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設定とか13

11月も終わりなので、ウェブ拍手のお礼SSを更新しました。

既にわかっておられると思いますが、拍手お礼SSとは名ばかりの実験場になってたりします。
とりあえず書いてみたかったりしたのとかなんとかかんとか。
誰得? 俺得。


というわけで昔上げてた奴のまとめ。









『1.カラオケシリーズ05
   若い人置いてきぼりな気がする』


「部屋とYシャツと私。愛するあなたのため
 毎日磨いていたいから~」


 香霖堂に歌声が響く。
 すっかり最近ではおなじみとなった光景だ。

 紫はスキマから上半身を乗り出し、楽しそうに口ずさんでいた、

 慣れれば慣れるものだ。
 ……むしろ何となく、無音だと落ち着かない時もある。

 紫は歌も上手いし、声も綺麗だ。
 ただ聞く分には、これ以上のBGMはないのかもしれない。


「時々服を買ってね。愛するあなたのため」


 それに、ただ歌っているだけの彼女に胡散臭さはない。
 いつもこうなら、もう少し歓迎するのだが。


「いつわらないでいて……。女の勘は鋭いもの」


 紫の歌声は優しく耳に届く。
 それは面白がっているようで、楽しんでいるようで。


「あなたは嘘をつくとき、右の眉が上がる~」


 思わず霖之助は眉を押さえた。
 なにもない。当然だ。
 そんな癖も、嘘を吐いた覚えもない。

 その様子を見ていたのか、後ろから笑い声が聞こえてくる。

 ……時々歌にメッセージ性がある気がして、背筋が寒くなるのが困りものだった。
 彼女たちは、ただの偶然と否定するのだが。


「あら、どうしたのかしら、霖之助さん」
「いや……」


 振り向いた霖之助に、紫は笑みを浮かべる。
 こちらもいつもの、胡散臭い笑みだ。
 ……これはこれで安心できるので、やはり慣れというのは恐ろしいものだと思う。


「邪魔したみたいだね。
 続けてくれ」
「あら、むしろ私がお邪魔かしらと思ってたのだけど」
「そんなことはないさ。
 君たちは歌がとても上手いからね。ずっと聞いていたいくらいだよ」
「……君たち、ね……」


