笑い顔を浮かべる。
「ところで霖之助さん、この子の毒はどうしたの?」
「ああ、永琳から薬を貰ったんだよ。
正確には、薬入りのペンダントだがね」
メディスンの首にかけられたペンダントからは、永琳に作ってもらった中和剤が散布されるようになっている。
メディスンの放った毒の分だけ打ち消す優れものだ。
もっとも、彼女が本気で能力を使えば焼け石に水なので、あくまで平常時の毒消しではあるが。
「それに娘を育てるのは初めてじゃないんだ。何とかなるさ」
「え? 娘って誰のだ?」
「初耳ね」
「誰のって……」
驚くふたりに、むしろ霖之助が驚いていた。
そして霊夢を見、魔理沙を見る。
その視線に気付いたのか……霊夢と魔理沙は、気まずそうに視線を逸らす。
「……もう子供じゃないぜ」
「お茶が美味しいわね」
「あ、じゃあふたりとも、私の先輩だね!」
「違う」
「一緒にしないでもらえるかしら」
「えー」
何を否定されたかわからないのだろう。
メディスンは困った顔で霖之助に視線を送ってくる。
そんな顔をされても、霖之助にもわからないのだが。
「ところで香霖とはどんな話をしてたんだ?」
「えっとねー。いろいろ聞いたよ。
まず人形のこととか……」
「ところで霖之助さん」
なにやら話している魔理沙をよそに、霊夢が霖之助に疑問を投げかけた。
「なんでこうなったのかしら」
その視線の先には、メディスンの姿。
さっきの説明ではまだ足りない、ということだろう。
「ああ、アリスに頼まれたんだよ。
自律人形の研究に役立てたいかららしいんだが、ちょっと今手が離せないようでね。
代わりにしばらく僕が面倒をみることにしたのさ」
と言ってもアリスがメディスンの面倒をずっとみているわけではない。
知識が少々足りないと言っても既にメディスンは独立した妖怪であるし、そして何より自分自身で学ぶことが出来る。
アリスに紹介された時、人形から妖怪となった存在と言うことで興味があったが、
こうやって面倒をみているのはなによりメディスン自身のその意欲があったからだ。
……霖之助の話も聞いてくれることだし。
「なんだって? そんな事言ってたのか」
「あら、本当のことじゃない」
「……うるさいな」
考え込んでいるうちに、いつの間にか霊夢は魔理沙とメディスンの話に興じていた。
……少し寂しい。
「魔理沙はミニ八卦炉を改造するのはいいけど壊してしまっては意味がないとか。
せっかく魔理沙用に調整したのにどうして勝手に改造するんだとか。
あとねー……」
「何を聞きだしているんだ、ふたりとも」
「香霖が言ったことを、だぜ」
そう言って、魔理沙は霖之助を軽く睨んできた。
確かに言った覚えがあるが、隠すことのない本心である。
だがそれをわざわざ本人に伝えるかはまた別問題で。
「メディスン、余計なことは言わなくていいよ」
「そうなの? でもなるべく正直であるほうがいいって、霖之助が妖夢に言ってたよ?」
「そういうのは時と場合によるね」
「う~ん……そうかぁ」
メディスンは悩んでいるようだった。
このあたりは要経験、と言ったところか。
「ひどいじゃないか、香霖」
「ひどいのはどっちだい。
僕はメディスンが教えてくれと言ったから本当のことを伝えたまでだよ」
八卦炉を壊してしまったのは事実なのだし。
「あ、でも」
思い出したように、メディスンが口を開く。
なんだか嫌な予感がした霖之助は、咄嗟に彼女を静止しようとした。
が、時既に遅し。
「魔理沙の笑顔のためなら、このくらいの手間は惜しくないって」
「…………」
「メディスン、その辺はもういいから。いや本当に」
なにやら魔理沙は真っ赤になって黙ってしまった。
……何となく、気恥ずかしい。
「ところで、私のことはなんて言ってたのかしら」
「ん~と」
「霊夢まで……」
文句を言おうかと思ったが、諦めた。
バレてまずいことは教えていない……はずだ。
恥ずかしいことには変わりないが。
とりあえず霖之助はすっかり冷めてしまったお茶を入れ直すことにした。
霊夢に任せると勝手に高い茶葉を使うため、自分でやった方が確実だ。
やがて霖之助が店内に戻ってくると、なにやら霊夢がメディスンに講釈をしているようだった。
「ツケを相殺する方法はいくつかあるのよ。
