鵺の呼び声ぷち 08
身も蓋もない言い方をすると、
他のキャラをダシに霖之助とぬえがイチャイチャするSS紅魔館編その1。
7話で終了だったけど、続きを書きたくなったら書けばいいよね、うん。
霖之助 ぬえ
「ねえねえ霖之助! さっき面白いの見つけた!」
どたばたとぬえが駆け込んできた。
まったく騒がしいことだ。
しかも狙っていたかのようにお茶の時間にやってくるとは。
霖之助は自分の分とは別に、湯飲みをひとつ追加した。
「あれこそUFOに違いないわ!」
「UFOは君のことじゃなかったのかい?
……熱いから気をつけてくれよ」
「私以外のUFOだったのよ。
と言うことは間違いなくUFOだわ。
ありがと」
よくわからないことを胸を張って言うぬえに、霖之助はお茶を一口。
「それで、しばらく追っかけてたんだけど……。
あ、これおいしい。私のおかげね」
「……微妙に納得がいかないんだが」
今日のお茶請けはパンプキンパイである。
カボチャの甘みがしっかりきいているのだが、お茶と合わせるとなぜかご飯が食べたくなってしまうのが困りものだ。
……ぬえのイタズラで、微量の醤油が混入されたせいだろうか。
「醤油って正体不明だと思うのよね。特に薄口醤油」
「……一応聞こうか。なぜそう思うんだい?」
「だって霖之助、薄口の方が濃い口より塩分多いって言ってたじゃない。
不思議よねぇ」
「それは……いや、不思議だからって君はお菓子に醤油を入れるのかな」
「てっきり煮物だと思ったのに。まあ成功だからいいわよね」
言いながら、ぬえは嬉しそうにパイにかぶりつく。
その幸せそうな表情を見て……霖之助は苦笑を浮かべた。。
「それで、結局何を見たんだい?」
「そうそう、すっかり話が逸れちゃったわ」
逸れたのは誰のせいだろう。
少なくとも、霖之助のせいではない気がする。
「渚で空を見てたら、とってもすごいものを見たのよ」
「ああ、そういえば今日は湖に遊びに行くと言っていたね」
「そう。そしたらね、真っ黒な球体がふよふよと飛んでいたのよ。UFOに違いないわ!」
「ああ……」
キラキラと目を輝かせるぬえに、霖之助は空を見上げた。
そろそろ夕暮れ時だ。
もう少ししたら夜。妖怪の時間である。
「あれ、どしたのその反応。
あれこそ正体不明よ。夢が踊らない?」
「残念ながらぬえ。
君が見たものはUFOなんかじゃないよ」
「えー!?」
驚くぬえに、霖之助は肩を竦めた。
「君は地下にいたから知らなかったのかもしれないが……。
この辺じゃわりと有名だよ、その球体は。
闇の妖怪でね。ルーミアと言う」
「じゃあ、UFOでもなんでもないってこと?
妖怪がただ飛んでただけだって……」
「そういうことだね」
「そーなんだ……」
「そーなのかー」
「わわっ」
後ろから降ってきた声に、ぬえは驚いた声を上げる。
振り返れば、黒い服に金髪の少女。
「……噂をすれば何とやら、だね。
いらっしゃい。今日はお客かい?」
「ううん。べつにー」
あっさりとルーミアは首を振った。
……まあ、最初から期待はしていない。
「その子がさっき話題に出ていた闇の妖怪だよ」
「へー」
「……たまにこうやって、盗み食いに来たりするね」
「うんー?」
彼女はちょこんとぬえの隣に腰掛け、パイに手を伸ばしていた。
「今日は盗み食いじゃないわー」
「ほう?」
「私はお客じゃないけど、香霖堂に用があるのよ」
珍しいこともあるものだ。
そもそも、ルーミアが目的を持って行動しているということ自体が珍しい。
「今日あたり、イタズラしてお菓子が貰える日だってチルノが」
「……まさか、その言葉を信じたわけじゃあるまいね」
「当然。
イタズラしたらお肉が貰える日だって私思うの」
「違うわよ。嘘とイタズラが許される日よ」
「へーそーなのかー」
「ふたりとも間違っているよ。
それに日にちもずれてる。
……でも、お菓子くらいはあげよう」
霖之助は立ち上がり、湯飲みをもうひとつ取り出した。
ついでに茶葉も取り替えることにする。
「へぇー、レミリアってそんな……」
「チルノに会ったことある?