 紫は扇で口元を隠し、すっと眼を細めた。


「あなた浮気したら……うちでの食事に気をつけて」


 歌声に情念がこもる……気がした。
 ……寒気がますます増す。

 聞こえてくる声に、変化はないというのに。


「私は知恵をしぼって、毒入りスープで一緒にいこう」


 瞬間、霖之助は箸を動かす手を止めた。

 先ほどからつまんでいたのは、紫がおみやげにと持ってきたイカめしだった。
 恐る恐る、再び紫を振り返る。

 ……変わらず彼女は微笑んでいた。


「どうしたのかしら、霖之助さん?
 まさか、何か心当たりがあるとでも?」
「いや……ちょっと歌が気になってね」


 心当たりなど無い。
 そもそも浮気以前に定まった恋人などいないのだから当然だ。

 ……なのだが。
 この背中に感じる視線はなんなのだろう。


「部屋とYシャツと私。愛するあなたのため
 毎日磨いていたいから」


 紫の声が近くで聞こえてきた。
 そっと肩に重みがかかる。

 どうやら、背中にもたれかかっているらしい。


「だけどもしも寝言で……他の娘の名を呼ばぬように」


 つぅ……っと、紫は霖之助の背中を指でなぞった。


「ねぇ、霖之助さん。
 心当たりなんてないわよね」
「当然だとも」


 胸を張って答える。
 しかし残念ながら、疑惑のまなざしは霖之助を捉えて離さない。

 耳元に息がかかる。


「……本当に?」




『2.たまにアリ霖って書きたくなるよね。
   三角関係を書くか悩むというネタ』


「邪魔するわよ」


 香霖堂のドアを開け、アリスは店内へと足を踏み入れた。
 しかし、いつもの店主の挨拶はない。
 代わりに聞こえてきたのは、少女の楽しそうな笑い声。


「なー香霖、頼むからさ」
「無理だね。それに、もしあったとしても僕が使うよ」
「えー、いいじゃないか。私と香霖の仲だろ」


 魔理沙は霖之助の膝の上に腰掛け、なにやらミニ八卦炉を弄っていた。
 霖之助は逃げるように掲げた本へと目をやっているが、きちんと話を聞いているようだ。

 ふたりの距離は、零に等しい。


「開いてるかしら」
「お、アリス。何しに来たんだ?」
「やあ、いらっしゃい。魔理沙、お客さんに決まってるじゃないか。
 ……一応営業中だよ。いらっしゃい」


 一応と言ったのは、満足に相手が出来ないことを指すのだろう。
 疲れたように、霖之助は肩を竦めて見せた。


「今日はどんな無茶を言っているのかしら」
「無茶なんて人聞きが悪いぜ」
「無茶であることに変わりはないがね」


 アリスの言葉に、魔理沙は唇を尖らせる。


「キノコの栽培用に、湿気を出せるようにして欲しいんだ」
「塗れタオルでも置いておけばいいって言ってるんだけどね。
 火炉に求める機能じゃないよ」


 ため息を吐く霖之助。
 その仕草が、アリスにはなんだかとても楽しそうに見えた。


「……相変わらず変なことばかり言うのね。
 それより、魔理沙が欲しがってたキノコ、うちの近くに生えてたわよ」
「ほんとか?」
「ええ。
 多分そうだったと思うけど……よく確認してないわね。
 もう誰かが取ってるかも」


 その言葉を聞き終わる前に、魔理沙は霖之助の膝から飛び降りた。
 立てかけていた箒を掴み、走り出す。


「よし、すぐに新しい魔法持ってくるからな。
 またな、香霖。アリス」
「ああ」
「見つかるといいわね」


 嵐のように去っていった魔理沙を見送り……ため息。
 アリスに向かって微笑みを浮かべる。


「……やれやれ、助かったよ」
「あら、むしろお邪魔だったと思ったのだけど」
「勘弁してくれ……」


 霖之助は苦笑いで返しながら、本を机の上に置いた。
 両手をあげ、伸びをする。

 魔理沙が座っていたため足は投げ出されていた。
 長く同じポーズでいたせいだろう。
 すっかり凝ってしまった身体をほぐそうとして……。


「……ひとつ、聞きたいことがあるんだが」
「なによ」
「なぜ君が座っているんだい」


 アリスは魔理沙のいなくなった場所……霖之助の膝の上に腰掛けていた。


「別に……ちょっと気になっただけよ。
 お客の相手をしないほど、楽しんでたみたいだし」


 答える彼女の顔は赤い。
 怒っているのか、それとも……。


「いや、楽しんでいるというか……。
 魔理沙にとってはいつものことだからね」
「じゃあ、常連の私が座っても文句はないわよね」
「いや、君が座ると……」


 魔理沙より背が高いアリスは、霖之助の膝の上に座ると目線がかなり近い高さになる。
 先ほどまでと違った感触に、霖之助は思わず黙ってしまった。

 そのことがわかっているのか、アリスはしばらく間を起き……口を開く。


「ねえ、霖之助さん」
「……なんだい、アリス」


 彼女は背中を霖之助の胸に預けてきた。
 柔らかい身体、ふわふわとした髪が霖之助の鼻先をくすぐる。


「私のこと、




『3.『子は鎹』の続きかもしれない。
   小悪魔は小悪魔だと思います』


「すまないが、この本の続きはどこにあるんだい?」
「それでしたら……あそこの棚ですよ。
 ちょっと高い場所にありますね」


 小悪魔が指さしたのは、霖之助の頭の上ほどにある
 見ると、確かに本の入る隙間が空いていた。

 読み終えた本の続きが読みたくなり、自分で探しに来たのだが場所がさっぱりわからなかった。
 彼女が偶然通りかかったのはまさに僥倖というやつだ。

 ここ紅魔館の本をすべて把握しているのは彼女たちくらいだろう。


「取ってきましょうか?」
「いや……あそこならなんとか届くだろう。
 よっと……」


 背伸びして爪先立ちすると、なんとか本棚に届きそうだった。
 まずは持っている本を戻して、それから続きを……。


「んふふー」
「……何をやっているんだい、君は」
「え? 何ってほら……ナニですよ」


 小悪魔は身動きの出来ない霖之助の下半身に手を伸ばす。
 手がズボンに侵入し、あっという間に指先が彼の中心へと侵入。
 突然の出来事にバランスを崩しそうになるが、後ろから抱きつくように彼女は霖之助の身体を支えた。


