こころのしずく 第01話
東方心綺楼よりラスボスちゃんがかわいすぎたので抑えきれず。
もう委託されておりますがネタバレ注意ということでひとつ。
霖之助 こころ
「不束者ですが、よろしくお願いします」
朝目が覚めると、枕元で少女が三つ指ついて深々とお辞儀をしていた。
チェックのブラウスに変わった意匠のボタン、そして広がりを膝下でまとめた蕾のようなスカートが印象的である。
さらりと流れる長い髪は腰まで届き、緩やかなカーブを描いている。
そしてなにより、周囲に浮遊した多くの面が彼女が何者であるかを如実に表していた。
「どうやってここに入ったのか……聞いてもたぶん意味は無いんだろうけど」
霖之助は眼鏡に手を伸ばし、ゆるゆると上体を起こしながら大きなため息をついた。
それから少女に向かって困惑した視線を送る。
「何故そうなるのかが、僕にはさっぱり理解出来ないんだが」
「……あ」
そこで彼女はぽんと手を合わせた。
感情のない瞳は何の光も映さないまま、まっすぐに霖之助を見つめ返してくる。
いや映さないのではなく……映せない、のだろうか。
「すみません、自己紹介が先でしたね。私は秦こころ。見ての通りの付喪神です」
「見ての通りかはさておき、そのことは知ってるよ。里でも噂になってたしね」
「なんと! 私がそんなに有名だったとは!」
「自覚がなかったのかい? 結構な騒ぎになってたのに」
「だって周りの宗教家とかのほうがもっと派手派手しかったんだもん」
「まあ、確かにね」
大げさなジェスチャーで驚きつつ、金色をした大飛出の面、それからひょっとこの面が彼女の頭に装着される。
これがこころの能力というか、習性のひとつだ。
彼女は面が妖怪化した付喪神である。
こころ本人は徹底した無表情を貫いており、こうして面によって感情を表現しているらしい。
……感情というか、性格ごと変わっている気がしなくもないのだが。
芝居等で仮面をかぶるというのは役になりきることであるので、その可能性も否定は出来ない。
「あのお祭りは僕も観戦に行ってたんだ。それに神社でやってた能楽も楽しませて貰ったよ」
「見てくれたの? ありがとー」
今度は翁のお面をかぶり、喜んでいるらしかった。
口調と表情、そして動きのギャップに多大な違和感を覚える少女ではあるのだが。
さっきも言ったとおり彼女を見るのはこれが初めてではないので、そういうものとして割り切ることにした。
それよりも。
「まあ、いろいろ言いたいことや聞きたいことはあるんだけど」
「はい?」
首を傾げるこころに肩を竦めながら。
霖之助は寝癖のついた頭をかきつつ、ようやっと布団から立ち上がった。
そしてそのまま、まっすぐに部屋の外を指さす。
「……とりあえず、着替えさせてくれないかな」
「はい、わかりました」
眉ひとつ動かさず。
やはり彼女は、ぽんと手を合わせるのだった。
妖怪の食事と言っても様々だ。
人を襲い食らうものもいれば、吸血鬼のように血を好む者もいる。
かつて恐怖や信仰といった人の心は、妖怪の存在意義に関わる重要な主食だった。
しかし恐怖されなくても消えてしまうことのない幻想郷において、それらは彼女たちが最も好む食品という意味でしかなく……人食い妖怪も米を食って腹を満たすし、お菓子が主食という妖怪だっているほどである。
「結構なお点前で」
「ただのお茶だよ。一番安い、ね」
さてこの妖怪化した道具はというと、普通にお茶を飲んでいた。
どうやら飲食は問題ないらしい……味覚はともかく。
あるいは人間の真似をしているだけという可能性もあるが。
二人は香霖堂のカウンターを挟むようにして、向かい合って座っていた。
いつも通りの服に着替えた霖之助は、目が覚めてしまったのでいつもより早い時間に店を開けることにしたのである。
いつも通り客は来ないので、店内はこころと二人きりというわけだ。
「私は安心しました」
「ん、何がだい?」
「招かれざる客はお茶漬けを出されるって聞いてたんだけど、どうやら歓迎されているみたいー」
「いや、別にそうと決まったわけじゃないからね?」
ひょっとこのお面をつけて陽気に話す彼女は、どうやら人間の文化をわりと勘違いしているようだ。
とはいえ暴走して人前に出る以前は付喪神として静かな時を過ごしてきたのだろう。
そう考えれば多少疎くても仕方ないのかもしれない。
「…………」
「うん?」
ふと彼女が面を外し、なにやらじっと見つめていた。
霖之助はその様子を眺めていたが、相も変わらずこころの表情に変化がないので話題を先に進めることにする。
「で、改めて目的を聞いてもいいかな」
「はい。実は修業の手伝いをしていただきたいのです」
淡々とした口調で、彼女は告げる。
こちらが彼女の素なのだろうか。
