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10月も終わりなので、ウェブ拍手のお礼SSを更新しました。

いまだに聖☆おにいさんの4巻を買えてない。
つらい。


というわけで昔上げてた奴のまとめ。








『1.カラオケシリーズ03
   超銀河アイドルも似合うと思うよ』


「き~みは誰とキスをする~?」
 私? それとも」
「私?」


 スキマ妖怪と亡霊の姫に挟まれ……霖之助はため息を吐いた。


「まず前提が間違っている、と言わざるを得ないね」


 読んでいた本を閉じ、顔を上げる。
 最近すっかり常連になっていたが、ふたり一緒に顔を出すのは久し振りのことだった。


「またカラオケかい?」
「ええ、そうよ」
「楽しいわよ~。
 ね、紫」


 毎度のことながら、徹夜明けでテンションが上がっているらしい。
 まったく、暢気なことだ。
 ……それだけ幻想郷が平和と言うことだろう。


「大声出して歌うのは、ストレス発散にはもってこいよね」
「そうか、やはり妖怪の賢者ともなればそれだけの責任があるのだな」
「あら、それだと私がストレスと無縁みたいじゃない」
「……溜まってるのかい?」
「さぁ、どうかしら」


 首を傾げる霖之助に、幽々子は艶美に微笑み返す。
 何か気の効いたセリフで返そうと、口を開きかけ……。


「愛するより求めるより……疑う方がずっとたやすい……」


 呪詛のように響く、紫の声で遮られる。


「……紫。ここはカラオケボックスではないよ。
 そもそも君たちは何か買いに来たんじゃないのかい」
「そうね、そうだったわ」


 思い出したように、彼女は微笑んだ。
 ……まだ、目は笑っていないが。


「今日は新曲を探しに来たのですわ」
「新曲? 君がかい?」
「あら、だって外の世界で買うより、価値のわかっていないこの店で買う方が安いんだもの」

 言って紫は扇子を開き、口元を隠す。

 見えなくても、胡散臭い笑みを浮かべていることが容易に想像できた。
 どこまで本気かはわからなかったが、聞いても答えないだろう。


「……音楽関係ならあそこの棚にあるから、好きに見ていくといい。
 新しいものがあるかはわからないが……」
「ええ。そうさせてもらうわね」
「私たちが知らない歌なら、古くてもそれは新曲なのよ~」
「それに歌いたい歌じゃないと、ね」


 なるほど、確かにその通りだ。
 歌うために覚えて初めて新曲となるのだろう。


「ねえねえ紫、この歌妖夢にどうかしら」
「私はそっちよりこっちのほうがあってると思うけど……」


 ふたりは従者の分も探しているらしかった。
 好意か、それとも遊んでいるだけか。

 わからなかったが、売れるのならそれに越したことはない。


「……しかしデュエットも出来るんだな、君たちは」
「あら、もしかして霖之助さんも一緒に歌いたいのかしら」


 霖之助の言葉に、紫は艶然と微笑みを浮かべる。


「私はいつでも歓迎するわよ?」
「お待ちしておりますわ」


 ふたりに笑みを向けられ、霖之助は思わず言葉を詰まらせた。

 興味がない、と言えば嘘になるが……。


「……考えておくよ。
 君がその道具の使い方を教えてくれるならね」
「そうね」


 帰ってきた言葉は、やはりいつもの紫だった。


「考えておくわ」




『2.聖☆おねえさん?』


「『悟り』は開いておいた方が絶対就職に有利だと思います。
 どうですか、この機会に」
「本当ですか!?」
「いや、そう言うノリで開くものじゃないから。
 というか、そう簡単に開けるものではないよ。
 ……だいたい、君に就職は関係ないだろう」


 目を輝かせる早苗に、霖之助はため息をついた。

 ……白蓮も白蓮だ。
 悩める若人を惑わさないで欲しい。


「それもそうですね。
 就職とか資格という言葉を聞くとつい……」


 危なく改宗するところでした、と呟く早苗に冷や汗を垂らす。
 あまり笑えない冗談はやめて欲しい。

 もしそんなことになったら、あの2柱になにをされるか。


「難易度が高いからこそ、皆で頑張るのではありませんか。
 妖怪と人間が仲良く。そう言う悟りへの至り方もあると思いますよ」


 そう言って、白蓮はすべてを受け入れるかのように両手を広げた。
 その拍子に豊満な乳房がゆさりと揺れる。
 この圧倒的な包容力はここから来るものなのかもしれないと考え……霖之助はじっとりとした視線に振り向く。