ただお金を返すだけが能じゃないわ。
例えば結婚するとか……」
「霊夢、変なことを教えないでくれよ」
「あら、育てるのを手伝ってあげてるんじゃない」
「私も手伝ってるぜ」
「アリスに文句を言われるのは僕なんだがね」
そう言って、霖之助は肩を竦める。
「やれやれ、これじゃ誰が教育係かわかりはしない」
今の時点で、アリスに霖之助。
そして霊夢と魔理沙だろうか。
永琳も少し教えていたようだし……。
「でも、咲夜にもいろいろ教えてもらったよ?」
「ん? ああ……」
そう言えば、そうだった気がする。
しかしその言葉に意外な反応を示したのは、他ならぬ霊夢と魔理沙だった。
「ちょっと待て、その咲夜に教えられたのって……いつの話だ?」
「ん~、昨日と、その前と、それから1週間くらい前かな」
メディスンは指折り数えて思い出しながら、言葉を発した。
……なんだか、魔理沙と霊夢がこちらを睨んでいる気がする。
「儲けてるわね、霖之助さん」
「……いや、霊夢?」
「滅多に来ない上客、じゃなかったのか?」
「何を言っているんだ魔理沙……それに、上客がよく来るのは喜ばしいことだろう」
咲夜は買い物のついでにメディスンと遊んでいるだけだ。
最近は、それを口実に遊びに来てる気もするが。
「あと慧音もいろいろ教えてくれるし、妖夢もよく来るし」
「へぇ」
「ふぅん」
「……ふたりとも、何か変な勘違いをしていないかい?」
霊夢と魔理沙の声がどんどん冷たくなって言っているような錯覚を覚えた。
……錯覚であって欲しいが。
結局。
ふたりはなにやら怒って帰ってしまった。
また明日も来るから、と言い残して。
「やれやれ……なんだったんだ」
「あ、わかった」
「そうかい? 僕にはさっぱりだよ」
ふたりを見送り、肩を竦める霖之助に、メディスンはなにやら納得顔で頷いていた。
「それはねー……っとと、余計なことは言わなくていいんだっけ」
「その辺は言ってくれても構わないが」
「ううん、秘密なの」
そしてメディスンは、霖之助の手を握り笑顔で言った。
「じゃあ明日から、霖之助も私と一緒にお勉強だね!」
「なんのだい?」
「う~んと……乙女心?」
首を傾げるメディスンに、霖之助は苦笑を浮かべた。
確かに必要かもしれない、と思いながら。
……ん? すると妖精くらい?
とまあ、そんな感じのメディ霖。
霖之助 メディスン
「霖之助ってかっこいいの?」
「全然だぜ」
「正反対ね」
メディスンの言葉に、霊夢と魔理沙は首を振った。
まさに一刀両断、と言うやつである。
「そうなの? う~ん、比較的まともに見えるけど」
「見た目はそうかもしれないけど、中身がかなりの玄人好みだぜ。
素人にはオススメできないな」
「いわゆる残念なイケメンってやつね。
もちろん好きな人は好きだろうけど」
「ふたりとも、容赦のない評価をありがとう。
そして客じゃないなら出口はあっちだよ」
我が物顔で香霖堂に居座っている魔理沙と霊夢に、霖之助は苦い表情を浮かべた。
霖之助の指さしたドアを、ふたりは見向きもしない。
「まあ、私は香霖のプロフェッショナルだがな。
それより、なんでこの毒人形がここにいるんだ?」
「なんでって、むしろ僕はなんで君たちが当然のようにうちにいるのかを知りたいがね。
しかも僕はお茶もお茶菓子も出した覚えはないんだが」
「常連だからだぜ」
「常連だからよ」
「客ではないがね」
ふたりの返答に、霖之助はため息を吐く。
霊夢がいつの間にかお茶とお茶菓子を用意しているのもいつも通りだし、
魔理沙が茸をストーブで炙っているのもいつも通りだ。
甚だ遺憾ではあるが、これがこの店の日常である。
「私は人形開放の野望のために霖之助に協力してもらってるの」
毒人形と呼ばれたメディスンは、気にした素振りも見せず笑顔で返した。
「人形開放の? それって……」
「あら、霖之助さんは妖怪の肩を持つのかしら。
まとめて退治するべきかもね」
「やめてくれ」
霊夢の視線は霖之助とメディスンを交互に行き来し、剣呑な光を灯す。
博麗の使命か、それとも……。
「でもね、霖之助に言われたのよ。
人形開放の道はまだまだ遠いみたいだから、ここで勉強したほうがいいって」
「むやみに敵を作っては達成できるものもできないからね。