その言葉には微塵の淀みも、そして感情も感じることが出来なかった。
「先日ちょっとした異変が起こったことはもうご存じだと思いますが」
「幻想郷中の人間の感情が消えてなくなるところだったのを、ちょっとしたと割り切っていいのかな」
「対外的にはそうしておくようにと、宗教家達と取り決めを交わしたのだ」
「ああ、その方が賢明だろうね」
狐の面を身につけた少女は、真剣な声でまくしたてる。
里の人々にとって彼女は、ただの変わった能楽師と映っていることだろう。
……異変の元凶などではなく。
ことのきっかけは彼女の希望の面が失われたことだった。
感情のひとつを失いバランスを崩した彼女は能力を暴走させ、無くした希望は幻想郷中に伝播したという。
その結果刹那的な快楽を求める人間が増加し、先日のお祭り騒ぎが巻き起こったらしいのだ。
最終的にはそもそもの面の作者である神子から新たな希望の面を賜り、なおかつこころ自身の中に宿した希望から作った面を重ね、それを自分のものとするべく奮闘中……という話だった。
……この辺の話は霖之助も霊夢や魔理沙、白蓮達から話を聞いていたのだが。
誰も彼も自分が異変を解決したと譲らなかったので、さっぱり全容が見えなかったのである。
「なるほど、そういう話だったのか」
ようやく合点がいったとばかりに霖之助は頷いた。
「私もちゃんと反省してまーす」
「うん、まったくそうは聞こえないけどね」
翁のお面でそう言われてもどうしろというのだろう。
それにしても素の彼女とのテンションの違いが疲れる娘である。
本人の表情はぴくりともしないので、余計に拍車を掛けている気がした。
「何にせよ、異変は無事解決されたんだろう? 途中はどうあれ、結果が丸く収まったのなら万々歳じゃないか。異変を起こした妖怪ならたくさんいるし、皆も気にしないと思うよ」
「ありがとう。そう言ってくれるとうれしいー」
オカメの面で、彼女は笑う。
……笑っているのだろう、たぶん。
そこで彼女は面を掲げたまま、ふと真剣な目を投げかけてきた。
「でもマミゾウが言ってたんですけど」
「ふむ?」
「私が消えることなく二度目の暴走を抑えるには、私自身という本体を確立させなきゃダメらしいのです。前までの私は、我々が主だったから……だから」
「ひとつの仮面の紛失でバランスを崩した、というわけか。なるほど、主と従の問題だね」
聞けば太子が作った新しい希望の面というのは完璧すぎるものだったらしい。
その完璧すぎるお面は彼女自身から人格というものを排除し、ただの道具へと戻すほどで……それを嫌って彼女は一度神子に退治されたあとも希望を求めて事件を起こしていたのだ。
つまり皆が異変を解決したというのもあながち間違ってはいないのだろう。
解決されるたびに、また新たな異変が起こっていたのだから。
そして彼女が一人の妖怪として独立すれば、また同じことが起こっても今度はバランスを乱すことなく新たな仮面を自身で作り出せるはず……らしい。
「私は修業をし、もっと感情というものを学びたいのです。
人間観察したり、新しい知識を仕入れたり。そして自分というものを手に入れます」
「それは人里のためかい? 同じような異変を起こさないために」
「そうですね」
そこまで言って、彼女は首を傾げた。
「いえ、自分のため……かもしれません」
「なるほど、それはいい心がけだね」
人のため、と答えていたら霖之助は突き放していただろう。
そんなものは道具の考えだ。自我に目覚めかけた妖怪の言うことではない。
それを思えば彼女は見所があるといえる。
何よりこころはかなり格の高い付喪神だ。
曰く付きの他の道具に対処する時も、かなり役立つかもしれない。
……そんなことを考えていると、じっと見つめるこころの視線に気がついた。
「うん? どうかしたかい?」
「んーん、みーてーるーだーけー」
「そうか、ならいいけど」
「……確かに、聞いていたとおりですね」
一体彼女は何を聞いてきたのだろうか。
しかし尋ねても答えは返って来なさそうなので、霖之助はゆっくりと首を振る。
「ふむ。そこまではだいたい理解出来た」
「ほんと? やったー」
何が嬉しいのか、オカメの面で喜ぶこころ。
……別に修業を了承したわけではないのだが、早合点もいいところである。
「でもなんでうちなんだい? 正直人間観察というならもっと他に選択肢があっただろうに」
「よくぞ聞いてくれた!」
狐の面をかぶり、ばばーんとポーズを取って彼女は声を上げる。
ひとつひとつがオーバーアクションなのは、ひょっとしたら能楽に基づいているのだろうか。
「確かに客の数だけで言うならこの店はなんの役にも立たないと思いますけど」
「反論の余地もないが、なかなか引っかかるね」
