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子悪魔シリーズ08

すっかり忘れがちだけど、うちってアダルトサイトで登録してるんですよね。
というわけで久し振りのネチョ風味。


霖之助 パチュリー 小悪魔









小悪魔のイタズラ


「あの……すみませんでした」


 小悪魔は床に正座し、うなだれていた。
 俯いているせいでその表情を見ることは出来ない。


「絶対に許さないわ」


 対してパチュリーの声は硬い。
 彼女には珍しいほど、感情を露わにした声。


「ごめんで済んだら、警察は要らないわよね」
「パチュリー……?」


 トントン、と彼女は苛立たしげに指を動かす。

 霖之助はそんな彼女に、意外そうな表情を浮かべた。
 まさかそこまで気にするものとは思っていなかったからだ。


「えっと、あの……」


 小悪魔はしどろもどろになって……さらに萎縮していく。


「何もそこまで言わなくてもいいんじゃないか?」
「あら、珍しくかばうのね。
 あなたも被害者なのに」
「まあ、被害者と言えば被害者だがね。
 君がそこまで言うとは……」


 正直、意外だった。
 パチュリーはそんな霖之助から小悪魔に視線を戻すと、淡々と続ける。


「どうして怒られるか、わかってるわよね。小悪魔」
「……はい」


 頷く小悪魔。
 そして彼女は顔を上げる。


「お母様がいつも楽しみにしてた……カレンダーに丸付けたり、指折り数えて待っていた
 おふたりのネッチョネチョな行為を、私のイタズラで台無しにしてしまったからです」


 思わず霖之助は首を傾げた。
 しかしパチュリーは黙って聞いている。


「ほんの出来心だったんです。
 私の感覚共有を逆流させてみたらどうなるかなって。
 そしたら男性と女性の快楽を一気に受けることになったお父様は驚いてそのまま……。
 あ、いえ。決してお父様が早いとか言ってるわけじゃないですよ。
 じっくりねっとり楽しむのが好きなおふたりに合わなかったことは認めますが」
「いや、ちょっと待ってくれ」


 今この瞬間、彼女を黙らせたかった。
 いや、早いとか遅いとかではなく。

 だがそんな霖之助に構わず、小悪魔は胸を張って答える。


「ついムラムラしてやりました。今は反省してます。
 次はもっと上手くヤりたいと思います」
「君は反省という言葉を辞書で調べるといい……」


 霖之助は目を輝かせる彼女に、思い切りため息を吐いた。









 図書館は広い。
 本棚の多さも相まって、一目で見渡すことなど不可能だろう。

 ましてや、すべての本を把握することなど。


「あの棚終わったら、次は隣のね。
 その次は……」
「は、はぁ~い」


 小悪魔はパタパタと羽根を動かしながら、図書館のあちこちを飛び回っていた。

 手には大きなメモ用紙。
 本棚の場所、蔵書の名前、ジャンルなどがずらずらと書き連ねられている。


「あの、これっていつ終わるんでしょう」
「それはあなた次第だわ。
 そうね……少なくとも、数十年で終わればいい方かしら」
「ええ~!?」


 それだけ蔵書の量が多いということだろう。

 小悪魔は本の位置を把握しているようだったが、それを他の人間にもわかるようにリスト化する。
 ……かなりの大仕事だった。


「どうせそろそろ整理しようと思ってたし、ちょうどよかったわ」
「じゃあ怒られなくてもやることになってたんじゃないですか」
「ええ、そうよ」


 小悪魔の声が、涙を含んだものに変わる。
 しかしパチュリーはしれっと頷くだけ。

 そして、霖之助に視線を向けた。


「あなたの役にも立つし、一石二鳥よね」
「あ、ああ。
 本の目録を作ってくれるのは正直ありがたいが……」


 しかし数十年単位とは、ずいぶん気の長い話だ。
 確かパチュリーはまだ100年ほどしか生きていなかったはずだが……。

 魔法使いの感覚、というやつなのだろう。


「だいたい、お父様が毎日来てくれれば私がこんな八つ当たりされることもないんですよ。
 少しは責任感じてくれてもいいと思います」
「そうは言うがな……。
 そもそも大部分は君の自業自得だろうに」


 面倒なことにならないように静観していたつもりだったが、小悪魔の矛先が霖之助を向いてしまった。
 喋りながらでも手を止めないのはさすがというか、パチュリーの教育の賜物というか。