まずは学習ということさ」
「ふぅん……なるほど」
霊夢はなにやらなにやら頷くと、それきり興味を失ったかのようにメディスンから視線を外した。
勘のいい彼女のことだ。
知識を身につけさせ、暴走するのを止めるという霖之助の意図に気付いてくれたことだろう。多分。
四方八方に喧嘩を売って長生きできるほど幻想郷は甘い世界ではない。
……妖精ならともかく。
「しかし、香霖に教育なんて出来るのか?」
「どういう意味だい?」
「蘊蓄ばっかで、睡眠学習になるんじゃないかってことだぜ」
そう言って、魔理沙は笑う。
彼女は霖之助の蘊蓄が始まると真っ先に逃げ出す筆頭だ。
つまりは霖之助の話を聞くと眠くなると言ってるわけで。
「でも霖之助の話、面白いよ?」
そんなふたりのやりとりを聞き、メディスンが首を傾げる。
「わかる人にはわかってくれるということだよ、魔理沙」
「ふん」
嬉しそうな霖之助の顔に、しかし魔理沙は面白くなさそうな表情でそっぽを向いた。
「だって同じ話でも毎回結論が違うんだもん」
「……それは僕自身、その時その時に応じて考察しているからであってね」
「それじゃ教育にならないぜ」
笑顔で言うメディスンに、肩を落とす霖之助。
それ見たことか、と魔理沙は笑い顔を浮かべる。
「ところで霖之助さん、この子の毒はどうしたの?」
「ああ、永琳から薬を貰ったんだよ。
正確には、薬入りのペンダントだがね」
メディスンの首にかけられたペンダントからは、永琳に作ってもらった中和剤が散布されるようになっている。
メディスンの放った毒の分だけ打ち消す優れものだ。
もっとも、彼女が本気で能力を使えば焼け石に水なので、あくまで平常時の毒消しではあるが。
「それに娘を育てるのは初めてじゃないんだ。何とかなるさ」
「え? 娘って誰のだ?」
「初耳ね」
「誰のって……」
驚くふたりに、むしろ霖之助が驚いていた。
そして霊夢を見、魔理沙を見る。
その視線に気付いたのか……霊夢と魔理沙は、気まずそうに視線を逸らす。
「……もう子供じゃないぜ」
「お茶が美味しいわね」
「あ、じゃあふたりとも、私の先輩だね!」
「違う」
「一緒にしないでもらえるかしら」
「えー」
何を否定されたかわからないのだろう。
メディスンは困った顔で霖之助に視線を送ってくる。
そんな顔をされても、霖之助にもわからないのだが。
「ところで香霖とはどんな話をしてたんだ?」
「えっとねー。いろいろ聞いたよ。
まず人形のこととか……」
「ところで霖之助さん」
なにやら話している魔理沙をよそに、霊夢が霖之助に疑問を投げかけた。
「なんでこうなったのかしら」
その視線の先には、メディスンの姿。
さっきの説明ではまだ足りない、ということだろう。
「ああ、アリスに頼まれたんだよ。
自律人形の研究に役立てたいかららしいんだが、ちょっと今手が離せないようでね。
代わりにしばらく僕が面倒をみることにしたのさ」
と言ってもアリスがメディスンの面倒をずっとみているわけではない。
知識が少々足りないと言っても既にメディスンは独立した妖怪であるし、そして何より自分自身で学ぶことが出来る。
アリスに紹介された時、人形から妖怪となった存在と言うことで興味があったが、
こうやって面倒をみているのはなによりメディスン自身のその意欲があったからだ。
……霖之助の話も聞いてくれることだし。
「なんだって? そんな事言ってたのか」
「あら、本当のことじゃない」
「……うるさいな」
考え込んでいるうちに、いつの間にか霊夢は魔理沙とメディスンの話に興じていた。
……少し寂しい。
「魔理沙はミニ八卦炉を改造するのはいいけど壊してしまっては意味がないとか。
せっかく魔理沙用に調整したのにどうして勝手に改造するんだとか。
あとねー……」
「何を聞きだしているんだ、ふたりとも」
「香霖が言ったことを、だぜ」
そう言って、魔理沙は霖之助を軽く睨んできた。
確かに言った覚えがあるが、隠すことのない本心である。
だがそれをわざわざ本人に伝えるかはまた別問題で。
「メディスン、余計なことは言わなくていいよ」
「そうなの? でもなるべく正直であるほうがいいって、霖之助が妖夢に言ってたよ?」
「そういうのは時と場合によるね」