しかしこの程度でいちいち目くじらを立ててはいられない。
話していてわかったことではあるが、彼女の対人スキルは子供のそれと大差ないように感じられた。
大方この辺りのことも誰かの入れ知恵を真に受けたのだろう。
……ほとんど事実に沿ったことではあるが。
霖之助はその犯人を想像しつつ、大人しく話を聞くことにした。
「でもそんなことは全然問題じゃないんです。能楽はまだ続ける予定ですし、そこでお客さんが入れば人間観察の対象には困りません」
「それに霊夢も儲かって一石二鳥、かな。この前ツケを払いに来た時はびっくりしたよ」
と言ってもその足でお茶を持ち出しまた新たなツケを生む辺り、さすがの霊夢と言ったところである。
どのみち累計すると彼女が持ってきた金額は焼け石に水といったところだ。
……してやった感いっぱいの霊夢には、まだ言っていないのだが。
「じゃあ余計わからないな。うちを選んだ理由とかあるのかい?」
「はい。いくつか聞いてきたんですが」
こころは指折り数え、店内を見渡した。
そして何かを確認するように頷くと、霖之助へと視線を戻す。
「まずひとつめに、付喪神に理解があること」
「ああ、それは間違いないな」
自慢ではないが道具に対する想いなら幻想郷随一であると霖之助は思っている。
それにこころが望むなら、面のメンテナンスも可能である。
「次に空いた時間を利用して、現代の能楽や取り入れられそうなえんたーていめんとがあること」
「なるほど」
確かに香霖堂には外の世界の能楽に関する書物も取りそろえてあった。
勉強熱心なのはいいことだし、彼女の助けになるに違いない。
「あと人里に来ないような、気むずかしい人たちも観察出来ること」
「ふむ、悪くない着眼点だね」
香霖堂は人妖問わず開かれている。
運が良ければ変わり者の吸血鬼や天狗なんかと話をする機会も生まれるだろう。
「そして相手の表情が読めて、なおかつ参考になるくらい考えてることが顔に出るわかりやすい人がいるって条件ですね」
「……うん?」
聞き捨てならない言葉を聞いて、霖之助は思わず目を瞬かせた。
先ほど聞いていたとおり、と彼女が呟いていたのはそのことなのだろうか。
「ひょっとしてそれは僕のことかい?」
「はい、そうです」
「ちなみに聞くが、今の話は一体誰から」
「誰、というわけでは。いろんな人の話を総合して判断しましたから」
「ふむ、誰かにここを勧められたってわけじゃないのか」
「もちろん? 貴方の噂はちらほら聞きましたから」
一体どんな噂だったのだろうか。
……とにかく、彼女の求める条件全てに一致するのが香霖堂だったというわけであるようだ。
そう考えればまあ、悪い気はしないのだが。
「こういう場合はスキマ妖怪が出張ってくるものと思ってたんだけど」
「一時的にせよ人里を危機に陥れた私には監視こそすれ手を差し伸べる筋合いはない!」
「と、言われたのか。じゃあ革新好きな神とか……」
「山の上の神社じゃ、さすがに神社まで能をやりに行くのは時間かかりますし」
「確かにね」
そもそも神社に住まわせておいて、博麗神社で能をするのはいい顔をしないだろう。
だからといって山の上の神社までただの人間が能を見に行くとも思えないわけで。
「それにどこかの陣営に所属するのはバランスが崩れるからダメだ、って。今思えば私が有名になりすぎたからなんですね」
「今それに気づくのかい、君は」
「というわけで、ほとぼりが冷めたころに改めて住むところ探す所存」
もしかして、修業というのは香霖堂に住み込みでやるつもりなのだろうか。
霖之助は疑問の視線を投げかけてみるが、彼女の瞳は何も映すことがない。
「その点宙ぶらりんな貴方のところなら、どこに肩入れするってわけでもなさそうですし大丈夫かなと」
「言いたいことはわかるが、せめて中立と言ってくれないか」
本当にこの娘は誰からそんな情報を仕入れてきたのだろう。
……心当たりが多すぎて、かえって特定出来そうもない。
「もちろんタダでとは言わないよー。できる限り店のお手伝いもするし、道具の整理もするー。こう見えても私、道具の扱いに関してはちょっとしたものだよー」
「確かにそれは魅力的だがね」
オカメの面を付け、おどけた様子の彼女の提案に腕を組んで考え込む霖之助。
そんな彼に、こころはふと瞳を揺らす。
「……ダメ、ですか?」
外した面をぎゅっと抱き、小さな声で彼女は呟いた。
「また暴走したら、今度こそ退治されてしまいます。
私……ただの道具には戻りたくありません……」
「んー……」
震えた声に内包されていたのは、確かな不安と……消滅への恐怖、だろうか。
彼女自身にまったく感情がないわけではないようだ。
こころがここに来たのは……自分を退治しようとした者達の元に居づらかった、という可能性も考えられる。