「……霖之助さんも男の人なんですね……」
「なにを勘違いしているのか知らないが。純粋な考察だよ、これは」
「なにについて考察してるかは知らないですけど、じっと見るのはやめた方がいいと思いますよ」
「あらあら」


 考察の対象が目の前にあるというのに見るなとはひどい話だ。
 と思ったが、口には出さないでおく。
 たぶん、主張したところで誰も聞いてはくれないだろう。


「それに私は、仲良くする前にこれを片付けたいです」


 早苗はそう言って手元のノートに視線を落とした。

 夏休みの宿題、らしい。
 神奈子と諏訪子によって、高校修了までのカリキュラムはやらされているという話だった。

 香霖堂には辞書や参考書の類もあるので、調べ物がてら宿題中というわけだ。


「おふたりとも私より年上なんですから、勉強を見てくれてもいいと思うんですけど」
「あらまあ、私は1000年眠ってましたから……」
「僕も専門外のことはね……」


 つい、と目を逸らすふたりに、早苗はため息。


「……だいたい勉強なら、慧音がいるじゃないか」
「あの人は歴史の授業にばかり時間を割くので、宿題がはかどりません。
 それに設問とは違う答えばかり言うし……」


 正解の歴史と歴史の正解は別なものだ。
 いくら正しくても、神奈子のテストで点数が取れなければなにも意味がない。


「僕も数学ならまだわかるんだが、物理はね……。
 ずいぶん発展したものだ」
「私も古典ならわかるんですけど。
 外国の言葉はよくわかりませんね」
「それじゃダメなんですよ」


 ふたりは顔を見合わせ、苦笑い。
 流れる和やかな雰囲気に割って入るように、早苗は言葉を発した。


「普段からこつこつやっていればよかったじゃないか」
「外の世界にいたころはやってました。
 まさかここに来てまでテストがあるなんて思わないじゃないですか。
 ……じゃあわかる範囲でいいですから、古典と漢文から教えてください」


 そう言って、鞄から別の冊子を取り出す。
 現代人の早苗からしてみれば文法や単語が面倒なのだが、このふたりなら普通に読めるだろう。

 ……と、思っていたのだが。


「あら、懐かしいわね」
「ほう、清少納言か。そう言えば……」
「いえ、あの時は……」
「……じゃあもしかして……」


 ふたりともまったく別の世界に行ってしまい、戻ってこなくなってしまった。

 予想は出来たことだ。
 ……回避が出来なかっただけで。


「……あの、おふたりとも。
 私のテスト、明日なんですけど……」




『3.スレに上がってたネタ。瀟洒な咲夜さん』


「楽しみにしてたんですよ」


 咲夜の視線に、霖之助は視線を逸らした。


「なぜ私のシュークリームが無くなっているのでしょう」


 かさり、とシュークリームの包み紙が揺れる。
 この中に人里で人気の店のシュークリームが入っていた。
 ……さっきまでは。


「シュークリームが無くなっているのでしょう」
「繰り返さなくても聞こえているよ」


 霖之助は根負けしたかのように咲夜に振り返る。
 同時に咲夜はわざとらしく天を仰いだ。


「霊夢か魔理沙が、ついにベルも鳴らさずに扉を開けて物を食べていく程度の能力を身につけたのかしら」

 まるでオペラのように……芝居がかかった動作で手を伸ばし、チラリ、と霖之助に視線を送る。


「それともやっぱりあのスキマ妖怪の」
「……僕が食べたんだ。すまなかった」


 さすがに無関係の人物を犯人に仕立て上げる気にはならなかった。
 というか、どのみち誤魔化しようがない。
 ならば素直に謝った方が得策というものだ。


「嗚呼、なんて酷い。人が大事に大事にとっておいた物を」


 しかしそんなことで許してくれないほど、咲夜は怒っていた。

 少し前、お嬢様へのお土産なんです、と嬉しそうにシュークリームを霖之助に見せた咲夜の姿が思い出される。
 こんなことならすぐ仕舞うように提言するのだった、と後悔しても後の祭り。


