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天に桃、地に桜 02

天子はとある事情で成長してないのでルナチャとかと同じくらいの身長、と言う案を出してみる。
てんこあいしてる。


霖之助 天子






「ティーセットが4つと茶葉。
 お菓子に本、調理器具。
 それから外の世界の何か珍しい物、か」


 紅魔館からの帰り。
 霖之助は紅魔館で受けた注文を思い返しながら、香霖堂へ続く道を歩く。

 頼まれていた小物の配達と、道具の鑑定はすぐに終わった。
 あとは紅魔館での御用聞きだ。

 納期は特に決まっておらず、無ければ優先的に集めて欲しい、と言う程度の要望。

 まったく、ありがたい上客である。
 しかしながら、美鈴が安眠枕を所望したのはどういうことだろう。


「ん?」


 ようやく帰り着くと、店の前に人影が見えた。
 青い、長い髪に帽子を被っている。
 シルエットからすると、少女のようだ。


「やあ、お客さんかい?
 すまないね、少し出かけていたもので留守にしていたよ」
「あ、うん。
 あなたがここの店主かしら」
「そうだよ。
 少し待っていてくれ、すぐに店を開けよう」


 きゅ、と少女は帽子を押さえ、目深に被り直す。
 特徴的な桃の飾りが目に入った。

 ……本物だろうか?

 気にはなったが、あえて何も言わないことにした。

 香霖堂の鍵を開け、開店中の札を下げる。
 少女を連れて、店内へ。


「いらっしゃい。
 改めて、香霖堂にようこそ。
 何かお探しかな?」


 カウンターに腰掛け、店主の顔で彼女に向き直る。


「……こういうの買うの初めてで、どれを選んだらいいかわからないの。
 それで、相談に乗って欲しいんだけど」
「ああ、商品のことなら構わないよ。
 どんな用件に使うんだい?」


 帽子を深く被っているので詳しくはわからなかったが……。
 彼女はなにやら恥ずかしそうに、もじもじとそう呟いた。


「ちょっと紅白の巫女を怒らせちゃって。
 なんかあいつの好きそうなものない?」
「ほう? と言うと霊夢のことかな。
 しかし珍しいね、霊夢が怒るなんて」


 そう言えば、地震で神社が倒壊したとさんざん愚痴っていた気がする。
 ……そうだ、それで生活雑貨を根こそぎ持って行ったのだ。
 もちろんツケで。

 霊夢は神社が新築になったことを喜んでいたが……。
 新築をありがたがる巫女というのもどうなのだろうか。


「あの巫女はお茶が好きだからね。
 あとは何か食べるものでも一緒に付ければいいんじゃないかな」
「ふぅん、よく知ってるのね」
「まあ、長い付き合いだからね」
「……そうなの」


 そう所はただそう言うと、口を噤む。
 霖之助は首を傾げたが……店内を見渡し、目当ての商品を手に取った。


「そうだな、例えばこのあたりなんてどうだろう。
 あとはその辺の酒がオススメだよ」
「そう?」
「ああ。
 先日も霊夢がこれを欲しがっていたからね……」


 その時はなんとか阻止できたのだが。
 やはりこうやって商品として渡してこそだろう。

 霖之助は酒とつまみを風呂敷の上に乗せると、算盤を弾いた。
 値段を告げようとする前に、再び少女が口を開く。


「……あと、白黒の魔法使いにも、何か欲しいんだけど」
「白黒? ああ、魔理沙か。
 う~ん、そうだなぁ」


 魔理沙はいろいろな趣味があるが、特にこれだというプレゼントが思いつかない。
 魔法のキノコなど考えたが、彼女なら自分で手に入れるだろう。

 あくまで人からもらって嬉しいものは何か。
 それを考える。


「意外と魔理沙は子供っぽいところがあるからね。
 このぬいぐるみなんてどうかな?
 この前店に来た時、興味ありそうに見てたものだよ」
「じゃあ、それも頂くわ」


 少女は値段も聞かずに、商品を風呂敷の上に追加した。
 霖之助も何も言わず、勘定に加えておく。

 商品を選んだというのに、彼女はまだ落ち着かない様子だった。


「……もしかして、まだあるのかい?」
「ええ」


 頷く少女に、苦笑しながら向き直る。
 こうなればとことん付き合ってみよう。
 そう霖之助は決心した。

 ……久し振りの上客かもしれないし。


「メイドって、何が好きなのかしら」
「メイドね……」


 呟きながら、先ほど商談を交わした相手を思い出した。
 紅魔館のメイド長。
 数少ない上客のひとりだ。


「彼女は珍しい物が好きだよ。
 だがあいにく、同じ注文を本人から受けていてね」
「そうなの?」
「ああ。つい今日のことだ」
「……そう」


 霖之助の言葉に、何故か彼女は唇を尖らせた。


「複数の依頼を同時にこなすほど仕入れに恵まれているわけじゃなくてね。
 それに彼女はコレクターらしくなかなかの目利きなんだ。
 と言っても珍しい物に関してだけだけどね。
 少し値が張ることになるが……」
「……随分楽しそうに話すわね」
「え?」