そしてそんな少女に頼られて断れるほど、霖之助は冷淡になれないでいた。
……甘いのかもしれない、と自分でも思いながら。
「わかった。僕の言うことをちゃんと聞くなら許可しよう」
「やったー!」
大勝利、と言った様子で彼女はガッツポーズを繰り出す。
その口元はかすかに微笑んでいるような気がした。
気がしただけかもしれない。
「貴方は優しい人です」
「そうかい?」
「そうだよー」
ふわふわ広がる淡い色の髪を振りつつ、こころは面で表情を隠した。
無表情なのに隠す必要があったのかはわからなかったが。
「で、修行に付き合うと言っても僕はなにをすればいいのかな」
「さっきも言いましたけど、本を貸していただければ。あとはたまに話しかけてくれると助かります」
「それだけかい?」
「はい」
そして彼女は、そこで言葉を切った。
付けていた面を外し、じっと見つめる。
それから少しだけ緊張したような面持ちで、霖之助へと視線を向けた。
「私は出来るだけ、この面を使わずに話しますから……あんまり表情作れませんし、楽しくないかもしれませんけど……」
「そんなことはないさ。僕の知らないことも、君はたくさん知ってそうだし」
「そう、ですか?」
道具だった少女が、独り立ちするために努力する。
その手伝いが出来るのは……ある意味で古道具屋冥利に尽きる話に感じられた。
だから。
「これからよろしく、こころ」
「はい……よろしく、お願いします」
いつかこの無表情が変わる日もあるのだろうか。
それが見られるのなら、付き合うのも悪くない。
霖之助はそんなことを考えながら。
どことなく照れたようにも見える彼女の頭を、ぽんぽんと軽く撫でるのだった。
もう委託されておりますがネタバレ注意ということでひとつ。
霖之助 こころ
「不束者ですが、よろしくお願いします」
朝目が覚めると、枕元で少女が三つ指ついて深々とお辞儀をしていた。
チェックのブラウスに変わった意匠のボタン、そして広がりを膝下でまとめた蕾のようなスカートが印象的である。
さらりと流れる長い髪は腰まで届き、緩やかなカーブを描いている。
そしてなにより、周囲に浮遊した多くの面が彼女が何者であるかを如実に表していた。
「どうやってここに入ったのか……聞いてもたぶん意味は無いんだろうけど」
霖之助は眼鏡に手を伸ばし、ゆるゆると上体を起こしながら大きなため息をついた。
それから少女に向かって困惑した視線を送る。
「何故そうなるのかが、僕にはさっぱり理解出来ないんだが」
「……あ」
そこで彼女はぽんと手を合わせた。
感情のない瞳は何の光も映さないまま、まっすぐに霖之助を見つめ返してくる。
いや映さないのではなく……映せない、のだろうか。
「すみません、自己紹介が先でしたね。私は秦こころ。見ての通りの付喪神です」
「見ての通りかはさておき、そのことは知ってるよ。里でも噂になってたしね」
「なんと! 私がそんなに有名だったとは!」
「自覚がなかったのかい? 結構な騒ぎになってたのに」
「だって周りの宗教家とかのほうがもっと派手派手しかったんだもん」
「まあ、確かにね」
大げさなジェスチャーで驚きつつ、金色をした大飛出の面、それからひょっとこの面が彼女の頭に装着される。
これがこころの能力というか、習性のひとつだ。
彼女は面が妖怪化した付喪神である。
こころ本人は徹底した無表情を貫いており、こうして面によって感情を表現しているらしい。
……感情というか、性格ごと変わっている気がしなくもないのだが。
芝居等で仮面をかぶるというのは役になりきることであるので、その可能性も否定は出来ない。
「あのお祭りは僕も観戦に行ってたんだ。それに神社でやってた能楽も楽しませて貰ったよ」
「見てくれたの? ありがとー」
今度は翁のお面をかぶり、喜んでいるらしかった。
口調と表情、そして動きのギャップに多大な違和感を覚える少女ではあるのだが。
さっきも言ったとおり彼女を見るのはこれが初めてではないので、そういうものとして割り切ることにした。
それよりも。
「まあ、いろいろ言いたいことや聞きたいことはあるんだけど」
「はい?」
首を傾げるこころに肩を竦めながら。
霖之助は寝癖のついた頭をかきつつ、ようやっと布団から立ち上がった。
そしてそのまま、まっすぐに部屋の外を指さす。
「……とりあえず、着替えさせてくれないかな」
「はい、わかりました」
眉ひとつ動かさず。
やはり彼女は、ぽんと手を合わせるのだった。
妖怪の食事と言っても様々だ。
人を襲い食らうものもいれば、吸血鬼のように血を好む者もいる。
かつて恐怖や信仰といった人の心は、妖怪の存在意義に関わる重要な主食だった。