今度湖でね……」
「うんうん」
ポットにお湯を入れ、席に戻ると、なにやらぬえとルーミアの会話が弾んでいるようだ。
黒い者同士、波長が合うのだろうか。
「ねえねえ霖之助」
ぬえがなにやら飛びついてきた。
何かルーミアに変なことでも吹き込まれたのだろうか、と一瞬身構える。
「とりっくおあとりーと!」
目を輝かせ、ぬえは叫んだ。
発音はかなり怪しかったが、どのみち正しい発音など聞いたことがない。
霖之助はすっかり空になったお茶菓子の皿に視線を移し……。
「用意しているお茶菓子じゃ不満かい」
「だってこれは私のだもの」
「本来半分は僕ので、残りの半分が君とルーミアのだよ」
「えええ!?」
「ぶーぶー」
激しいブーイングが飛んでくる。
……つまり、お腹が減っているのだろう。
「まあ、これ以上イタズラされても敵わないからね。
お菓子はあとであげるとして、そろそろ晩飯の準備をするとしよう。
ルーミア、君も食べていくかい?」
「うんー」
「じゃあ私、隠し味係!」
「それはイタズラだろう。
2択じゃなかったのかい」
「ミートパイの味見係をー」
「それはただの願望じゃないか」
手のかかる少女ふたりを引き連れ、霖之助は再び台所へと移動することになった。
……スムーズに料理は出来ないだろう、と覚悟しながら。
「でもお肉に一番合うのはお醤油だって」
「……君が醤油好きなのはよくわかったよ、ぬえ」
他のキャラをダシに霖之助とぬえがイチャイチャするSS紅魔館編その1。
7話で終了だったけど、続きを書きたくなったら書けばいいよね、うん。
霖之助 ぬえ
「ねえねえ霖之助! さっき面白いの見つけた!」
どたばたとぬえが駆け込んできた。
まったく騒がしいことだ。
しかも狙っていたかのようにお茶の時間にやってくるとは。
霖之助は自分の分とは別に、湯飲みをひとつ追加した。
「あれこそUFOに違いないわ!」
「UFOは君のことじゃなかったのかい?
……熱いから気をつけてくれよ」
「私以外のUFOだったのよ。
と言うことは間違いなくUFOだわ。
ありがと」
よくわからないことを胸を張って言うぬえに、霖之助はお茶を一口。
「それで、しばらく追っかけてたんだけど……。
あ、これおいしい。私のおかげね」
「……微妙に納得がいかないんだが」
今日のお茶請けはパンプキンパイである。
カボチャの甘みがしっかりきいているのだが、お茶と合わせるとなぜかご飯が食べたくなってしまうのが困りものだ。
……ぬえのイタズラで、微量の醤油が混入されたせいだろうか。
「醤油って正体不明だと思うのよね。特に薄口醤油」
「……一応聞こうか。なぜそう思うんだい?」
「だって霖之助、薄口の方が濃い口より塩分多いって言ってたじゃない。
不思議よねぇ」
「それは……いや、不思議だからって君はお菓子に醤油を入れるのかな」
「てっきり煮物だと思ったのに。まあ成功だからいいわよね」
言いながら、ぬえは嬉しそうにパイにかぶりつく。
その幸せそうな表情を見て……霖之助は苦笑を浮かべた。。
「それで、結局何を見たんだい?」
「そうそう、すっかり話が逸れちゃったわ」
逸れたのは誰のせいだろう。
少なくとも、霖之助のせいではない気がする。
「渚で空を見てたら、とってもすごいものを見たのよ」
「ああ、そういえば今日は湖に遊びに行くと言っていたね」
「そう。そしたらね、真っ黒な球体がふよふよと飛んでいたのよ。UFOに違いないわ!」
「ああ……」
キラキラと目を輝かせるぬえに、霖之助は空を見上げた。
そろそろ夕暮れ時だ。
もう少ししたら夜。妖怪の時間である。
「あれ、どしたのその反応。
あれこそ正体不明よ。夢が踊らない?」
「残念ながらぬえ。
君が見たものはUFOなんかじゃないよ」
「えー!?」
驚くぬえに、霖之助は肩を竦めた。
「君は地下にいたから知らなかったのかもしれないが……。
この辺じゃわりと有名だよ、その球体は。
闇の妖怪でね。ルーミアと言う」
「じゃあ、UFOでもなんでもないってこと?
