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青天の霹靂

結構前に病み衣玖さんのリクを受けたのと、
十四朗さんから美味しんぼのSSを書けばいいよと言われたふたつが異次元合体したらこうなった。
てゐ霖で久し振りに長いのを書いた反動かもしれない……w


霖之助 衣玖









「このあらいを作ったのは誰だ?」


 霖之助は困惑していた。
 仕入れから帰ってみると扉が開いていて、食事の準備が整っている。

 これを不思議に思わない者はいないだろう。
 ……が、犯人はすぐにわかった。


「あ、お帰りなさいませ」
「……君か。何事かと思ったよ」


 台所から顔を出したのは、美しき竜宮の使い……衣玖だった。
 まだ料理中だったらしく、手にお玉を握っている。


「鍵、開いてましたよ。不用心ですね」
「それは済まなかった。以後気をつけるよ。
 ……それで、君は何をしているんだい?」
「わかりませんか?
 ……あ、そろそろいいみたいですね。
 もうすぐ準備が終わりますから、どうぞ座ってください」
「やれやれ……」


 衣玖に勧められ……霖之助は苦笑を浮かべた。
 相変わらずマイペースな女性だ。

 仕入れてきた道具を片付け、手を洗うと、腰を落ち着ける。


「それで、何をご馳走してくれるのかな?」


 本来は勝手なことをするな、とでも言うところなのだろうが、
言ったところで何の意味もないことは霖之助が一番よくわかっている。

 ならばこそ、楽しまなければ損というものだ。


「超電磁ハルマキです。
 とどめに超電磁プリンもありますよ」
「超……なんだって?」


 思わず聞き返す霖之助。
 しかし衣玖は答えず、大仰な仕草で言葉を続けた。


「なんと食べたら肩こりが治って視力も良くなるという」
「……本当かい?」
「そんな願いを込めて作りました」


 ……と言うことは。
 実際にはそういう効果はないということだ。

 ため息を吐く霖之助に、衣玖は首を傾げる。


「お気に召しませんか?」
「お気に召すとか、そういう問題じゃなくてね……」


 だったらどういう問題かと聞かれても、まあ答えられないのだが。
 霖之助は苦笑を浮かべながら首を振る。


「まあいい、せっかく作ってくれたんだ。頂くとしようか。
 ……君は食べないのかい?」
「一応ふたり分作りはしたんですが。
 勝手に作ったので追い出されることも考えて盛りつけてはいませんでした。
 持ってきます」


 そう言って、衣玖は台所へと去っていった。
 図々しいのか謙虚なのか微妙なラインだ。

 しばらくしてすると、衣玖は自分の食事をお盆に載せて戻ってきた。


「ああ、ちゃんと材料費は払いますよ。
 ご安心を」
「むしろ僕が払うべきなのかもしれないが……」


 そう呟き、霖之助は本日のメニューへと目を向けた。
 汁物は和風でメインは中華でデザートは洋風。
 統一感のかけらもないが、美味しそうなことに違いはない。


「……いただきます」
「はい、どうぞ」


 最初に春巻から箸をつけてみる。
 パリッとした皮の中に濃厚な餡、そしてシャキシャキとした歯ごたえが踊る。


「……うん、美味い」
「それはどうも。
 今回のは一番上手くできたと思うんですよ」


 嬉しそうに頭を下げる衣玖。
 そして彼女も、春巻へと橋を伸ばした。


「それで、今日はどんな無理難題を言いに来たんだい?」
「あら、どうしてそう思うんですか?」
「人も妖怪も、行動の裏には何かしら理由があるものさ」


 むしろ最初から見返りを求められていたほうが話はしやすいというものだ。
 タダより高いものはないのである。


「まあ、頼み事をしやすい空気を作ろうとしたのは事実ですけどね」
「食事の席というものは相手の提案を受け入れやすくなりがちだからね。
 これは食物を飲み込むのと相手の要求を飲むことの関係から……」


 霖之助の言葉を、衣玖は涼しい顔で聞き流す。
 やがて一段落した頃、彼女はゆっくりを口を開いた。


「簡単ですよ。
 私と一緒に来ませんか? とお願いしに来ただけです」
「……天界にかい?
 それは無理な相談だね」
「そうですか。まあ、そう言うと思いました」


 衣玖はそう言うと、笑顔を浮かべた。


「でも、私の料理は美味しかったでしょう?」


 ああ、と答えようとして、霖之助は違和感に気が付いた。
 痺れるほど美味い、と言ったつもりはないのだが……。


「まるで、天にも昇るくらい……ね?」

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No title

はるのあしおと、1万点越えおめでとうございます。さすがとしかいいようがない…

No title

いまの人はきっと超電磁って聞いても「とある…」の方を思い浮かべるんだろうなあ

超電磁ゴ○ー!すいません。これが言いたくて・・・。あとこの先のネチョ展開・・・アッー!

……中年はストロンガーを思い出した

このあと拉致監禁ネチョイベントが始まるんですねwwwww
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