しかし恐怖されなくても消えてしまうことのない幻想郷において、それらは彼女たちが最も好む食品という意味でしかなく……人食い妖怪も米を食って腹を満たすし、お菓子が主食という妖怪だっているほどである。
「結構なお点前で」
「ただのお茶だよ。一番安い、ね」
さてこの妖怪化した道具はというと、普通にお茶を飲んでいた。
どうやら飲食は問題ないらしい……味覚はともかく。
あるいは人間の真似をしているだけという可能性もあるが。
二人は香霖堂のカウンターを挟むようにして、向かい合って座っていた。
いつも通りの服に着替えた霖之助は、目が覚めてしまったのでいつもより早い時間に店を開けることにしたのである。
いつも通り客は来ないので、店内はこころと二人きりというわけだ。
「私は安心しました」
「ん、何がだい?」
「招かれざる客はお茶漬けを出されるって聞いてたんだけど、どうやら歓迎されているみたいー」
「いや、別にそうと決まったわけじゃないからね?」
ひょっとこのお面をつけて陽気に話す彼女は、どうやら人間の文化をわりと勘違いしているようだ。
とはいえ暴走して人前に出る以前は付喪神として静かな時を過ごしてきたのだろう。
そう考えれば多少疎くても仕方ないのかもしれない。
「…………」
「うん?」
ふと彼女が面を外し、なにやらじっと見つめていた。
霖之助はその様子を眺めていたが、相も変わらずこころの表情に変化がないので話題を先に進めることにする。
「で、改めて目的を聞いてもいいかな」
「はい。実は修業の手伝いをしていただきたいのです」
淡々とした口調で、彼女は告げる。
こちらが彼女の素なのだろうか。
その言葉には微塵の淀みも、そして感情も感じることが出来なかった。
「先日ちょっとした異変が起こったことはもうご存じだと思いますが」
「幻想郷中の人間の感情が消えてなくなるところだったのを、ちょっとしたと割り切っていいのかな」
「対外的にはそうしておくようにと、宗教家達と取り決めを交わしたのだ」
「ああ、その方が賢明だろうね」
狐の面を身につけた少女は、真剣な声でまくしたてる。
里の人々にとって彼女は、ただの変わった能楽師と映っていることだろう。
……異変の元凶などではなく。
ことのきっかけは彼女の希望の面が失われたことだった。
感情のひとつを失いバランスを崩した彼女は能力を暴走させ、無くした希望は幻想郷中に伝播したという。
その結果刹那的な快楽を求める人間が増加し、先日のお祭り騒ぎが巻き起こったらしいのだ。
最終的にはそもそもの面の作者である神子から新たな希望の面を賜り、なおかつこころ自身の中に宿した希望から作った面を重ね、それを自分のものとするべく奮闘中……という話だった。
……この辺の話は霖之助も霊夢や魔理沙、白蓮達から話を聞いていたのだが。
誰も彼も自分が異変を解決したと譲らなかったので、さっぱり全容が見えなかったのである。
「なるほど、そういう話だったのか」
ようやく合点がいったとばかりに霖之助は頷いた。
「私もちゃんと反省してまーす」
「うん、まったくそうは聞こえないけどね」
翁のお面でそう言われてもどうしろというのだろう。
それにしても素の彼女とのテンションの違いが疲れる娘である。
本人の表情はぴくりともしないので、余計に拍車を掛けている気がした。
「何にせよ、異変は無事解決されたんだろう? 途中はどうあれ、結果が丸く収まったのなら万々歳じゃないか。異変を起こした妖怪ならたくさんいるし、皆も気にしないと思うよ」
「ありがとう。そう言ってくれるとうれしいー」
オカメの面で、彼女は笑う。
……笑っているのだろう、たぶん。
そこで彼女は面を掲げたまま、ふと真剣な目を投げかけてきた。
「でもマミゾウが言ってたんですけど」
「ふむ?」
「私が消えることなく二度目の暴走を抑えるには、私自身という本体を確立させなきゃダメらしいのです。前までの私は、我々が主だったから……だから」
「ひとつの仮面の紛失でバランスを崩した、というわけか。なるほど、主と従の問題だね」
聞けば太子が作った新しい希望の面というのは完璧すぎるものだったらしい。
その完璧すぎるお面は彼女自身から人格というものを排除し、ただの道具へと戻すほどで……それを嫌って彼女は一度神子に退治されたあとも希望を求めて事件を起こしていたのだ。
つまり皆が異変を解決したというのもあながち間違ってはいないのだろう。
解決されるたびに、また新たな異変が起こっていたのだから。
そして彼女が一人の妖怪として独立すれば、また同じことが起こっても今度はバランスを乱すことなく新たな仮面を自身で作り出せるはず……らしい。
「私は修業をし、もっと感情というものを学びたいのです。
人間観察したり、新しい知識を仕入れたり。そして自分というものを手に入れます」