妖怪がただ飛んでただけだって……」
「そういうことだね」
「そーなんだ……」
「そーなのかー」
「わわっ」
後ろから降ってきた声に、ぬえは驚いた声を上げる。
振り返れば、黒い服に金髪の少女。
「……噂をすれば何とやら、だね。
いらっしゃい。今日はお客かい?」
「ううん。べつにー」
あっさりとルーミアは首を振った。
……まあ、最初から期待はしていない。
「その子がさっき話題に出ていた闇の妖怪だよ」
「へー」
「……たまにこうやって、盗み食いに来たりするね」
「うんー?」
彼女はちょこんとぬえの隣に腰掛け、パイに手を伸ばしていた。
「今日は盗み食いじゃないわー」
「ほう?」
「私はお客じゃないけど、香霖堂に用があるのよ」
珍しいこともあるものだ。
そもそも、ルーミアが目的を持って行動しているということ自体が珍しい。
「今日あたり、イタズラしてお菓子が貰える日だってチルノが」
「……まさか、その言葉を信じたわけじゃあるまいね」
「当然。
イタズラしたらお肉が貰える日だって私思うの」
「違うわよ。嘘とイタズラが許される日よ」
「へーそーなのかー」
「ふたりとも間違っているよ。
それに日にちもずれてる。
……でも、お菓子くらいはあげよう」
霖之助は立ち上がり、湯飲みをもうひとつ取り出した。
ついでに茶葉も取り替えることにする。
「へぇー、レミリアってそんな……」
「チルノに会ったことある?
今度湖でね……」
「うんうん」
ポットにお湯を入れ、席に戻ると、なにやらぬえとルーミアの会話が弾んでいるようだ。
黒い者同士、波長が合うのだろうか。
「ねえねえ霖之助」
ぬえがなにやら飛びついてきた。
何かルーミアに変なことでも吹き込まれたのだろうか、と一瞬身構える。
「とりっくおあとりーと!」
目を輝かせ、ぬえは叫んだ。
発音はかなり怪しかったが、どのみち正しい発音など聞いたことがない。
霖之助はすっかり空になったお茶菓子の皿に視線を移し……。
「用意しているお茶菓子じゃ不満かい」
「だってこれは私のだもの」
「本来半分は僕ので、残りの半分が君とルーミアのだよ」
「えええ!?」
「ぶーぶー」
激しいブーイングが飛んでくる。
……つまり、お腹が減っているのだろう。
「まあ、これ以上イタズラされても敵わないからね。
お菓子はあとであげるとして、そろそろ晩飯の準備をするとしよう。
ルーミア、君も食べていくかい?」
「うんー」
「じゃあ私、隠し味係!」
「それはイタズラだろう。
2択じゃなかったのかい」
「ミートパイの味見係をー」
「それはただの願望じゃないか」
手のかかる少女ふたりを引き連れ、霖之助は再び台所へと移動することになった。
……スムーズに料理は出来ないだろう、と覚悟しながら。
「でもお肉に一番合うのはお醤油だって」
「……君が醤油好きなのはよくわかったよ、ぬえ」