「お母様もそう思ってますよ」
「え?」
「…………」


 思わず振り向く。
 パチュリーは無言で霖之助を見つめていた。


「しかし僕のも予定がだね……」
「…………」


 ただ、じっと。
 何か言いたげな瞳で。


「明日は……」


 やがて根負けしたかのように、霖之助は肩を竦める。


「……明日も来るよ」
「そう」


 短い、ただそれだけの返事。
 しかし、確かにパチュリーが微笑んだ気がした。
 ……とても、嬉しそうに。


「やりましたね、お母様!
 これで私のこの罰ゲームも……」
「それはあなたの仕事。
 ちゃんと最後までやること」
「そんなー」


 小悪魔は叫びながら……本棚の向こうへと消えていった。
 そんな彼女を見送り、霖之助はパチュリーに声をかける。


「……で、何とかならないのかい?」
「何が?」


 首を傾げるパチュリー。
 霖之助が何を言いたいかなど、わかってるはずなのに。


「感覚共有だよ。
 あれがあるせいでおちおち休まることも出来ない」
「無理ね」


 即答だった。
 感情のこもらない、ただ事実を告げるときの声。


「小悪魔は私とあなたの体組織を元に構成されてるわ。
 つまり触媒そのものが魔法を使ってるようなもの。
 これ以上ない、ね」
「体組織……ああ」


 そういえばそうだった、と思い出す。
 まったく、厄介なことだ。


「それに、少しあの魔法には興味があるし。
 あの子を通してあなたの感覚をこっちに流せないかしら……」


 パチュリーはそう呟くと、普段にはない速度でペンを動かしていく。
 彼女の手元では魔術文字が次々と躍っていた。


「……パチュリー、何か変なことを考えてないだろうね?」
「変なこと?
 なんの事かしら」


 こちらを見ずに、即答。
 これは隠し事をしているときの声だ。

 ……最近、だんだんとわかってきた気がする。
 何十年も付き合ってきてようやく、かもしれないが。


「お母様はお父様が他の女の子と乳繰り合ってないか心配なんですよー。
 まったく、嫉妬深いったら……」


 上空から降ってきた小悪魔の声に、パチュリーの放った魔法弾がぶつかる。
 ……爆発音のあとに、静かになった。


「あら、これでまた目録の完成が遅れたわね」
「……はぁ……」


 彼女の呟きに、霖之助はため息を吐いた。
 こちらから表情は見えないが……どんな顔をしているのかは、見なくてもわかる。


「パチュリー」
「…………」


 霖之助はそっと彼女に近寄った。
 名を呼ばれた彼女は、ぴくりと身体を震わせる。


「そんな魔法に頼る必要はないよ。
 だって……」
「ひゃわっ……」


 ぽすん、とパチュリーの身体を抱きかかえる。
 軽く、華奢で、柔らかな……愛しい彼女。


「僕らはいつでも、触れ合えるんだから」


 腕の中のパチュリーは、恥ずかしそうに顔を赤らめ、俯いている。
 ついこの間とは逆の立場だと、そう思いながら。

 パチュリーは無言のまま……。
 ぎゅっと、霖之助の手を握り返した。


姫だっこ
パチュ霖の挿絵と漫画をしゃもじさんに描いていただきました。
感謝感謝。

コメントの投稿

非公開コメント

No title

ただでさえ相思相愛という言葉がピッタリな二人がディ・モールト ベネなのに、こんな素晴らしい挿絵まで・・・。
しかし、しゃもじ氏のパチュリーと霖之助の体格差でネチョは妙に背徳的な香りが…(爆)。

No title

こんな時間ですが道草さんのパチェが可愛すぎて生きるのが辛いww
ヤンバルクイナ!!!

No title

いや~、相変わらずいいパチュ霖ですね~w
小悪魔のアシストもいい仕事してますねw
パチュリーのかわいらしい嫉妬に毎度キュンとしてしまいますw

No title

なんだかできちゃった事実婚って言葉が頭に浮かぶ…ふぅ。やはりパチュ霖はイイものですね。本文といい絵といい、今回もまた口から砂糖が溢れ出るお話でしt(吐糖開始)

No title

やはりパチュ霖は最高だぜヒャッハー!!
では口から噴水のように砂糖を噴きだす作業に戻りますね^q^

No title

このシリーズを読んでパチュ霖がマイジャスティスになりました。
さとり・・・すまん

この小悪魔は楽しんでそうだなぁw
本当に小悪魔シリーズのパチュ霖はネッチョリネチョネチョラブラブだな!

No title

すばらすぃ

No title

まだまだ見たいです

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道草

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フラグを立てる話がメインなのでお気を付けください。
同好の士は大ウェルカムだよね。
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