 なんでもない、と彼女は首を振り、霖之助の手元の算盤を弾く。


「気にしないで。
 別に勘定は気にしなくていいから、しっかり選んで頂戴」
「そうかい?
 なら、探しておくが……」


 気のせいか、だんだんと少女は不機嫌になっている様子だった。
 心当たりがない霖之助は内心首を傾げながらも、弾かれた算盤玉を見る。
 なるほど、これが予算だろうか。
 ……3人分には十分すぎるほどだ。


「じゃあ、次は半霊の……」
「ちょっと待ってくれ」


 思わず霖之助は立ち上がっていた。
 比較的長身の彼からは、小柄な少女の帽子を上から見下ろす形になる。


「君は一体、何をやらかしたんだい?
 それにさっきから出てくるのは僕が知ってる少女ばかりだ。
 何故……」


 霖之助の言葉を遮るように、大きなため息が聞こえた。
 仕方なく、といった様子で少女は帽子に手をかける。


「じゃあ、もうひとつ。
「久し振りに会うのに気付かない間抜けな幼なじみには、何をプレゼントしたらいいかしらね」


 くい、と彼女は帽子のつばを持ち上げた。
 そこにあるのは……見覚えのある顔。

 半ば呆然としながら、霖之助は記憶にある名を呼んだ。


「天子……?」


 人間から天人になった、少し年下の幼なじみ。
 比那名居天子がそこにいた。


「驚いた?」
「……ああ、驚いたよ。
 君だったのか」


 言いかけ、思い出す。

 今までの彼女の言葉。
 霊夢、魔理沙、咲夜、妖夢……。


「君だったのか……」
「なによ、もっと別の言葉があるでしょ!」
「あ、ああ」


 肩を落とす霖之助に、天子は真っ赤な顔で叫んだ。
 彼は苦笑しつつ……懐かしいその表情に、言いようのない感情を覚えていた。


「いや、久し振り。
 変わらないね、君は」
「天人だもの」


 胸を張る天子。
 最初に会った時からまったく変わっていないように見える。

 さすが天人、と言ったところか。


「あなたはよくもまあ、そんなにニョロニョロと伸びて」
「天人じゃないからね」


 自分では最後に会った時からそれほど変わってないと思うのだが。
 ……そう考えてみて、最後に会ったのが随分昔のことだと思い出した。

 それにしても。


「な、なによ」


 いくら天人だと言っても、変わらなさすぎるのではないだろうか。


「天子。つかぬことを聞くが。
 ちゃんと勉強はしていたのかい?」
「も、もちろん」


 天子は瞳を逸らしながら……所在なさげに帽子に手を添えた。


「君は嘘を吐くとすぐ帽子を触りたがるね。
 ……昔と変わらず」
「えっ?」


 やれやれ、とため息を吐く霖之助。

 天人の成長は、天人として学ぶことで行われる。
 おそらく彼女はずっとサボってきたのだろう。

 ……まあ、霖之助が天界にいたことからサボっていたので、今更かもしれないが。


「……あと何人だい?」
「え?」


 霖之助の言葉に、天子はハッと顔を上げた。


「天子が謝りに行く相手、だよ。
 君がどんな謝り方をするのか心配で仕方ないからね」
「ついてきてくれるの?」


 人間と妖怪のハーフとして生まれた霖之助は、どこにも居場所がなかった。
 人間から天人になった天子は、いつも天人の輪に入りにくそうにしていた。

 だからだろうか。
 いつもふたりは一緒だった。


「……ああ。
 そうだ、そうだった」


 長く会っていなかったせいで、こんな簡単なことも忘れていたのだ。


「ついていくだけだよ。
 ……幼なじみだからね」






天に桃、地に桜
天に桃、地に桜
しゃもじさんにイメージイラストと挿絵を描いていただきました。
感謝感謝。

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天子は天人になってからの名前で、本名は地子だった気が

しかしロリてんことは……
てんこかわいいよてんこ

天子ちゃんマジ天使

今後の展開に砂糖を吐きながら期待しています。

No title

全てがロリ化する・・・これが香霖堂時空!!
胸は変化無さそうだが

それはともかく、てんこかわいいよてんこ

No title

この天子ペドいw
ってか、ルナと同じくらいって…まさか身長2ケタ!?(脳内身長:ルナ=76、天子=164、霖之助=178、単位㎝)
いくらなんでもそれはw
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道草

Author:道草
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フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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