「それは人里のためかい? 同じような異変を起こさないために」
「そうですね」
そこまで言って、彼女は首を傾げた。
「いえ、自分のため……かもしれません」
「なるほど、それはいい心がけだね」
人のため、と答えていたら霖之助は突き放していただろう。
そんなものは道具の考えだ。自我に目覚めかけた妖怪の言うことではない。
それを思えば彼女は見所があるといえる。
何よりこころはかなり格の高い付喪神だ。
曰く付きの他の道具に対処する時も、かなり役立つかもしれない。
……そんなことを考えていると、じっと見つめるこころの視線に気がついた。
「うん? どうかしたかい?」
「んーん、みーてーるーだーけー」
「そうか、ならいいけど」
「……確かに、聞いていたとおりですね」
一体彼女は何を聞いてきたのだろうか。
しかし尋ねても答えは返って来なさそうなので、霖之助はゆっくりと首を振る。
「ふむ。そこまではだいたい理解出来た」
「ほんと? やったー」
何が嬉しいのか、オカメの面で喜ぶこころ。
……別に修業を了承したわけではないのだが、早合点もいいところである。
「でもなんでうちなんだい? 正直人間観察というならもっと他に選択肢があっただろうに」
「よくぞ聞いてくれた!」
狐の面をかぶり、ばばーんとポーズを取って彼女は声を上げる。
ひとつひとつがオーバーアクションなのは、ひょっとしたら能楽に基づいているのだろうか。
「確かに客の数だけで言うならこの店はなんの役にも立たないと思いますけど」
「反論の余地もないが、なかなか引っかかるね」
しかしこの程度でいちいち目くじらを立ててはいられない。
話していてわかったことではあるが、彼女の対人スキルは子供のそれと大差ないように感じられた。
大方この辺りのことも誰かの入れ知恵を真に受けたのだろう。
……ほとんど事実に沿ったことではあるが。
霖之助はその犯人を想像しつつ、大人しく話を聞くことにした。
「でもそんなことは全然問題じゃないんです。能楽はまだ続ける予定ですし、そこでお客さんが入れば人間観察の対象には困りません」
「それに霊夢も儲かって一石二鳥、かな。この前ツケを払いに来た時はびっくりしたよ」
と言ってもその足でお茶を持ち出しまた新たなツケを生む辺り、さすがの霊夢と言ったところである。
どのみち累計すると彼女が持ってきた金額は焼け石に水といったところだ。
……してやった感いっぱいの霊夢には、まだ言っていないのだが。
「じゃあ余計わからないな。うちを選んだ理由とかあるのかい?」
「はい。いくつか聞いてきたんですが」
こころは指折り数え、店内を見渡した。
そして何かを確認するように頷くと、霖之助へと視線を戻す。
「まずひとつめに、付喪神に理解があること」
「ああ、それは間違いないな」
自慢ではないが道具に対する想いなら幻想郷随一であると霖之助は思っている。
それにこころが望むなら、面のメンテナンスも可能である。
「次に空いた時間を利用して、現代の能楽や取り入れられそうなえんたーていめんとがあること」
「なるほど」
確かに香霖堂には外の世界の能楽に関する書物も取りそろえてあった。
勉強熱心なのはいいことだし、彼女の助けになるに違いない。
「あと人里に来ないような、気むずかしい人たちも観察出来ること」
「ふむ、悪くない着眼点だね」
香霖堂は人妖問わず開かれている。
運が良ければ変わり者の吸血鬼や天狗なんかと話をする機会も生まれるだろう。
「そして相手の表情が読めて、なおかつ参考になるくらい考えてることが顔に出るわかりやすい人がいるって条件ですね」
「……うん?」
聞き捨てならない言葉を聞いて、霖之助は思わず目を瞬かせた。
先ほど聞いていたとおり、と彼女が呟いていたのはそのことなのだろうか。
「ひょっとしてそれは僕のことかい?」
「はい、そうです」
「ちなみに聞くが、今の話は一体誰から」
「誰、というわけでは。いろんな人の話を総合して判断しましたから」
「ふむ、誰かにここを勧められたってわけじゃないのか」
「もちろん? 貴方の噂はちらほら聞きましたから」
一体どんな噂だったのだろうか。
……とにかく、彼女の求める条件全てに一致するのが香霖堂だったというわけであるようだ。
そう考えればまあ、悪い気はしないのだが。
「こういう場合はスキマ妖怪が出張ってくるものと思ってたんだけど」
「一時的にせよ人里を危機に陥れた私には監視こそすれ手を差し伸べる筋合いはない!」
「と、言われたのか。じゃあ革新好きな神とか……」
「山の上の神社じゃ、さすがに神社まで能をやりに行くのは時間かかりますし」
「確かにね」
そもそも神社に住まわせておいて、博麗神社で能をするのはいい顔をしないだろう。