「お父様ったらせっかくの娘の好意を無下にしちゃうんですもの。
 ちょっと腹いせに、イタズラを少々」
「腹いせだからって君は……」
「あら、こんなのをお母様はくわえてたんですね。
 ……ちょっと楽しみかも」
「……小悪魔」


 霖之助はなんとか本を押し込むと、本棚から身体を離す。
 しかし小悪魔は流れるような動きで、ぴったりと彼から離れなかった。


「……その呼び方は、どうにかならないかい」
「あら、お父様こそ呼び方を変えてくれないの?」


 うって変わって悲しそうな声に、霖之助は思わずたじろぐ。


「どういうことだい。
 君の名……だと?」
「私、まだちゃんとした名前がないんですよ。
 どうしてだと思います?」


 召喚したものに名を与えるのは基本中の基本だ。
 パチュリーともあろう魔法使いがそれを知らないはずはない。

 だとするとわざとやっているのか、それとも……。


「お父様が認知してくれないから、ですよ。
 私はあなたに、名をつけて欲しいのに」


 言って小悪魔は、さらに身体を絡めてきた。
 熱を帯びた身体が密着し、背中に柔らかいものが押しつけられる。
 耳元には甘く狂おしいほどの甘い息。


「やめ……」
「そんなこと言って。ちゃんと反応しちゃってるくせに……」
「だいたい、こんなところでだな」
「こんなところですもの。誰も見ませんよ。
 ……それとも、パチュリー様にばれるのが怖いですか?」


 小悪魔は妖艶な笑みを浮かべていた。
 ……見なくてもわかる。


「ご心配なく、お父様」


 するすると衣擦れの音が響く。
 足下に投げ出された布に、霖之助は見覚えがあった。

 確か、小悪魔がはいていたスカートのはずで……。


「今私、パチュリー様と感覚をリンクしてますから。
 すぐに駆けつけてくれると思いますよ」




『4.ヤマメを書こうとしたらネチョにしかならなかったという話』


「糸が欲しいの?」
「ああ。土蜘蛛の糸は非常に優れたものだと聞いたからね。
 用途は考えてもキリがない……どうだろうか?」


 その言葉に、ヤマメはしげしげと霖之助の顔を見つめた。


「ふ~ん。
 どうしよっかな」
「もちろん、それなりの対価は払うよ。
 道具が欲しければ持って行っても構わない」
「ん~、そういうわけじゃないけど」


 彼女は少しばかり考えるような素振りを見せると、やがて首を振った。


「ま、別にいっか。
 あなた、なかなか面白そうだし。
 付き合ってみると面白そうね」
「ああ。こちらとしてもいい関係になりそうだと思うよ」
「ほんと? あなたもそう思う?」
「もちろんだとも」