「……本当にすまない。それで、どうしたら許してくれるんだい?」
「買ってきて下さい。里の三春屋で、6つ程」


 片手で数えられないので、咲夜は手を広げた。
 それだけ見ると10個買ってこいと言っているように見える。


「6つ? 多くないか?」
「無論私が5つ、貴方が1つです」
「……5倍返しか。なかなかいい性格をしているね。商人の才能があるんじゃないのかい?」


 霖之助の言葉に、咲夜は笑顔を浮かべた。
 よく言われます、と言う返答は性格についてだろうか。


「冗談です。私が4つ、貴方が2つ。それと、少なくとも貴方よりは商人の適性があるかしらね」
「みたいだね。
 とりあえず、行ってくるよ」


 仕方なく……自業自得なので本当に仕方のないことなのだが、霖之助は腰を上げた。
 財布にお金が入っているかどうかを確認する。


「売り切れてたらプリンでも買いましょうか」
「……って君も行くのか、咲夜」


 同時に立ち上がった彼女は、付いてくる気満々のようだった。
 確かにああ言った店に男ひとりでは入りづらいので、渡りに船ではあるのだが。


「本当のことを言うとですね。本を読みながらつい手を伸ばすところから、全て見てました」
「そうか。その結果こうやって5倍の釣果が手に入るというわけだ。
 本当に良い性格をしているな、君は!」


 霖之助の言葉に、しかし咲夜は首を振る。


「5倍どころの騒ぎじゃないわ」


 こうやって堂々とデートできるし、と呟き、そっと唇を寄せた。


「お弁当も、ついてるしね」




『4.病んだ雛という話なので』


「じゃあ、そろそろ帰るよ」


 言って、霖之助は席を立った。
 
 ……しかし、いつもなら見送りに出ようとするはずの彼女の返答はない。


「いいじゃない、帰らなくて」
「そういうわけにも行かないだろう」


 厄神……雛は、くるくるとココアの入ったカップをスプーンでかき混ぜる。

 黒くてドロドロとした液体が渦を巻いていた。
 何かを映したかのように、真っ黒な液体。


「……厄が渦巻いてるわー」
「今日持ってきた道具はそんなに大変だったかい?」
「いいえ、違うわ」


 くるくる、くるくる。
 回転は速度を上げていく。


「君の周りにかい?」
「それが私の役目だものね。でも残念」


 雛はスプーンを置くと、テーブルに肘を乗せ、ゆったりと微笑む。


「貴方と私の周りに、よ。
 中心は、ほらそこ」


 雛の指さした先。
 ちょうど彼女と霖之助の中間地点だった。


「内側は平和そのもの。
 でもあなたが私と距離を置けば」


 周りはどうなるかしらね、と彼女は微笑む。


「ね、森近さん」


 雛は席を立つと、そっと霖之助の側に立つ。


「ずっとここにいればいいじゃない。
 私の、すぐ隣に」




『5.鵺の呼び声ぷちぷち』


「霖之助ー、おみやげー」
「……おみやげ?」


 どん、とぬえは抱えていた箱をカウンターの上に下ろす。
 かなりの大きさだ。


「そう、白蓮から。
 中身は何か知らないけど」


 香霖堂に行く、と言うぬえをわざわざ呼び止めて、白蓮が手渡したらしい。
 頑張ってね、という言葉とともに。


「ねえ、中身なーに?」
「名称、おみやげ。用途、ふたりを祝福する……?」
「開けたほうが早いよ。ほらほら」


 言うが早いが、ぬえは霖之助宛だというのにその箱を開け始めた。
 まあ、用途がふたり宛のようだから問題はないのだろうが……。


「なにこれ、布?」
「……と、本だね」


 中には布やら服やらがたくさん詰まっていた。
 しかし服の割には小さすぎる。
 人間の子どもでも着ることは出来ないだろう。
 まるで赤子のためのような……。


「……まさか」


 嫌な予感がして、霖之助は一緒に付いていた本を開く。

 そこには子どもの育て方や、困ったときの対処法、公園デビューの仕方などが細かく書いてあった。
 すべて白蓮の手書きのようだ。


「あ、それ」
「今度はなんだい……」
「白蓮がお寺に来る女の人にいろいろ聞いてたことだ。
 人にも妖怪にも」
「なるほどね……」


 白蓮がなにを考えているのか手に取るようにわかった。
 ……わかりたくなかったが、わかってしまった。

 後ろから手元の本を覗き込むぬえに、霖之助は冷や汗を垂らす。
 あらぬ誤解を受けないだろうか……と考えた瞬間。


「わかった!」


 ぬえが叫んだ。
 そしてじっと霖之助を見る。


「香霖堂で託児所をやれって白蓮は言ってるんだね!
 そして子どものころから正体不明の怖さを教えれば……」
「違うよ、ぬえ」
「えー」


 首を振る霖之助に、ぬえは残念そうな声を上げる。


「……この様子じゃ、どのみちまだまだ必要無いみたいだね」
「もう、なんなのよー」


 文句を言いながらも、霖之助に頭を撫でられ眼を細めるぬえ。

 霖之助は白蓮にどんな文句と、お礼を言おうか考えていた。


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