だからといって山の上の神社までただの人間が能を見に行くとも思えないわけで。
「それにどこかの陣営に所属するのはバランスが崩れるからダメだ、って。今思えば私が有名になりすぎたからなんですね」
「今それに気づくのかい、君は」
「というわけで、ほとぼりが冷めたころに改めて住むところ探す所存」
もしかして、修業というのは香霖堂に住み込みでやるつもりなのだろうか。
霖之助は疑問の視線を投げかけてみるが、彼女の瞳は何も映すことがない。
「その点宙ぶらりんな貴方のところなら、どこに肩入れするってわけでもなさそうですし大丈夫かなと」
「言いたいことはわかるが、せめて中立と言ってくれないか」
本当にこの娘は誰からそんな情報を仕入れてきたのだろう。
……心当たりが多すぎて、かえって特定出来そうもない。
「もちろんタダでとは言わないよー。できる限り店のお手伝いもするし、道具の整理もするー。こう見えても私、道具の扱いに関してはちょっとしたものだよー」
「確かにそれは魅力的だがね」
オカメの面を付け、おどけた様子の彼女の提案に腕を組んで考え込む霖之助。
そんな彼に、こころはふと瞳を揺らす。
「……ダメ、ですか?」
外した面をぎゅっと抱き、小さな声で彼女は呟いた。
「また暴走したら、今度こそ退治されてしまいます。
私……ただの道具には戻りたくありません……」
「んー……」
震えた声に内包されていたのは、確かな不安と……消滅への恐怖、だろうか。
彼女自身にまったく感情がないわけではないようだ。
こころがここに来たのは……自分を退治しようとした者達の元に居づらかった、という可能性も考えられる。
そしてそんな少女に頼られて断れるほど、霖之助は冷淡になれないでいた。
……甘いのかもしれない、と自分でも思いながら。
「わかった。僕の言うことをちゃんと聞くなら許可しよう」
「やったー!」
大勝利、と言った様子で彼女はガッツポーズを繰り出す。
その口元はかすかに微笑んでいるような気がした。
気がしただけかもしれない。
「貴方は優しい人です」
「そうかい?」
「そうだよー」
ふわふわ広がる淡い色の髪を振りつつ、こころは面で表情を隠した。
無表情なのに隠す必要があったのかはわからなかったが。
「で、修行に付き合うと言っても僕はなにをすればいいのかな」
「さっきも言いましたけど、本を貸していただければ。あとはたまに話しかけてくれると助かります」
「それだけかい?」
「はい」
そして彼女は、そこで言葉を切った。
付けていた面を外し、じっと見つめる。
それから少しだけ緊張したような面持ちで、霖之助へと視線を向けた。
「私は出来るだけ、この面を使わずに話しますから……あんまり表情作れませんし、楽しくないかもしれませんけど……」
「そんなことはないさ。僕の知らないことも、君はたくさん知ってそうだし」
「そう、ですか?」
道具だった少女が、独り立ちするために努力する。
その手伝いが出来るのは……ある意味で古道具屋冥利に尽きる話に感じられた。
だから。
「これからよろしく、こころ」
「はい……よろしく、お願いします」
いつかこの無表情が変わる日もあるのだろうか。
それが見られるのなら、付き合うのも悪くない。
霖之助はそんなことを考えながら。
どことなく照れたようにも見える彼女の頭を、ぽんぽんと軽く撫でるのだった。
コメントの投稿
No title
「もう書いたのか!」「はやい!」「きた!ここ霖きた!」「メインカプきた!」「これで勝つる!」
と天狗たちは大歓迎状態であった
それはさておき、自分はまだ心綺楼をプレイしていないので新キャラの性格なんかはつかめていないのですが
こころちゃんがかわいいことはわかりました、凄くかわいいことがわかりました
やはり、霖之助さんはいい子には甘いなー。
そこがいいところなんだけどもw
と天狗たちは大歓迎状態であった
それはさておき、自分はまだ心綺楼をプレイしていないので新キャラの性格なんかはつかめていないのですが
こころちゃんがかわいいことはわかりました、凄くかわいいことがわかりました
やはり、霖之助さんはいい子には甘いなー。
そこがいいところなんだけどもw
No title
早い!流石最速天狗!(挨拶
可愛いですねーこころちゃん。天然無表情なとことかもうね!
一言一言で表情(お面)がころころ変わって、霖之助のいつもの薀蓄でこころちゃんの全ての表情が出てきそうで。
ところで、ナンバリングタイトルということは続きが……!
可愛いですねーこころちゃん。天然無表情なとことかもうね!
一言一言で表情(お面)がころころ変わって、霖之助のいつもの薀蓄でこころちゃんの全ての表情が出てきそうで。
ところで、ナンバリングタイトルということは続きが……!