「う~ん……そうかぁ」
メディスンは悩んでいるようだった。
このあたりは要経験、と言ったところか。
「ひどいじゃないか、香霖」
「ひどいのはどっちだい。
僕はメディスンが教えてくれと言ったから本当のことを伝えたまでだよ」
八卦炉を壊してしまったのは事実なのだし。
「あ、でも」
思い出したように、メディスンが口を開く。
なんだか嫌な予感がした霖之助は、咄嗟に彼女を静止しようとした。
が、時既に遅し。
「魔理沙の笑顔のためなら、このくらいの手間は惜しくないって」
「…………」
「メディスン、その辺はもういいから。いや本当に」
なにやら魔理沙は真っ赤になって黙ってしまった。
……何となく、気恥ずかしい。
「ところで、私のことはなんて言ってたのかしら」
「ん~と」
「霊夢まで……」
文句を言おうかと思ったが、諦めた。
バレてまずいことは教えていない……はずだ。
恥ずかしいことには変わりないが。
とりあえず霖之助はすっかり冷めてしまったお茶を入れ直すことにした。
霊夢に任せると勝手に高い茶葉を使うため、自分でやった方が確実だ。
やがて霖之助が店内に戻ってくると、なにやら霊夢がメディスンに講釈をしているようだった。
「ツケを相殺する方法はいくつかあるのよ。
ただお金を返すだけが能じゃないわ。
例えば結婚するとか……」
「霊夢、変なことを教えないでくれよ」
「あら、育てるのを手伝ってあげてるんじゃない」
「私も手伝ってるぜ」
「アリスに文句を言われるのは僕なんだがね」
そう言って、霖之助は肩を竦める。
「やれやれ、これじゃ誰が教育係かわかりはしない」
今の時点で、アリスに霖之助。
そして霊夢と魔理沙だろうか。
永琳も少し教えていたようだし……。
「でも、咲夜にもいろいろ教えてもらったよ?」
「ん? ああ……」
そう言えば、そうだった気がする。
しかしその言葉に意外な反応を示したのは、他ならぬ霊夢と魔理沙だった。
「ちょっと待て、その咲夜に教えられたのって……いつの話だ?」
「ん~、昨日と、その前と、それから1週間くらい前かな」
メディスンは指折り数えて思い出しながら、言葉を発した。
……なんだか、魔理沙と霊夢がこちらを睨んでいる気がする。
「儲けてるわね、霖之助さん」
「……いや、霊夢?」
「滅多に来ない上客、じゃなかったのか?」
「何を言っているんだ魔理沙……それに、上客がよく来るのは喜ばしいことだろう」
咲夜は買い物のついでにメディスンと遊んでいるだけだ。
最近は、それを口実に遊びに来てる気もするが。
「あと慧音もいろいろ教えてくれるし、妖夢もよく来るし」
「へぇ」
「ふぅん」
「……ふたりとも、何か変な勘違いをしていないかい?」
霊夢と魔理沙の声がどんどん冷たくなって言っているような錯覚を覚えた。
……錯覚であって欲しいが。
結局。
ふたりはなにやら怒って帰ってしまった。
また明日も来るから、と言い残して。
「やれやれ……なんだったんだ」
「あ、わかった」
「そうかい? 僕にはさっぱりだよ」
ふたりを見送り、肩を竦める霖之助に、メディスンはなにやら納得顔で頷いていた。
「それはねー……っとと、余計なことは言わなくていいんだっけ」
「その辺は言ってくれても構わないが」
「ううん、秘密なの」
そしてメディスンは、霖之助の手を握り笑顔で言った。
「じゃあ明日から、霖之助も私と一緒にお勉強だね!」
「なんのだい?」
「う~んと……乙女心?」
首を傾げるメディスンに、霖之助は苦笑を浮かべた。
確かに必要かもしれない、と思いながら。
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まだまだ幼いはずのメディスンが気付くことにさえ気付かない超朴念仁www
「娘」相手では仕方ないのかな?
「娘」相手では仕方ないのかな?
玄人好みなはずの霖之助についてプロフェッショナルを自称するとかもうそれ告白しちゃってるよ魔理沙
ライバルを増やすまいと色々言葉を弄する二人にニヤニヤしますた
ライバルを増やすまいと色々言葉を弄する二人にニヤニヤしますた
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ブラボー、おおブラボー