 土蜘蛛の糸で作った商品ならば好事家が買って行くに違いない。
 そうなれば、素材を提供してくれるヤマメはいい上客になるはずだ。


「……じゃあ、糸をあげる。
 ちょっとだけ、目を閉じて」
「どうしてだい?」
「出してるところ見られると恥ずかしいじゃない」


 よくわからなかったが、そういうものらしかった。
 霖之助は言われるままに目を閉じる。


「そのまま待っててね……」


 なにやらするすると音がする。
 訝しむ暇もなく、霖之助は腕を掴まれた。


「ちょっと手をこっちに……そう、そこ」
「ああ」


 目を閉じているためよくわからなかったが、彼女に導かれるまま手を伸ばす。


「んっ……」


 なにやらヤマメが声を上げた。
 指先に触れる、熱い何か。

 ……響く水音。


「あふっ……んぁ……」


 くちゅくちゅと音が響くたび、ヤマメの声は高くなっていく。
 そういえば、蜘蛛の糸は液状で、空気に触れると固体化すると聞いたことがある気がするが……。


「何を……して……」
「あ……もう、目を開けちゃ……」


 見ると、霖之助の指先はたくし上げられたヤマメのスカートの中に




『5.いつもの幼馴染み設定とは違いますがそういうネタを見かけたので。
   ろりけーね。なんと素晴らしい言葉だろうか』


 町からやや外れた森の中で、幼い少女が泣いていた。

 泣きながら歩いてきたのだろうか。
 それともずっとこの場所で泣いていたのか。

 どちらにしても、子どもが一人で出歩くような時間ではない。
 周囲に人はおらず、空には満月が輝いている。

 泣くという行為は自らの感情を出すだけのものではない。
 周囲に対して、何かしら訴えることがあるはずだ。
 ましてやそれが、子どもなら……。


「どうしたんだい?」


 声をかけられ、少女は顔を上げた。
 尻尾がぴくりと揺れる。
 警戒しているのだろうか。


「おじさん、だれ?」
「おじさんか……確かにそう呼ばれても仕方ない歳ではあるがね。
 ただの旅人だよ」


 仕方ない、と言っても見た目は若いまま変わらないため、そう呼ばれたのは初めてだった。
 何となくショックを受け……気を取り直すように、尋ねる。


「いじめられたのかい?」


 彼の言葉で、再び少女は俯いた。
 ……それが答えなのだろう。

 彼女に生える角と尻尾を見れば……人間でないことはわかる。
 そしてこんな町の近くで妖怪が出るとは思えない。

 町中で人を襲う妖怪など、すっかり幻想になってしまった。
 きっとこの少女も、町に住んでいるのだろう。


「この前まで、みんなと一緒だったのに。
 私は人間じゃないからって……」


 その言葉に、旅人は驚いていた。
 ひょっとしたら、この子が妖怪になったのは最近のことかもしれない。

 ……つまり半分、ということか。


「一緒に来るかい?」


 思わずそう尋ねていた。
 少女は真っ直ぐに彼の瞳を見る。

 幼いながらも、質問の意味を理解しているのだろう。
 しばしの逡巡。


「……ううん」


 やがて彼女は首を振った。


「みんな好きだもの。
 ただちょっといじわるなだけで」
「そうか」


 彼女の言葉に、彼は笑みを浮かべた。
 表情を隠すように、空を見上げる。


「強いね、君は」
「……?」


 旅人は少女の頭に手を置き……その小さな手に、被っていた帽子を手渡した。


「これをあげよう」
「……ぼうし?」
「ああ。これはね、昔人間と妖怪の橋渡しをした人物が被っていたそうなんだ。
 君も、もしかしたら……」


 最後まで言わず、彼は少女の背中を押した。
 町へと向かって。
 帰る場所を、見失わないように。


「さぁ、もうお帰り。
 きっとみんなが心配しているよ」










「おい、起きろ、霖之助!」
「ん……?」


 聞き慣れた声で目を覚ます。
 ……見慣れた顔が目の前にあった。


「慧音か」
「客が来たのに寝こけているとは、道具屋の風上にも置けないな」


 腕組みをして、彼女は言い放つ。

 カウンターの上にいくつかの文具類が乗っていた。
 これを買いに来たのだろう。


「これでも真っ当に商売をしているつもりなんだけどね」
「相変わらず嘘ばかりだな」
「方便と言って欲しいね」


 ……寝ていたのは事実なので、それ以上はあえて何も言わない。

 しかし、ずいぶんと懐かしい夢を見ていた気がする。
 霖之助は置かれた商品に算盤を弾きながら、古い記憶を懐かしむ。


「あの話も、嘘だったんだろう?」


 ふと、彼女が口を開いた。
 彼女の顔を見ると……なにやらそっぽを向いて、帽子を弄っている。


「だから、私を元気づけるために……」
「……忘れたね」


 例えこの帽子が、霖之助が作ったものだとしても、あるいは親の形見だったとしても、
はたまた何か本当に意味のある物だったとしても。

 彼女はきっと、今の彼女になっていただろう。

 人と妖怪の架け橋。
 そんなジンクスなど、後からつければいいのだから。


「……本当に、嘘ばかりだな」
「嘘じゃないさ。君がそれを被っている限りね」

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アリスと之助で焦らされるとめっっちゃ残念です、はい

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