新シリーズですか ワクワク
やっぱり若干天然な娘との組み合わせは
素晴らしいものですね
さらに道具ってのがそそりますね
まぁその色々と
こころちゃん+小傘ちゃん×霖之助さん
なんて展開もいいななんて
やっぱり若干天然な娘との組み合わせは
素晴らしいものですね
さらに道具ってのがそそりますね
まぁその色々と
こころちゃん+小傘ちゃん×霖之助さん
なんて展開もいいななんて
No title
こころちゃん居場所が出来て良かったね...!
ちょうど良い位置にある こころちゃんの頭は、きっとぽんぽんと撫でられるためにあるのかもしれませんね。
頑張れこころちゃん!
ちょうど良い位置にある こころちゃんの頭は、きっとぽんぽんと撫でられるためにあるのかもしれませんね。
頑張れこころちゃん!
心綺楼は未プレイなのですが、こんな新キャラが出ていたのですね。
小傘ちゃんとコンビを組んで霖之助さんを翻弄してほしい。
小傘ちゃんとコンビを組んで霖之助さんを翻弄してほしい。
No title
発売されてまだ数日じゃないですかヤッター!!!
無表情系ヒロインって理解度が深まってくるにつれてどんどん可愛く思えてきますよね。
他のみんなからは無表情に見えているのに霖之助だけはちょっとした違いに気づいて
通じ合っているのを想像してみたり(2828)まぁ他のヒロインからが嫉妬の嵐でしょうがwww
・・・霊夢がツケを払っただと・・・ あ、新しい異変の幕開けじゃぁ?!
無表情系ヒロインって理解度が深まってくるにつれてどんどん可愛く思えてきますよね。
他のみんなからは無表情に見えているのに霖之助だけはちょっとした違いに気づいて
通じ合っているのを想像してみたり(2828)まぁ他のヒロインからが嫉妬の嵐でしょうがwww
・・・霊夢がツケを払っただと・・・ あ、新しい異変の幕開けじゃぁ?!
No title
ヒャッハー!ここ霖だぁぁぁ!流石最強の天狗!そこにしびれるあこがれるぅ!!
こころちゃんがどうなるのか、楽しみです
こころちゃんがどうなるのか、楽しみです
やはり早い!
道具の独り立ちとは泣かせてくれる話だね。努力する道具とか霖之助さんが優しくなるタイプ両方兼ね備えてるじゃないですかぁ~。こころちゃんを見る目が暖かいのが感じられるよ。霖之助さんに対する感謝の能楽を見せてくれるとこまで幻視した。
もう一つの新作も楽しみだね。道具キャラ的にも。
なんか拍手ボタンから感想書けんかった。なんだろ。
道具の独り立ちとは泣かせてくれる話だね。努力する道具とか霖之助さんが優しくなるタイプ両方兼ね備えてるじゃないですかぁ~。こころちゃんを見る目が暖かいのが感じられるよ。霖之助さんに対する感謝の能楽を見せてくれるとこまで幻視した。
もう一つの新作も楽しみだね。道具キャラ的にも。
なんか拍手ボタンから感想書けんかった。なんだろ。
No title
無表情な女の子で、努力して一人前になろうとしているとかもう我が琴線直撃ですわw
ナンバーありということは続きがありそうですね。待ってます!
ナンバーありということは続きがありそうですね。待ってます!
No title
もうきてたのか!はやい!流石道草様!
霖之助さんと九十九神の相性の良さはガッツポーズもんですわ。
挿絵のお二方もイイ!ヨダレもんです。
・・・被監視仲間が増えるよっ!やったね!霖ちゃん!
霖之助さんと九十九神の相性の良さはガッツポーズもんですわ。
挿絵のお二方もイイ!ヨダレもんです。
・・・被監視仲間が増えるよっ!やったね!霖ちゃん!
No title
早いな、もう書いたのか。つくも神ということで小傘ちゃんとの競演のアリじゃないかと思った
No title
ぐっ!このむずがゆさ、殺人級のダメージだぜ・・・。
負けない!僕はまだまだ見て書くんだ!
とまあ、それは置いておいて。
いきなり下の名前呼びとは霖之助さんは凄いですね(ニヤニヤしそうだ)
絵を見て思ったんだけど、なんかとても庇護欲を駆られるような・・・はっ、いけないけない!でも無表情な娘が頬赤らめたら・・・ぐっ!?
あやうく好きなキャラランキングが塗り替えられそうだった・・・なんて恐ろしいキャラなんだ・・・。
負けない!僕はまだまだ見て書くんだ!
とまあ、それは置いておいて。
いきなり下の名前呼びとは霖之助さんは凄いですね(ニヤニヤしそうだ)
絵を見て思ったんだけど、なんかとても庇護欲を駆られるような・・・はっ、いけないけない!でも無表情な娘が頬赤らめたら・・・ぐっ!?
あやうく好きなキャラランキングが塗り替えられそうだった・・・なんて恐ろしいキャラなんだ・・・。